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猫とアロマの相性はいいのか?それとも悪いのか?

2022.04.28

猫にとってアロマとは?発熱、死亡…中毒の危険性と気をつけたいこと

アロマオイルとアロマディフューザー

猫を飼っている飼い主さん!いま、部屋の中でアロマ加湿器やアロマディフューザーを使っていませんか?

心を落ち着かせてくれたり、前向きにしてくれる効果があるアロマテラピーですが、実は猫にとっては安全といえるものではありません

今回は、加湿器をつけるこの時期にぜひ知っておいてもらいたい、猫にとってのアロマの危険性と注意点をまとめています。

記事の監修者:獣医師 古江加奈子

パーク動物医療センター副院長。福岡県獣医師会、福岡市獣医師会、日本獣医がん学会に所属。言葉の話せない動物を治療するうえで、動物たちに聞く代わりに飼い主から沢山のことを聞き、飼い主とのコミュニケーションを最重視するドクター。

 

猫とアロマは相性が悪い?

花が飾ってある白いテーブルに乗る猫

アロマテラピーとは、植物の香りを凝縮したエッセンシャルオイル(精油)や、芳香剤であるアロマオイルを使用して心身の健康を促すという自然療法です。

ディフューザーや加湿器にオイルを入れて好きな香りを楽しむ方法は、身近にできるアロマテラピーとして人気ですよね。他にもオイルを希釈したものを皮膚に塗ったり、オイルを垂らしたお風呂に入るなど色々な楽しみ方があります。

その効用は香り(成分)によって様々ですが、最近では犬のメンタルケアとしても活用されている事例があるといいます(※)。

それがなぜ猫には危険といわれているのでしょうか?もしかしたら、植物性オイルという時点ですでにお気づきの方もいるかもしれませんね。

人や犬と違って、猫は肉食動物です。肉の栄養を吸収したり消化することに特化している一方で、もともと植物を摂取するような体の作りにはなっていないんです。

猫の肝臓には、特定の物質を解毒するためのグルクロン酸抱合能というものがなく、そのためにアロマで使うオイルで中毒症状を起こしやすいといわれています。

猫の体の特性を考えると、植物が凝縮されたエキスを使うアロマと相性が悪いというのは納得でしょう。

※犬にも危険性があるとされているアロマもあります。

黒猫と紫のチューリップ

「猫が食べると危険な花って?猫にとって毒になる花・安全な花まとめ」の記事や、猫と観葉植物が安全に暮らすために!対策と危険が少ない種類まとめの記事でもお伝えした通り、猫にとって中毒の危険がある植物はたくさんあります。しかし植物は膨大な種類があるため、どんなものが猫にどんな影響を及ぼすのか全てが明らかになっているわけではありません。

アロマも同じで、危険性があるとされる一方で、一つ一つが猫にどんな影響を及ぼすかは未だにはっきりしていない部分も多いです。

猫とアロマについて、専門家の意見

猫と花

猫とアロマの関係性を調べようとすると「猫にアロマは危険というのはウソ」だとか「うちはずっとアロマを炊いてるけど大丈夫」など反対の意見も出てきます。

もちろん個体差や、アロマオイルとの接し方(薄めたものを嗅いだ、原液を舐めた、原材料に入ってるものを塗ったなど)によっても症状が出るか出ないか変わることがあります。

結論としまして、「現時点では、すべてのアロマオイルに毒性がある。」という断定はできていません。しかしながら、少なくとも犬猫に安全性が確認されているものを使用された方が安心です。

出典:日本獣医学会のQ&A- アロマオイルは犬猫に有害ですか?

 

結論を先に言ってしまうと、猫がいる部屋ではアロマを炊かない方が安全です。それはアロマオイルがどのように猫に毒性があるのか分かっていないからです。

出典:猫にアロマは危険!? | 猫専門病院の猫ブログ nekopedia ネコペディア

しかしこのように、獣医師など専門家が解説している多くのメディアでは「全てが猫にとって毒とは言い切れないが安全ともいえない」「安全が確認されていないものをあえて使うことはおすすめしない」というような意見がほとんどです。

そんなことを聞くと、わざわざリスクが高そうなものを愛猫に与えたいとはあまり思いませんよね。

さらに、記事を監修していただいている古江先生のお話によると、実際にアロマの危険性を感じたご経験もあるそうです。

そのネコチャンは、特に中毒症状が出たり具合が悪いというわけではありませんでした。しかし健康診断では肝臓の値が悪く、ネコチャンの飼い主さんにお話を伺う中で、ご自宅でアロマをしているということがわかりました。そこで、しばらくアロマを中止してもらったところ、その後ネコチャンの肝臓の値は無事に正常に戻ったというのです。

幸い大事には至らなかったものの、古江先生は「アロマが関係していたのかな?」と考えているということでした。

発熱、脱毛、死亡例も…アロマを猫に与えたときの症状

ティートゥリーのエッセンシャルオイル

アロマが猫に有毒なことが広く知られるようになったきっかけは、ティートゥリーオイルが配合されたペット用シャンプーだったといわれます。

1990年初頭、アメリカの国立動物毒物管理センター(NAPCC)では、ティートゥリーオイルを使用した猫が中毒症状を起こしたという報告が相次ぎました。

ティートゥリーといえば、日本でも虫除けスプレーなどによく利用されるメジャーなアロマ。アメリカではペット業界でもよく使われていて、ティートゥリーが配合された製品はノミ除けや皮膚の治療ができるスキンケアグッズとして広く市場に出回っていたそうです。

メインクーンの猫

彼女はメインクーンのバディとベイビーを入浴とグルーミングのためにグルーミングパーラーに連れて行きました。翌朝には2匹とも体調が悪くなり、体温が上昇し、動物病院に駆けつけました。彼らの体温は華氏105度を超え、痛みを感じていました。次の24時間、猫たちはほとんど食べたり飲んだりせず、落ち着きがなく、明らかに体調が悪かった。翌朝、バディの症状はさらに悪化し、反応がなくなり、明らかに大きな苦痛を感じ、重症でした。

出典:TEA TREE OIL POISONING CASE STUDY – BUDDY

アメリカの猫に関する非営利ライブラリーサイトでは、ティートゥリーオイルを使用された猫の事例がいくつか紹介されています。

ティーツリーオイルを含むシャンプーを使ったメインクーンのバディとベイビーは帰宅直後からぐったりした様子で、翌朝には明らかに体調に異変をきたし、重篤だったバディの方はシャンプーから数日後に死亡したということです。

猫がティートゥリー中毒になったときの主な症状

    • 運動失調

    • 食欲不振

    • 皮膚の炎症

    • 嘔吐

    • 発熱

    • 脱毛

    • 脱水症状

    • 痙攣

    • 昏睡状態 など

 

おおよそ2~8時間程度でこのような症状が現れ、ひどいと命に関わる恐れもあります。

特に、代謝障害や神経障害を持つ猫、肝機能が発達しきっていない仔猫などには影響が強いとされています。事態の発覚後、そのような猫を持つ飼い主は愛猫にティートゥリー配合商品を決して使用しないようにアドバイスされました。

恐いのは、このようなケースが偶発する以前は猫に対するティートゥリーオイルの毒性がほとんど言及されていなかったという点です。アメリカやイギリスでは、白癬というカビのような病気を直す優秀な治療薬としてティートゥリーが入った製品が売られていることもありました。

ティートゥリーのケア製品は人間や羊、馬などに対する安全性が認められていて、ペットケア商品を扱うどのサイトを見てもその効果の素晴らしさだけが書かれていたといいます。もちろん、飼い主さんたちもそれを疑っていなかったのです。

ちょっと、ゾッとしませんか?

こんなに危険なティートゥリーの毒性が明らかになったのもここ最近の出来事だと思うと、「問題ないという意見もあるし、うちの猫にもアロマぐらい大丈夫だろう」なんて安易に使用できないですよね…

猫に毒性が出やすいといわれるアロマ

様々な種類のエッセンシャルオイル

アロマテラピー使われるオイルには様々な種類があり、エッセンシャルオイルは250~300程度の香りがあるといわれています。そのため、前述しているようにどのアロマが猫にどう影響するのか、完全に網羅することは難しいのです。

こちらでは、人気があるメジャーなアロマの香りのなかで猫にとって危険性が高いとされているものをまとめたので参考にしてみて下さい。

※こちらで紹介しているものは一部です。記載されていないアロマの中にも猫への毒性が危険視されるものもあるのでご注意ください!

柑橘系のアロマ

    • レモン

    • オレンジ

    • ライム

    • グレープフルーツ

    • ベルガモット

 

爽やかな柑橘系の香りは、「どんな人にも好かれやすい・気分をリフレッシュしてくれる」と人気ですよね。しかし、モノテルピン炭化水素類という成分を多んでいるため、猫にとっては危険性が高いとされています。

ハーブ系のスパイシーなアロマ

    • オレガノ

    • タイム

    • クローブ

 

フェノール類という成分を多く含むアロマも、猫にとって毒性が出やすいとされています。スパイシーな香りなので、ディフューザーや加湿器に使われることは少ないかもしれませんが、料理に使われるため身近なアロマかと思います。

虫除け系のアロマ

    • ペパーミント

    • シトロネラ

    • ティートゥリー

 

他にも、ティートゥリーをはじめとする虫除け系のアロマも猫には危険があるとされています。これらのアロマは、ディートやイカリジンが配合されていない「アロマ虫除けスプレー」「オーガニック虫除けキャンドル」などの商品には必ずと言っていいほど入っているので注意しましょう。

猫とアロマのよくあるギモンを解決!

最後に、猫とアロマの関係について、よくあるギモンをQ&A形式で紹介していきます!

①アロマオイルとエッセンシャルオイル(精油)って違うもの?

バラの花びらとエッセンシャルオイル

アロマテラピーに詳しくない方だと、アロマオイルとエッセンシャルオイルは同じと思ってしまうかもしれませんが、これらは別物です!

エッセンシャルオイル(精油)とは、100%天然植物由来のオイルだけを指します。エッセンシャルオイルの中身は全て、花や葉、茎、樹脂など植物から抽出されたものです。

対してアロマオイルはフレグランスオイルなどとも呼ばれ、エッセンシャルオイルに植物オイルやアルコールなどをブレンドしたものや、人工香料や化学物質でできたものなどがあります。

アロマオイルは植物成分が希釈されているならエッセンシャルオイルよりは安全なのか?というと、そうとも言い切れません。猫にとって代謝しにくいとされるアルコールや、他の化学物質など、別のリスクがあるからです。

ちなみに、加湿器やアロマディフューザーには水溶性のアロマオイルの使用が推奨されていることがほとんどです。

②猫にとって安全なアロマはないの?

赤いバラと長毛猫

これについては、理論上では猫に危険性はないといわれるアロマもあるということ。ですが、現時点では「はっきり言えない」というのが答えです。

猫とアロマについてはまだまだ情報不足で、長期的に調査し続けた事例もないため、ティートゥリーのように今後中毒性が発見される可能性もあるからです。

「猫の皮膚に直接塗布したり、舐めたりしなければ大丈夫」という意見もあるようですが、それも信頼できるデータがあるわけではないということを忘れないようにしましょう。

そもそも強い香りを嫌うネコチャンは多いですし、危険かもしれないものを無理に愛猫に使うメリットは少ないのではないでしょうか。

③猫を飼っていてもアロマを楽しむ方法があれば知りたい!

猫とごろごろする女性

「猫を飼うなら、人間のアロマテラピーも諦めるべき!」と言われても、アロマは自分にとっては大切な習慣という飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。

もしどーーしても、自宅でアロマテラピーをしたい!というのであれば、危険性が高いとされるアロマ(香り)は避け、できる限り猫とアロマオイル・エッセンシャルオイルの接点を作らないよう徹底しましょう。

例えばアロマを炊くときは猫が入らない部屋で行い、終わったら換気や手洗いを必ず行う。アロマバスに入ったときは、使用後のお風呂場に猫が侵入して浴槽を舐めたり濡れた手足を舐めたりすることがないようにする、などです。

特に猫の場合、日常的にグルーミング(毛づくろい)をするという特性があることをよく覚えておいてください!

部屋の中に揮発したオイルが猫の皮膚や被毛にくっついてしまい、それを舐めて中毒になる危険性も否定はできないのです。

もちろん、オイルは絶対に猫の手の届かないところへ保管してくださいね。

※こちらで挙げた方法をとれば必ずしも猫に安全というわけではありません!

まとめ:猫にとってアロマは安全とはいえない

転がる白黒猫

猫とアロマの関係性や猫にとっての危険、中毒症状についてまとめてご紹介しました。

中毒の危険性はもとより、香り一つをとっても人にとって心地よいものが猫も同じとは限りませんよね。

そういえば、我が家に昔いたグレーの美しい猫は、なぜかサロンパスや虫刺され薬の臭いが大好きでした。彼女は誰かが湿布を貼ったり虫刺され薬を塗ると、寝ていても飛んでやってくるのです。よくあんな臭いを好んで嗅ぎたがるものだなと思って眺めていましたが(笑)

猫によって好みも色々あるみたいだし、好まない香りを察知したネコチャンならアロマを炊いたとたんに別の部屋へ移動することなんかもあるでしょう。

汗臭い枕やよだれだらけになったおもちゃの良さが彼らにしか分からないように、アロマの良さはあくまで人にとってのもの。愛猫には百害あって一利なしかもしれないということを覚えておいた方が良さそうです。

文/黒岩ヨシコ

参照
猫に対するエッセンシャルオイル(精油・アロマオイル)の危険性
Tea Tree Oil – Toxic to Cats

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