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ラブラドールレトリーバー マリアのメラノーマ闘病記 その5

2020.11.07

ついに治療開始。不安が募るけど頑張れマリア…

2019年9月に発覚し、以来、9カ月のあいだ、メラノーマという悪性黒色腫という非常に悪性で進行の早い口腔内皮膚がんと、家族一丸となって闘ったマリアの闘病記を、日々、記録していたメモと写真を頼りに、わが家の治療方針と動物病院や薬の選択、詳細な治療方法、薬の副作用、手作りの療養食づくり、食事の与え方、お散歩や介護の仕方、そして最後の最後の緩和ケアなどについてお伝えしたいと思います。同じような病と闘っているわんことその飼い主さんにとって、少しでも参考になればと思っています。今回から、本格的な抗がん治療が始まりましたが、まだ、最善の方法が見つからない、悶々とした日々か続いていたのです。

いよいよ本格的な抗がん治療  食事療法開始

2019年10月14日。幕張動物病院で、皮下注射で副作用もないという、メラノーマの進行を遅らせることができるかもしれないルペオールの投与を開始しました。週2回を2週間。週1回を1か月。2週おきに1か月。残りの月は1か月に1回と合計6か月投与のプログラムです。それにしても、マリアは診察台の上でもおとなしく、先生や看護婦さんに迷惑をまったくかけることなく、治療を受けてくれました。誇らしい・・・。


マリアにとって初の治療日


ルペオールの皮下注射

併せてオゾン直腸注入、DHA・EPA(オメガ3脂肪酸)サプリを開始。先生から、療養食を手作りすること。歯周病菌はメラノーマの進行を早めるため、食後の歯磨きは出来るだけ行うこと。歯磨き後、中性水で拭きオゾンクリームを塗布することなど、細やかな指導がありました。


お尻にオゾン注入中


オメガ3脂肪酸サプリ


口内オゾン軟膏                             

いよいよ、メラノーマとの本当の闘いが始まりました。経済的なことに限界はあるのですが、手間や労力ならいくらでも惜しまない気持ちでいっぱいでした。


いい子で診察台に上がるマリア


ララも心配してお付き合いしてくれました(ビビリ中)

マリアは2才半ぐらいまで鹿児島の崩壊した繁殖場で短いくさりにつながれて育ち、ごはんも足りずいつも飢餓状態でした(その後、ボランティアさんに無事、レスキューされるのですが)。それもあって、わが家に来てからは何より食べることが大好きな犬になりました(犬はみんなそうですが、とくに)。そこで、体調が悪いときでも美味しく食べれるようにと、大好きな食材を吟味し、食べやすいように工夫したのです。がんは糖質を栄養に成長するそうで、できる限り糖質をカット。たんぱく質の大量摂取が必要だそうです。しかし大型犬のマリアに、先生が指導する、たんぱく質(肉類)1日500グラムを食べさせることは到底、無理というものです。

それで考えたのが、今まで食べていた総合医療センターで処方されたロイヤルカナンのドッグフード、セレクトプロテイン(フィッシュ&ポテト)でした。ドックフードは満腹感が得られるとともに、消化がいいので便秘も防げる完全栄養食品です。それに新鮮な肉や魚、がんに良いとされる野菜やきのこ、そして良質なドイツ産の缶詰を食べさせることに。

幕張動物病院の先生指導による特製スープ(鳥手羽元にリンゴ酢を加え、急遽、買い求めたスロークッカーで24時間煮込み、骨ごとミキサーにかける)、貧血予防のためレバー(少々)と、がんに良い食材のハツをオーブンで焼きペースト状にしたものなど、カミサンが時間と手間をかけて、手作りしたのです。本当に、頭が下がります。特製スープとレバーとハツのグリルは、1回分ずつ冷凍。スープ多めの、食べやすいつゆだくごはんにして与えることにしました。

 

この頃のマリアは食欲も旺盛で元気そのもので、突然のごちそうに毎回、食器がきれいになるほど喜び、完食してくれました。

10月中はメラノーマも落ち着いていましたが、11月に入り、毎晩寝る前の歯磨き習慣で、歯茎が少しずつ赤味を帯びてきたことを発見したのです。そのため、急遽、漢方を追加。それでもマリアの食欲は衰えず、漢方を振りかけたご飯でもいつも完食してくれました。食欲があることは、何よりです。そして、このころは、何事もなく穏やかな日々を過ごせていたのです。

11月上旬には、幕張動物病院の先生に相談し、了解を得て、この小学館PETomorrowでマリアが長年連載してきた”わんこと行くクルマ旅”の取材、撮影で、九十九里にある、真新しい一軒家の貸別荘「アソビラクロ」と、マリアが開業第一号のゲストだった、「アソビラクロ」の母体となる、海辺の愛犬同伴型リゾートホテル「& WAN」を訪れることができました。


アソビラクロの前でフリードと


アソビラクロのリゾート感溢れる室内にて


マリアも絶好調で撮影に挑みました

この時期の”わんこと行くクルマ旅”、なぜか九十九里方面ばかりだったのは、万一の事態に備え、幕張動物病院に近いロケーションを選ばせてもらったからでした。す、すいません・・・。そんなボクたち、PETomorrowスタッフの心配をよそに、マリアはこれまで通りの笑顔で仕事を見事にこなしてくれたのでした。ありがとう、がんばったね、マリア(とララ)。


マリアが大好きだった& WAN九十九里   


ドッグランで元気に遊びました


笑顔のDOG DEPTのウエア撮影カット

この取材、撮影以来、マリアの出番を最小限にして、マリアの妹のジャックラッセルのララにこれまで以上にがんばってもらいましたが、ララはその期待に十二分に応えてくれました。アソビラクロのキッチン前のカットでも、しっかりカメラ目線です!!


& WANのディナーシーン


アソビラクロの撮影ではララ大活躍


あとにいただいた& WANからマリアへのメッセージ

もっとも、メラノーマが発覚する以前から、マリアの足腰が衰えてきたのは事実で、玄関から道に下りる階段の上り下りが大変そうでした。そこで11月中旬、ボクがDIYでマリア専用スロープを自作することに。ホームセンターで板をちょうどいいサイズにカットしてもらい、最初はそのままスロープとして使おうとしたのですが、さすがにツルツル滑りやすい。なので、ラバーテープで滑り止め加工を施すと、かなり具合がいいらしく、スイスイと上り下りできるようになったのです。まっ、自作というより、板にテープを張り付けただけなんですけどね(両端に板がずれないような滑り止めを追加)。


これではだめです・・・滑る、滑る    


ほぼ完成版の自作スロープ

12月6日、通院日。口腔内のメラノーマが徐々に大きくなり、主に食後の出血も多くなってきました。幕張動物病院の先生によれば、このままでは1か月後に貧血で輸血が必要になってしまうかもしれないという診断でした。やはり手術での摘出がベストだとも言われたのです。ただ、犬の輸血をしてくれる病院は少なく、困難であるため、手術以外方法はないようでした。前回の診察でレントゲンを撮ったのですが、レントゲンでは2ミリ以下の腫瘍は映らないそうで、以前から心配していた肺の腫瘍らしきものはあまり成長してないようでした。

幕張動物病院では、有名な高度医療センターと提携していましたが、マリアを初めての病院に連れて行くのには抵抗があり、通い慣れた総合医療センターでCT検査をしたいと幕張動物病院の小野先生に伝えました。12月19日、総合医療センターで再びCT検査を行うことになったのです。手術を選択するしかないと来院したにもかかわらず、しかし、マリアの不安そうな顔を見ると、ボクとカミサンは、手術の決心をすることができなかったのです・・・。

つづく

 

文:青山尚暉

ドッグライフプロデューサー、モータージャーナリスト。雑誌編集者を経験した後、フリーのジャーナリストに。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員も務める。愛犬家でもあり、愛犬とのドライブ術、ペットと泊まれる宿に関しても詳しく、Web、専門誌、一般誌、ラジオなどで「愛犬との快適安心な旅スタイル」を提言中。現在、ラブラドールレトリーバーのマリアを149カ月で見送り、ジャックラッセルのララと暮らしている(どちらも保護犬)。PETomorrowのほか、レスポンス、カートップなどでも愛犬とクルマ関連の記事を連載中。20164月には、愛犬とのドライブ旅行の集大成となるムック本『愛犬と乗るクルマ』が発売されている。輸入車の純正ペットアクセサリーの企画、開発、プロデュースにも携わる。愛車はシニア犬の乗降性にもこだわった、愛犬仕様にアレンジしたステーションワゴン。

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