『猫は子供嫌い』は間違い!
以前、猫を飼っている知人夫婦の家に遊びに行ったときのこと。
その家の猫はとても人懐っこい気質で、優しい猫だった。
2年ぐらいして知人夫婦に子供ができた。
問題はそこからしばらくして発生した。
その家の子供がすくすく育って自分で歩けるようになってから、飼い猫がストレスでお腹を舐め壊し、毛がまるごとごっそり抜けてしまった。
さらには性格も神経質になり、知人夫婦にも時には牙をむくようになった。
僕はこの話を聞き、嫌われる覚悟でこの夫婦がそうなるまで猫を追い詰めたことについて「それはあなたたちの無責任が過ぎた」と言ってしまった。
そのせいで絶縁されてしまったが、事実は事実なので後悔はない。だけど猫が未だに心配だ。
これ。
猫と暮らしている人にとっては原因がすぐに特定できるレベルのあるある話じゃないかと思う。
猫と子供って、相性が悪い場合があるのだ。
このために「猫は人間の子供を嫌う」という言説が昔からよくささやかれてきた。
しかし、その理由をしっかり解析してみると、猫としては人間の子供だから嫌うということではなく、人間の子供にある原因があり、そのために嫌っていることが分かってくる。
その原因を取り除けば、猫も子供たちと楽しくやれるのだ。
猫が嫌う子供の言動はこれだ!
で、たしかに僕の見る限りでも、実に多くの猫が小さな子供を嫌っているというか、露骨に警戒しているような態度を見せる。
でもここにはちゃんと嫌うだけの理由があるものだ。
はっきり書いてしまうと、猫は別に子供そのものを嫌っているわけではない。
あくまでも嫌う理由があって、そこで初めて嫌うのだ。
その猫に嫌われる言動というのが、たとえば突拍子のない素早い動き。
猫と仲良くするには、動作をゆっくりペースで保って穏やかに接することが大切だけど、子供ってのはやっぱり、活発に動いてしまう。
それが猫にとってはストレスで、いつ襲われるか分からないという緊張感を抱く原因となってしまう。
さらに、大声もマズい。
子供は唐突に大きな声を上げることがあるが、シンプルにこれは猫をおびえさせてしまうし、余計な緊張を招く。
こうした要素もあって、猫はこの手の言動をしやすい子供を嫌うようになるわけである。
猫が嫌がることをしない子供はたくさんいる!
ただし、動作を激しくせず、さらに大声さえ出さなければ、相手が子供でも当然猫は普通に仲良くしてくれる。
自分にとって脅威ではないと猫が判断すれば、もう警戒もしないし恐怖を感じたりもしない。
僕はこれまで、両極端な子供をそれぞれ見てきている。
たとえば地域猫の多い公園で、猫を見つけた瞬間に追い回す子供は大勢いるが、やっぱり追いかけながらも大声を出すものだ。
それを注意しない親世代も多いが、きっと世帯丸ごと猫に興味も関心もないので、そもそもそれがダメだってことを知らないんだろう。
無知は別に罪じゃない。誰が悪いという話でもない。
でも、ああいう子供が多いとなると、猫はやがて子供全般を警戒することを学ぶ。
しかしそういう場所にあっても、ゆっくり近づいて優しく撫でて、小さな声で「かわいい~」とつぶやく子供もいる。
大体そういう子は家に猫を飼っているものだ。猫の扱い方を、とっくにマスターしているというわけである。
猫も最初は警戒しているが、その子供が自分に害を成さないことを理解すると、落ち着いたり、膝に乗ったりする。
嫌がる行動さえ人間側がしなければ、猫だって子供と仲良くしたいのだ。
おわりに
猫と子供が仲良く過ごすための秘訣は、大人がそうなるように誘導するところにある。
子供たちの好奇心が猫を追い立てるのも分かるけど、それだと猫が不憫だということをしっかり説明してあげるのは大事だ。
そのうえで「優しく撫でてあげてね」とか「大声を出すとびっくりしちゃうからね」とアドバイスしてあげると、子供たちも猫の愛で方、接し方を理解してくれる。
何にせよ、特に屋外で暮らす猫などは不憫な存在。
人に捨てられ、仕方なく暮らしているだけの個体が多い。
そういう境遇についても説明しておくと、きっと猫への興味と愛着を持つ子供も増えるはず。
将来的にはそういう優しい子供が1人でも多くなったほうが、今のように無責任に飼育し、無責任に遺棄する大人だって減るはずだ。
文/松本ミゾレ