猫は人語を理解する?
ネット上には真偽は不明だけど、なんだか気になる噂話がいくつも転がっている。
そして中には、ペットにまつわる気になる話題も。
あなたは、猫が一生に一度は人間の言葉を話すという話をご存じだろうか。
普通に考えたら「そんなことはないはず」と思ってしまうところなんだけど、実際に猫が喋ってるのを見聞きしたという飼い主さんは少ないながらもいるようだ。
たとえばある飼い主さんは、長年家で暮らしていた猫が唐突に「犬」と喋ったと主張する。
「犬」とはどういうことか。猫じゃないのか? って話なんだけど、その後にすぐこの猫は亡くなった。
このことから、猫はいわゆる「犬」ではなく「いぬ」……ある地域では去ることを「いぬ」や「いぬる」と言うので、そう伝えた可能性が出てくる。
この方言でもって、別れの言葉として発話したのではないか、という説が成り立つ。まあ、オカルトだけども。
猫が人語を使うというのは大昔から伝わっている、割かしよくある事例のようだ。
しゃべる猫、ケット・シー
ケット・シーという伝説上の猫の話をご存じだろうか。
妖精伝説のメッカ、アイルランドに伝わる妖精猫ケット・シーは王政を敷いて独自の文化を築いていたとされている。
つまりかなり頭の良い妖精たちというわけで、見た目は猫だが二本足で歩いていたとされている。
そしてこの猫たちは、しばしば人間の住処近くでも目撃されていた。
あるとき1人の若者が夜道を歩いていると、口々に「王が亡くなられた」と喋っている猫の行列を目撃した。
この若者は大層驚いてすぐに家に帰り、飼っていた猫に「おい、さっき猫たちが『王が死んだ』って話してたぞ」と伝えた。
すると、これまで一切人語など発さない普通の猫だったはずのこの飼い猫は「何!? よし、すぐに次の王に名乗り出るぞ」と喋って、一目散に外に出て行ったという。
こういう昔話が伝わっている時点で、かの地域でも猫は喋ることができる動物と認識されていたのかもしれない。
筆者は聞いた!猫の苦情を!
ところで僕も、実は猫の喋る人間の言語らしきものを聞いたことがある。
それは今からもう10年以上も前。
当時飼っていたメス猫、トメと暮らしていたときのことだ。
知識もなく、その当時、僕はまだ猫を屋外に出すという無責任な飼育方法を実践していた。
ありがちだけど「猫は外に出たがってる」と思って、外でする糞尿の始末を他人任せにしていたのだ。悪い飼い主である。
今は完全室内飼育に切り替えているが、やっぱりそのほうがいい。
猫が外に出たがるのは、家の中に猫が満足する娯楽がないからだ。つまりは飼い主の努力不足という側面もある。
……話が逸れてしまった。
ある夏の日、そのトメが昼頃に家に戻ってきて、目の前で「くさい」と喋ったように聞こえたことがあった。
「お、今なんか喋ったな」と返事をしたが、トメはしらんぷり。
気のせいだと思ってそのままにしていたんだけど、翌日のことだ。
玄関から出ると妙に臭い。糞便の匂いがそこら中から漂っている。
周りを確認すると、マンホールから何か文字にできないようなものが大量に溢れかえっているではないか。
このとき僕は「あ、昨日の『くさい』ってこれのことか」と納得してしまった。
不思議だったけど、まあ、そういうことが実際にあったのだ。
■おわりに
猫は一生に一度、人間の言葉を使う。
ということは猫は猫語と人語のバイリンガルってことになる。
素晴らしい。僕なんて日本語しか使えないのに。
しかし、一生に一度しか人間の言葉を使わないなんて、もったいないなぁ。
もっと普通に、フランクなノリでガンガン話しかけてきてもいいのに。
でもまあ「にゃー」って話しかけてくれるだけでも嬉しいからいいけど。
文/松本ミゾレ