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猫同士の厳しい生存競争…熾烈な縄張り争いや子殺しを知ろう

2020.06.26

猫同士の厳しい生存競争…熾烈な縄張り争いや子殺しを知ろう

かくも野生の世界は残酷だ。
生き物は、自分より大きな生き物に捕食され、その大きな生き物もまた別のより大きな生き物に捕食される。
さらには同種間で争いは起きるものだし、ときには命の奪い合いだって起きてしまう。

日本に住むメジャーな外来種である猫ことイエネコたちもまた、そういう過酷な環境を今この瞬間も生き抜いている。
野良猫と呼ばれる彼ら(避妊・去勢を受けず、人の手助けもない状態の猫と定義する)にとって、生きることは戦いなのである。

繁殖期、猫たちの闘争はピークに…

怒る野良猫

猫の繁殖期は年に2、3回と言われている。
大体は春と夏に分けられる形になるが、この時期は発情した猫のフェロモンに影響を受け、オス猫たちも本格的な繁殖シーズンの到来を察知する。

家の中で未去勢でも大人しかった飼い猫が、窓を開けたときにメスのフェロモンを嗅いで豹変する、ということが多々あるがこれも繁殖シーズンになったオスの変化をよく把握できる一例だろう。

屋外の野良猫たちは、繁殖の狼煙が上がってしまうと落ち着きがやや欠け、オス同士はメスをかけて熾烈な戦いを繰り広げる。
基本的には強い猫と弱い猫が争う場合、頃合いを見て弱い猫が退散するため双方大けがを負うことは少ない。
また、命を奪われる個体が出るほど戦いが激化することも稀だ。

ただし屋外には危険がつきもの。喧嘩の最中に車道に出てしまい、2頭とも車に撥ねられて……という事態は十分想定できる。

そして猫は縄張り意識を持つ動物。
さらには爪や牙などの強力な武器も有するため、喧嘩ともなると躊躇なんてしてはいられない。

どちらかが「もうだめだ」と思うまでは争い続ける生き物であるし、繁殖シーズンともなると自分の子孫を残せるかどうかがかかっている。
否が応にも普段より気合を入れて喧嘩をしてしまう個体は増えやすいし、そうなれば大きな怪我を負う個体も増えてしまう……野生の宿命とはいえ、これはやはり過酷だ。

子殺しをしてでも自分の子孫を残そうとするはぐれオスも…

野良の子猫たち

猫は多産の動物。一度の妊娠で多数の子猫を産む。
しかしその可愛い子猫も、屋外では全頭つつがなく成長するわけではない。

要領の悪い子や、生まれつき体力がない子から力尽きてしまい、最終的には産まれた数の半分かそれ以下の数にまで減ってしまう。
その原因の一つになっているのが、はぐれオスの存在だ。

はぐれオスというのは簡単に言えば、繁殖期なのにメスと交尾ができずにあぶれてしまったオスのこと。
必死にまだ妊娠していないメスを探すものの、どうにも出会えない。
そういう場合に、彼らは育児中の母猫の目を盗み、その母猫の育てる子供たちを殺してしまうのだ。

母猫は当然、可愛い我が子が全滅したという事実に嘆き悲しむも、ほどなくしてまた発情をする。
残酷な話だが、こういう仕組みがあることで、はぐれオスにも遺伝子を次代に受け継がせるためのチャンスが用意されていると考えることはできるだろう。

もちろんそうならないために、子供を育てている母猫も育児期間中はオス猫に対してかなり過剰に攻撃を仕掛ける。
だが、餌を探しにでかけた瞬間を狙ってねぐらに忍び込み、目的を果たすオス猫がいるのは事実。

はぐれオスについてはここ最近になってようやくテレビメディアでもその習性が紹介され、徐々に認知されるようになってきた。
野生の世界を生きる野良猫の、命の継承にかける執念はかくも強いのだ。

おわりに

猫同士のけんか

ここ2年ほどは見ていないけど、僕の住んでいる地域にも子猫を連れる母猫がうろうろするということはある。
最初は4頭とか5頭とか賑やかなんだけど、次に見たら3頭、また次に見たら1頭……という具合にやっぱり数は減る一方だった。

屋外には車も走っているし、とかく危険が多い。子猫にはつらい世界だ。
くわえてはぐれオスによる全滅の危機まであるのだから、たまらない。
しかしはぐれオスの襲撃は元々猫に備わった宿命。これは残酷だが、仕方のないことである。

私たちはついつい、屋外で野良猫を見かけると「可愛いね」と思ってしまいがちだが、そんな可愛い猫たちは、私たちでは到底耐えられない過酷な社会に生きている。

文/松本ミゾレ

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