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なぜ「白猫」は特別視されるのか?

2022.04.13

「白猫」が特別視される理由

世の中には様々な毛色の猫がいるが、僕が個人的に一番好きなのは白猫だ。
なんたって描きやすい。柄がないし色を塗る必要がないんだもの。

それに、今年で5歳になるうちの白猫が、まあなんとも愛しい。頭もいいし顔もいい。最高の相棒なのだ。

さて、そんな白猫については、昔から世界各地で重宝されてきたという歴史があるようだ。

まあ白い動物はどの国でも神性が高い生き物として認知されやすいけども、猫においてもこれは言えるということだろう。

今回は、白猫と私たちの歴史に見る、彼らの扱われ方について紹介していきたい。

白猫の歴史その1 白いネコ科の動物は神聖なものとされていた

神聖な白猫

まずいきなりなんだけど、白猫の括りをちょっと拡げて、白いネコ科動物にまで拡大解釈していきたい。というのも白猫の歴史を語るうえで、この考えを無視するのは少し勿体ないと思ったからだ。

ヒマラヤでは古くから、白い虎を聖なる存在として崇めるという風習があった。

見た目も美しく、瞳も他の虎とは違った色をしていたため、何か特別な意義を昔の人は見出していたのだろう。

日本でも白い動物は何かと信仰の対象となる。

白蛇なんかはその代表例と言ってもいい。白い動物は神の使い、あるいは化身と考える人は、歴史を遡ると世界各地にいたわけだ。

白い虎といえば、それこそ中国では四神のうちの1柱、西方を守護する白虎がつとに有名である。

白虎もまたネコ科の白い毛皮をした動物ということで、広義の白猫だ。

しかも白虎の場合、残されている文献をよく見ると、普通の虎よりも体がほっそりとしており、体型は猫に近い。

顔は獰猛だが、体のバランスは白猫にかなり寄せて描かれているイラストは多いのは面白いところだ。

白猫の歴史その2 白猫を飼うと幸運が舞い込むという言い伝えについて

オッドアイの白猫

ではここから、具体的に白猫についての歴史を書いていきたいんだけども、一言で片づけると白猫の歴史とは、ジンクスの歴史でもある。

古くから白猫はなぜかそこまで希少でもないのに、見かけるといいことがあると考えられる節があり、しかもそれは世界中に見られる特徴っでもある。

たとえばアメリカでは、白猫を見かけると幸運の兆しだとするジンクスがある。また、夢に白猫が出ても良いことが起きる前触れとされていた。

イギリス南西部ウェールズ地方では、白猫は古くから黒猫とあわせて大事にされていた。

なんでも、白と黒の猫を一緒に飼う世帯には幸せが舞い込むと言われていたのだ。

さらには当地においては白猫を見かけたらキスをすることが推奨されていた。なぜなら、白猫にキスをすると痩せるというジンクスが根付いていたからだ。

正確な発祥時期は不明だが、裏を返せばそれだけ長い歴史の中に語り継がれてきた迷信ということになるのだろう。

ちなみに、白猫にいくらキスしても実際に痩せることがないのは、筆者が身をもって証明するところである。

白猫の歴史その3 王宮を守護する希少な白猫たち

所変わってタイでは、かつて王族がこぞって白猫を飼育していたという歴史がある。その白猫というのが、カオマニーと呼ばれる猫たちだ。

白猫の系統を代々維持されてきた品種で、かつては王室に幸運を招く猫として「決して王宮から出してはならない」とまで大事にされていた猫たちである。

白猫の数割かがオッドアイで生まれるように、カオマニーにもオッドアイの個体は多かった。

そしてそういったカオマニーは一層貴重な存在として大切に飼育されていたということだ。

その血統が市場に流出したのも1999年になってからなので、未だにかなり貴重な品種であると言えるだろう。

やはり人は、昔から歴史的に見ても、白猫を特別視する傾向があるようだ。

そもそも日本でも、白猫は特別な存在…

白猫の子猫

翻って日本である。

日本でもまた、白猫は人々から特別視されてきたきらいがある。

たとえば猫又という妖怪は、白い猫ほどよく人を化かすのだという説もあるほどだ。

ただし日本人にとって白猫の歴史と言えば、招き猫。その存在を忘れるわけにはいかない。

置くだけで家運を上げるとされてきた招き猫、その大半は白猫がモチーフになっている。まあ、単純に塗装コストが低いからだけど……。

しかし白猫を招き猫にする意味合いはしっかり用意されている。

白の招き猫は開運招福を司っているとされており、ありとあらゆる幸運を招くという意味合いを持っているのである。

とりあえず商売もせず、家族も健康という場合には、白猫の招き猫を置いておくと無難に幸せがやってくるというわけだ。

汎用性が高いため、多くの人々に愛好されてきた歴史を持つのが、白い招き猫ということになるだろう。

猫が家にいなくても、招き猫は昔から置いてあるという世帯も多い。

そのほとんどが流通数の関係上白い招き猫であることを考えると、私たちは極めて無意識のうちに、白猫を長年信仰してきた民族なのかもしれない。

白猫の歴史、それは人類の信仰の歴史

ということで、今回は白猫の歴史について簡単に遡ってみた。

目立つのは人が自分たちで作ったジンクスによって、白猫を大切にしてきた傾向が、各国に見られるという点である。

先述したウェールズ地方は別だったようだが、ヨーロッパ各国はかつて猫を魔女狩りの際の捕縛対象にしていた。

しかしこれって世界的に見ればかなり異質な集団ヒステリーであって、俯瞰で見れば私たちは実に長い間白猫を慈しみ、信仰の対象にもしていたのである。

白猫。長年人類を魅了し続ける毛色を持つ猫。その魅力は恐らく、今後も多くの人々を虜にし続けるに違いない。

文/松本ミゾレ

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