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自分に代わって最後までペットの面倒を見てくれる「信託システム」って、いくらかかるの?

2019.12.15

自分に何かあって、ペットの世話ができなくなったら…?

「もし自分に何かあったら、この子たちはどうなるんだろう?」そんな不安を抱えながらペットと暮らしているシニアの方やひとり暮らしの方が増えています。「最後まで面倒をみられないかもしれない」という不安から、ペットと暮らすことをあきらめるシニア世代も…。

でも最近は、前もって飼育費用を託すことで、飼い主が亡くなったり、世話ができなくなったりした場合も、里親を見つけて最後まで面倒を見てくれる「ペットの信託」が増えています。以前、このサイトで紹介した大阪のNPO法人「ペットライフネット」もそのひとつ。

この取材の時はシステムの紹介のみだったのですが、実際にいくらくらいかかるのかも、気になりますよね。先日、東京初のセミナーが開かれたので参加し、具体的な金額や方法、実際に利用した方のケースなどを知ることができましたので、報告します!


11月30日に東京で新宿で開催されたセミナー

ペットの信託以外の方法だと、「お世話」の内容が不安

自分が亡くなった後、法律的に、資産を遺す条件でペットの世話を委託するための枠組みはいろいろあります。セミナーはまず、弁護士の檜山洋子先生と、司法書士の木村貴裕先生による「ペットの信託」以外に可能な方法の解説から始まりました。ここで「負担付き遺贈」「負担付き死因贈与」「後見制度」などの方法はどれも、「自分が世話をしてきたように、きちんとペットの世話をしてくれるという保証がない」という問題点は共通であることがわかりました。


ユーモラスな大阪弁で、熱く語ってくださった「ペットライフネット」創立者で代表の吉本由美子さん

次に、「ペットライフネット」代表の吉本由美子さんが登場。一人暮らしで3匹の猫と暮らしていた60歳の時、急病で半月ほど入院したことをきっかけに、自分が亡くなった後の3匹の愛猫の飼育について真剣に考えるようになったそうです。知り合いの弁護士に相談し、ペットの信託の構想を練って、賛同した専門家たち(弁護士、司法書士、公認会計士、税理士など)とともに2014年、「特定非営利活動法人ペットライフネット」(以下PLN)を設立。ぺット飼育信託システム「わんにゃお信託®」の提供を開始したのです。


「わんにゃお信託®」発足のきっかけとなった吉本さんの愛猫たち 

「わんにゃお信託®」のシステムは以下のとおり。

ペットの一生分の飼育費用や医療費、葬儀費用、修正飼養管理費(里親を探すのにかかる費用、里親の飼育を監視する費用など含む)にかかるお金「エンジェル料金」を算出し、信託会社に預けておく。

飼い主が死んだり、施設に入って世話ができなくなったりした時、PLNが里親への仲介と引き取り後の飼育状況の監視をする。

PLN指示のもと、ペットが生きている間、里親に信託会社から生涯飼育費用が払われる。

飼い主もペットも元気な期間は、預けていた飼育費用は手をつけることなく保全され、ペットが亡くなった時点で終生飼養契約は終了。預けていた飼育費用の全額が飼い主に戻されます。

最初にどれだけ必要なのか、わが家の猫で計算してみた

問題は、最初に預ける「エンジェル費用」。これはきちんとした算出方法がありました。


加入時に託す費用の算出方法。左が猫用、右が犬用

わが家の愛猫の場合で計算してみました。

食費は、フード代が月3000円くらい、おやつ代が2000円くらい、計5000円。1年間で60,000円。雑費(砂などトイレ用品)はトイレ砂、ペットシーツ、ごみ袋などでこちらも月5000円くらいなので、年間60,000円。その他もろもろで年間飼養料の合計は232,050円となりました。

さらにかかりつけのお医者様に血液検査を依頼してPLNに送り、その結果からおおまかな余命を予測。うちの子は5歳で、平均寿命と診断されたと仮定すると11年。先ほどの年間飼養料×11年で255万円ほどになりました。

これに、病気になった時の「医療&介護コース」が加わります。手厚い医療と介護を望むなら年間100万円×平均期間3年分。そこまでは無理だけど、病気で痛かったり苦しかったりした場合は絶対に緩和ケアをして欲しいから「やや手厚い医療と介護」をチョイスすると、50万円×3年分で150万円。葬儀には特にこだわりはないので、5万円の合同火葬・共同墓地でOK。合計は410万円ほどになりました。

11年間で月割りにすると、月3万円。信用できる里親を探してくれ、里親がペットのために使ったお金を精算し、さらに里親がきちんと面倒を見てくれているかPLNのスタッフが定期的に監視してくれることを考えると、決して高くはないように思います。「そんなお金は手元にない」という方のために、積み立て方式の信託もあります。

所有権を里親に渡さない理由も判明

前の取材で私が不思議に感じたのは、「飼い主が亡くなって、いい里親が見つかった」場合も、所有権はPLNが持ち続けていること。これは、こういうペットの信託に入る人は、本当に心からペットを大事に思い、強い結びつきを持っている人ばかりなので、そのペットは飼い主を恋しがり、里親にどうしてもなつかない場合が少なくないからだとか…。その場合は再度PLNが引き取り、そのペットが落ち着いて暮らせる新たな里親を探すそうです。


老人ホームに入居した元飼い主を慕い、里親に懐かなかったみぃちゃんの例。2回目に引き取られた里親さんとはうまくいき、元の飼い主(写真左)とも月に1回ほど会っていたとか

単に里親を探すシステマチックなやりとりではなく、元の飼い主が忘れられないペットの気持ちまで考え、血の通ったお世話をしているんだな、と感動しました。

もうひとつ、私がいいなと思ったのは、ペットを預かる里親に年齢制限を設けていないこと。実際、上の写真のななちゃんは、長年暮らしたペットを亡くし、もうペットとの暮らしはあきらめていたシニアの夫婦に引き取られ、里親もななちゃんも幸せに暮らしているそうです。

また、里親を探す時は「終生飼育費用を払う」というシステムはあえて明かさず、全く普通の条件で里親を探すそうです。そういう細かなところも含め、本当にペットのことを第一に考えたシステムだと思いました。

またPLNが一切、お金にタッチしない透明性の高いシステムであることや、信託会社は運用をしないので、預けたお金が目減りすることがない、といった点も安心。会計士さんや税理士さんがスタッフにいる団体ならではのシステムですよね。

今、こうしたペットの信託は少しずつ増え続けています。それぞれどんな違いがあるのか、これから少しずつ取材し、紹介していこうと思います。


すっかり成長した、現在の吉本さんの愛猫たち 

取材・文/桑原恵美子
取材協力/NPO法人 ペットライフネット

◎過去記事

ひとり暮らしのシニアも安心してペットと暮らせる「信託システム」って?

取材協力/NPO法人 ペットライフネット

◎関連リンク/

わんにゃお信託®公式サイト http://petlifenet.org/wannyao-trust/

NPO法人 ペットライフネット http://petlifenet.org/

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