先住猫と新入り猫の喧嘩、止める?止めない?
先住猫と新入り猫の顔合わせというのは、何度経験しても冷や汗が出るものだ。
仲良くしてくれればそれでよし。しかし大抵の場合、どちらかが威嚇したり、どちらもやる気満々で唸り合う。
時にはちょっと目を離した隙に、血みどろのキャットファイトを展開することだってある。
こういうときって、つい飼い主としては困惑してしまいがちだ。
人によっては、猫同士の喧嘩を身を挺して止めようとする場合もあるだろう。
ただし、喧嘩のたびに仲裁しようとしても、猫はなかなか納得してくれない。場合によっては、一度とことんまで喧嘩をさせてみるのも一つの解決方法だったりする。
猫の喧嘩を止めなくていい理由
猫同士の喧嘩って割と激しい。
揉み合いになって噛みつき、噛みつかれ、お互いに興奮してヒートアップしまくるような喧嘩は、避妊・去勢済の個体同士であってもままあること。
その都度怪我を負うことになるわけだが、飼い主としては非常にヒヤヒヤするところである。
だけども、あえてこの喧嘩を止めないのも、後々に遺恨を残さないためのやり方でもあるのだ。
何故なら猫同士は、どうしても序列をつけたがる習性があるし、お互いの関係性をはっきりさせたがるものなのだ。
つまり、一度とことん喧嘩をさせて力関係を浸透させることも大事で、こうすることで以降の無駄な衝突の頻度は低くなる。強い猫、弱い猫の関係性を毎回飼い主の横やりで邪魔されてはっきりさせないままだと、ずっと無用な争いが続くようになってしまう。
どうしても飼い猫同士の喧嘩は止めたくなる。
だけど、ここは堪える場面である。そして叱ってもならない。
猫は殺し合いに発展するほどの凄惨な戦いをすることはほぼないので、猫同士の世界のことと割り切って、見守る気構えが大事となる。
先住猫も新入り猫も、喧嘩をする必要性に迫られている!
そもそも猫はなわばりを強く意識する動物だし、飼い猫の場合は飼い主に依存する性格の個体もいる。そういう動物なので、関係性を早期に確立させることは彼らにとっては必要なことなのだ。
実際、我が家でも3頭のオス猫が共同生活をしているが、この力関係を一度確立させるまでは喧嘩が多かった。
が、やがて彼らの抗争を見守るの日々を送るうちに、自然と序列は定まった感がある。
面白いのは、一番力が弱い猫が、もっとも序列が低くなるわけでもない点である。
力はないが知恵があり、高所から攻撃する猫に対しては、体の大きな猫も負ける。そして体も大きく、執念深い猫は知恵のある猫にも果敢にトライし、やがて力関係を体で理解させる。
我が家の場合、一番非力で知恵のある猫が、一番大きく嫉妬深い猫には手も足も出ない。
が、その一番大きく嫉妬深い猫は、一番若くて血気盛んな猫には全くかなわない。そしてその一番若くて血気盛んな猫が、一番非力だが知恵のある猫に翻弄され、逃げ惑う。
何とも奇跡的なバランスの三すくみである。
猫は人間と同じく、かなり社会性を有した動物。
序列を把握することで、自分なりの立場で生きることをおぼえるのだ。
おわりに
もちろん、あまりに一方的な展開の喧嘩が続く場合は要注意。さすがに猫同士の相性が最悪ではないかと疑う必要が出てくるだろう。
こういうときは喧嘩を止めさせ、怪我をした場合は治療をしてあげよう。そしてしばらく、お互いの姿が見えないように別々に生活させることだ。
その上で普段の生活スペースを分けるか、最悪の場合はもっと良い環境を用意してくれる別の飼い主を探す必要もあるかもしれない。
ただまあ、そういう事態に陥ることは本当に珍しいこと。
基本的には一度決着が着くと、それ以降は先住猫も新入り猫も、お互いをある程度尊重して同居する方向性に落ち着いてくれるようになる。
文/松本ミゾレ