猫が30年生きると大妖怪「猫ショウ」になれる?
現在、猫の平均寿命は15年程度と認知されるようになった。
最適な飼育方法が確立され、食べ物にも気を遣う飼い主が増えたことで、猫は本当に長生きするようになった。
さて、日本では昔から、長生きした猫は知恵をつけて妖怪になるという伝承が語り継がれている。尻尾が2つに分かれた猫又の存在は、よく認知されているところである。
その猫又の、さらに上位互換とも呼ぶにふさわしい妖怪がいる。
それが猫ショウだ。
最高位の猫妖怪、猫ショウ。その実力は猫界のフィクサークラス?
日本全国津々浦々、猫にまつわる怪談は数あれども猫ショウについての話はかなり少ない。
それは猫ショウになった猫がかなり少ないことに由来する。
ただの猫又とは格が違う存在といってもいい。
猫ショウは人間よりも賢く、万物のことわりにも理解を示す存在であるとされている。さらに妖怪としての神通力まで持ち合わせており、これも並みの妖怪よりもはるかに強いというのだ。
それだけではない。
猫ショウは猫たちを率いる妖怪であると考えられており、この猫たちの中には、猫又も含まれている。
つまり、この妖怪は猫又たちのボスというわけだ。
多数の猫や、妖怪たちを支配して君臨する猫ショウは、まさしく猫のピラミッドの頂点に位置する大妖怪なのである。
おたくのにゃんこだって、いつか猫ショウになれるかも…
では、そんな高等妖怪である猫ショウはどうやって誕生するのだろうか。これについてはおおよその目安がある。それが寿命だ。
長く生きた猫は猫又になると冒頭で書いたが、猫ショウになるには相当に長生きしなければならない。
ざっと30年。この途方もない時間を生きながらえた猫だけが、猫ショウになれると伝えられている。
30年というのはなかなか達成が難しい目標だ。
だから猫又クラスの猫の話はたくさん残っているが、猫ショウについては本当に伝説レベルでほとんど関連話が言い伝えられていない。
ただ、猫の寿命は年々少しずつ伸びている。
飼育方法が最適化され、今では当たり前に10年以上生きる猫はざらに見かけるようになった。
くわえて、今後はきっと、猫にとっては発症=死に近い難病や、疾患をかかえる可能性が高い腎臓回りのトラブルに悩む猫についても特効薬が開発・普及されることも考えられる。
となると、30年に迫る長生きというのも、あながち夢物語ではなくなるのかも……。
おわりに
ちなみに、ギネスブックに登録されている世界最長寿命の猫の年齢は38歳。
相当な長生きを達成しており、まさしく驚愕の域に達している。
この猫については「さぞ徹底した健康管理下で飼育されていたのでは?」と考えがちだが、その実かなり人間寄りの生活を歩んでいた。
驚くことに、38年という時間の中ではコーヒーを飲み、焼いたベーコンをたしなむといった、「それって駄目でしょ」と心配になるような食生活を謳歌していたのだ。
が、猫ショウは相当に頭がいい妖怪。
もしかすると食生活を人間と近しくすることで、人を知り、知恵をつけて猫?になるまでに長生きの秘訣を学んだ……ということかもしれないが、真似はNGだ。
文/松本ミゾレ