6月に成立した、改正動物愛護法では、動物虐待への罰則が従来よりもかなり重くなるなど、より動物の命を尊重する法律が盛り込まれることとなった。と同時に今回の改正法施工後は、販売用の犬猫へのマイクロチップ装着も原則義務化されることとなっている。
あわせて個人で飼育している犬猫については、マイクロチップの装着の努力義務が生じることも、この改正法では触れられている。
でも、努力義務ってどういうことだろうか。
それに、そもそもマイクロチップの装着って、動物の体に負担がないか不安という飼い主もいるかもしれない。
今回はこの点について、少し考えを深めていきたい。
努力義務は強制ではない!装着させたくないなら、マイクロチップ導入を見送ってもOK!
まずマイクロチップの装着についての努力義務についてだが、努力義務というのはあくまでも、文字通りの意味合いであると受け取っていて構わない。
法律上は「〜できるように努めなくてはならない」みたいな書き方をされることが多いが、別に強制ではない。
なので今回の場合、マイクロチップの装着について、これに従わないと罰則があるとか、そういうわけでは決してない。
ただ、マイクロチップの装着についてはメリットも多い。
脱走・迷子になったペットの所在地を知るためには欠かせないものだ。首輪に住所を書いていても、その肝心の首輪が外れてしまうと、もう野良の個体と区別が難しくなってしまう。
もしもマイクロチップが埋め込まれていれば、最悪愛護センターに行くこととなっても、そこで照会ののち、本来の家に戻れることだってある。まさかのために手段としては、マイクロチップほど有用なアイテムは、現状まだ存在していない。
マイクロチップの装着、ペットに負担はないの?
もっとも、マイクロチップの有用性については既に多くの飼い主が理解はしているものだと感じる。
そのうえで装着を見送っている飼い主の気持ちも分かる。なにせ動物の体にチップを埋め込むのだ。もしも痛みが生じたり、後遺症が出たら恐ろしい。筆者も飼い猫にマイクロチップを装着させる前は、そんな気持ちでいっぱいだった。
実際、筆者の周囲の犬猫の飼い主と話をしていても、「痛みがあるって話も聞くし」とか「体に機械を埋め込むのはかわいそう」という意見が出ることは多い。
もろ手を挙げて装着に賛成する飼い主のほうが少ないように思える。
で、ここからは筆者個人の考えを書くことにする。
確かに不安ではあったけど、この国は災害大国だ。
もしも大規模な地震に見舞われて、飼い猫とはぐれたら……きっと自力での発見はかなり困難なことだろう。だから、もしそんな事態に直面したときに、飼い猫と再会する可能性の芽を、少しでも多くしておきたいと思うに至った。
それでマイクロチップを装着してもらったんだけど、幸いなことに、我が家の猫たちに別段の異常は見られることもなく、安堵した次第である。
実際、一番怖かったのは「装着後の痛みがあるのでは?」という点に尽きたんだけど、とりあえず我が家での3頭の飼い猫の様子を見る限りでは、別にそういうこともなさそうだ。
おわりに
もちろん、ネット上にはマイクロチップを装着させることについて賛否両論あることは知っている。サイトによっては、「マイクロチップには発がん性がある」という記述も相当数見受けられる。
ただ、その情報のそもそものソースを自分なりに検索しても、信頼に足る学術的な根拠が見当たらなかったため、我が家では筆者の責任において装着措置をさせた、というだけだ。
これはあくまでも筆者の個人的な采配であるため、「それでも心配だ」という飼い主さんは、マイクロチップの装着を見送ってもいいだろう。
なにせ装着は努力義務を課せられているだけで、強制ではないのがありがたい。
飼い主の信条に基づいての非装着であれば、今のところは誰にも批判する権利もないのだ!
文/松本ミゾレ