猫の口は基本的に臭い。だけど健康的な臭さとそうでない臭さがある!
猫の口臭って、なんとも言えない不思議な匂いである。
魚臭いというか、甲殻類臭いというか、あくびの際の吐息を嗅いでみると、とにかくそんな不思議な匂いが漂っていることに気づかされる。
昔は猫に魚を食べさせる世帯も多かったものだが、今や猫の主食はカリカリなどのペットフードが大半。それなのに魚臭い吐息というのは、なんだか面白いものだ。
人間であれば、呼吸のたびに魚臭いなんて状況は大問題。
しっかりと歯磨きをしなければならないものだけど、猫の場合はこれが平常運転なので問題にならない。
しかし、もっと別系統の匂いが漂っていたという場合は、要注意かもしれない……。
猫は歯周病と切っても切れない縁を持っている!
これは猫を飼っている方々にとっては比較的当たり前の話なんだけども、とにかく猫は歯周病になりやすい。
歯石は人間と同じく、毎日の食事を経てどうしても蓄積する。そして歯磨きも個体によっては嫌うケースが多く、効果的な除去はなかなか難しいところだ。
するとやがて歯肉炎をもよおし、この炎症が慢性化してしまうと、やがては歯周病に至ってしまう。
重篤化すると歯が抜け落ちてしまったり、歯茎から常に出血したり、ちょっと歯茎を触っただけで血が少量出るようになっていく。
当然これは猫の健康寿命にも悪影響を及ぼす事態であるので、飼い主としては頭を抱えることとなる……。
また、歯周病になってしまった猫は、常によだれが出るようになってしまうため、遠目にも判別がつきやすくなるという傾向がある。
屋外で暮らす野良猫や地域猫が口からよだれを引いていることがあるが、そういった猫の口を覗いてみると、やはり歯周病になってしまったことが窺える状態が多い。
そして何よりも、歯周病になってしまった猫の口からは、いつもとは違う匂いが漂うのですぐに分かる。
歯周病の猫の口の臭さは、健康な場合の臭さとは違う!
冒頭で書いたように、普通の猫の口臭は魚や甲殻類の匂いがするものだ。一方で歯周病の猫の場合は、もう少し別のベクトルの異臭がする。
具体的に書くと、刺激臭が強まるのだ。
口を直接嗅いでみるか、猫が舐めた箇所を嗅いでみるなどすると、すぐに異変に気付くことができるだろう。
もしもいままではしなかったような異臭に気づいたら、飼い猫の口の中、歯の根元や歯茎近辺をしっかり観察してみることをお勧めする。
歯茎がただれて出血していたり、歯が黄色く変色してしまっていたりしたら、赤信号となる。
この段階からでももちろん治療は可能だ。
投薬をしたり、歯石を除去するなどの処置で症状はいくぶん治まることだろう。だけど、やっぱり大事になるのは普段から歯磨きの習慣に慣れてもらうことではないだろうか。
飼い猫が歯磨きを嫌がらず、ある程度ブラッシングを受け入れてくれる。これこそが歯周病を防ぐ一番の手立てになることは間違いない。
おわりに
猫の口臭は健康のバロメーター。臭さの質に対しては、毎日しっかりと気を遣ってあげよう。
いつものように、ちゃんと魚臭いだけなら問題もない。
だけども、もしも刺激臭が強まってきたのなら、早めに獣医さんに診せてあげるべきだ。処置が早ければ、それだけ歯周病の進行も抑えられるし、飼い猫の負担も少なくなる。
人間も猫も、長生きをする時代になった。
自分の歯を存分に使って食事をすることができないと、相応のストレスがかかるのは人も猫も同じ。飼い猫の歯を守れるのは、飼い主だけである。
文/松本ミゾレ