まるで宝石。猫が見せる目の色の変化「キトゥンブルー」
猫の目を、よく宝石にたとえる人がいる。
その気持ちは分かる。猫の目は透き通っていて幻想的で、どんな色合いであってもそれぞれに素敵な魅力を放っているからだ。
幻想的といえば、猫の目の色の変化もまた幻想的である。彼らはまず生まれてきて、目が開くと青色の瞳をしている。しかしこの青色は成長に伴って徐々に変色していき、やがて緑や黄など全く別の色に変化してしまう。
この変化の様子を、文字通り目で追った経験のある方も多いはず。今回は、子猫たちの青い瞳、キトゥンブルーについてのコラムを展開していきたい。
なぜ子猫の目はみんな青色なのか?
話の本題に触れる前に、ふと疑問に思ったことを書いてみたい。そもそもなぜ、猫はまだ幼い時期、多くの個体がキトゥンブルーと呼ばれる目の色をしているのだろうか。
この秘密は、目の中のメラニン色素の量が影響しているという。
生まれてすぐの時期は、まだ眼球の色素の定着が完了しておらず、そういった状態だと目の色が青に見えてしまうのだそうだ。
メラニン色素という言葉自体は、日焼け対策をすることの多い女性にとっては聞きなれたものだろう。
猫の瞳に限った話ではなく、動物の多くはメラニン色素を多かれ少なかれ生成している。
が、生まれたばかりの人間の瞳の色は猫と違い、青色ではない。キトゥンブルーは猫に生じる、きわめて限定的で一時的な、美しい青色の奇跡と考えてもいい。
通常、3ヶ月程度でキトゥンブルーは目立たなくなる!
さて、目の開いたばかりの子猫の瞳が青色をしているということは、これまでに説明したとおり。ではキトゥンブルーはどの程度持続するものなのだろうか。
これについてはおおよそ、目が開いてから3ヶ月程度だといわれる。
もちろん個体差はあるため、猫によっては3ヶ月を迎える前に、瞳のメラニン色素がしっかり定着を終えて、一生モノの色合いに変化することも当然ある。
私事でアレだけど、昨年10月に我が家に子猫の状態でやってきた黒猫は、拾われた時点で目が黄色になっていたので、3ヶ月待たずにキトゥンブルーを卒業したと思われる。
つまり、青い目の時代は貴重というわけだ。
「親の目が黒いうちに親孝行しておく」という教訓めいた言葉よろしく「飼い猫の目が青いうちにはしっかり写真で記録を残しておく」ことをオススメしたい。
ただし、中にはキトゥンブルーを介さないで、そのまま決まった目の色をして成長していく猫もいる。
アルビノの猫がこれに該当する。
アルビノの生き物はメラニン色素を体内で生成しないという特色を持っているため、目の色は血管などの色合いをそのまま反映させた赤となる。
猫に限らず、アルビノの動物全てがそうであるので、たとえば白猫とアルビノ猫の違いは、目の色で簡単に区別することが可能となるわけだ。
もっとも、偉そうに講釈を垂れているが、筆者はまだ写真でしかアルビノ猫を見たことがない。
生きているうちに、じかにアルビノ猫の赤い瞳を観察したいものだ……きっと綺麗なんだろうなぁ〜。
おわりに
繰り返しになるけど、キトゥンブルーの綺麗な青色の瞳を楽しめるのは、その猫が幼い間だけに限られる。
いずれは色素がしっかり定着して別の色合いになってしまうので、貴重なキトゥンブルーの期間を存分に愛でておきたい。
それこそ、ウチで暮らす猫の1頭は瞳が青いが、この飼い猫も幼い頃はもっと別の色合いの青い瞳をしていた。同じ青色の目というわけではなく、まるで別物だった。
やっぱり、キトゥンブルー時代は瞳の色も特別。そんな時期の写真は、いっぱい撮影しておくに限るのだ!
文/松本ミゾレ