甘く見てはいけない…猫の異食症とその対策
ペットの行動は時として、飼い主の予測を大きく外れた動きを見せることがある。
それが洒落で済む程度のイタズラならまだしも、下手をするとペットの怪我や思わぬ事故に繋がることもあるので、油断は禁物だ。
特に猫は「なぜそんなものを」と思ってしまうような“食べられないもの”に強い執着を見せる場合がある。
紐やビニールなどを食べたがる猫がいることを、ご存知の方もきっと多いはずだ。こういった、食べられないものを食べようとする状態を指して、異食症と呼ぶそうだ。
猫の異食症はもっとも身近でもっとも危険?
さて、人間も異食症と診断されるケースがある。
そういえば子供の頃、テレビで土を食べる人を観た記憶がある。あれももしかするとテレビ向けのパフォーマンスではなく、異食症の人だったのかもしれない。
この異食症という症状は、猫の場合は人間よりはるかにその傾向が多く見られる。
我が家でも特に、ビニール袋に執着して、すぐに口の中に入れようとする猫がいる。
万が一飲み込んでしまえば消化できない物質であるので、吐き出すか、フンとして出てきてくれればまだいいものの、下手をすると腸閉塞などのリスクをあたえることになってしまう。
紐の場合も猫が好む代表的な異食症事例の源のようだが、これも吐き戻さないしフンにも混じらないという場合はかなり危険だ。
最悪の場合、手術をして取り除くことになるが、これも処置が遅れればそれだけ猫の体には大きな負担となってしまう。
異食症の原因って?そして対策はどうすればいい?
それにしても、そもそもどうして異食症の猫が誕生してしまうのだろうか。
この原因については諸説ある。
たとえばストレスが原因で、通常口にしないものなのに食べてしまう猫もいるという。
猫はストレスを感じると行動でそれを表現することが多い動物なので、何となく「そうなんだな」と思うにいたる原因が特定できれば、それを取り除くだけでいいだろう。
飼い主が構う時間が少なくなってから異食症めいた動きを見せるようになったのであれば、従来のようにしっかり一緒に遊んであげれば、解決する可能性がある。
他にも、遊びの延長で本来食べてはならないものを食べる猫も多い。
ビニールは食感がいいのか、噛んでいるうちに誤って飲み込んでしまう猫もいる。
ウチも気をつけているが、どこからか引っ張り出してきたビニール袋が、噛み跡だらけになっていてゾッとしたことも……。
そうしたこともあって、現在ではビニール袋は取りまとめて、猫の手が届かない高い場所に保管している。
こうすることで、猫の誤飲も防ぐことができるようになった。
紐にしてみても、同じことが言えるだろう。
紐で遊ぶのに夢中になる猫は多いが、やっぱり遊んでいるうちに噛み千切ってしまい、上手く吐き出せずに飲み込んでしまう個体も、いないとも限らない。
とはいえ、紐は猫のおもちゃとしてはかなり優秀な部類なので、猫から紐を取り上げるのもかわいそうに思える。
なので少し面倒かもしれないが、紐で遊ばせるときは飼い主が見ている間だけにするなどの工夫で対処したいところだ。
これなら誤飲も防げるはず。
さらに、遊び過ぎてボロボロになってきた紐は、さっさと捨てて新しいものに買い換えることをオススメしたい。
劣化しちゃうとどうしても猫の噛み付き攻撃に耐えられなくなって、そのままブチンと切れて喉奥へ……なんてことも起きてしまうし(汗)。
おわりに
猫にしてみれば、噛み心地がいいものをついつい噛んで遊びたくなる気持ちが備わっているということなんだろう。
時にはストレスがそれを誘発している場合もあるとのことなので、くれぐれも飼い猫の様子は毎日しっかり観察しなければならない。
猫の異食症は、ちょっとした油断で取り返しのつかない事態を招いてしまうと考えておきたい。
そういう状況を見ないで済むように、飼い主サイドはしっかりと猫の周囲に誤飲リスクのあるものを置きっぱなしにしないように努力したいところだ。
文/松本ミゾレ