猫のアルビノと白猫の違いとは…?
私事で恐縮なのですが、以前アルビノのネオンテトラを飼っていました。
3年ほど生きてくれた上に、かなり丈夫な品種だったのでお気に入りだったのですが、飼いはじめた当初は「魚にもアルビノってあるんだなぁ」とシンプルに驚いたことを覚えています。
魚でさえアルビノがいるぐらいですから、当然他のペットにもアルビノ種はたくさんいますよね。
一番メジャーなのは、やっぱりうさぎではないでしょうか。
真っ白くて綺麗な毛並みに、赤い宝石のような美しい目。昔から私たちにとっては、もっとも身近なアルビノの動物ではないかと思います。
また、先日はアルビノの犬が散歩しているのも目にしました。犬のアルビノも、神秘的で非常に魅力がありますよね。
白猫とアルビノ猫、一見すると分かりにくくない?
そういえば、猫のアルビノって、結構珍しいみたいですね。
以前知り合いが猫を飼ったというので写真を見せてもらったところ、一見すると普通の白猫でした。
うちでも白猫がいるので「白は神経質なところあるから大変かもよ〜」と笑ったところ、知り合いは「ああ、この子アルビノなの」との返事。
恥ずかしながら、そこではじめて『あ、猫にもアルビノっているのか』と、当たり前過ぎる事実に気付いたものです……。
他の写真も見せてもらったところ、なるほど、ちゃんと目が赤くて「ああ、これはアルビノだ」と納得したことをおぼえています。
でも、ぱっと見は本当にただの白猫なんですよね(笑)。
そして白猫って結構そこらへんにいるので、道端でアルビノ猫を見かけても、なかなか気付かないんじゃないかなぁと、どうでもいいことをぼんやり考えたものでした。
ところで白猫はどうやって生まれるの?
さて、先ほど「そこらへんにいる」と書いた白猫ですが、屋外では白い体は外敵にも狙われやすく、生存率がどうしても下がってしまいます。
となると毛色的にも損をしていると考えられるものですよね。ではどうしてそんな損をしがちな白い猫が生まれてしまうのか、これを簡単に紹介しておきたいと思います。
一言でいえば、これは遺伝子の影響を受けているということになります。
猫の毛色が白一色になる根本の原因は、白色遺伝子を保有していることにあり、また、白色遺伝子は他の毛色を決定する遺伝子よりも優性にあたるため、真っ白の猫として誕生することになります。
つまり、白色遺伝子を持って生まれた猫は、他にどんな毛色にまつわる遺伝情報があったとしても、とにかく白色を優先的に発現させるということですね。
ちなみに、猫好きにはよく知られていることですが、白猫には聴覚に障害を抱える個体が、割合的に他の猫よりも多いという特徴があります。
特に青目の猫はその傾向がより高く、我が家の青目の白猫も、耳は一応機能しているものの、他の猫に比べると物音には鈍感です。
ただしその欠点を補うかのように、ヒゲが長く発達しており、センサーとしての役割をかなり強化しているようです。
ではアルビノ猫はどうやって生まれるの?
次にアルビノの猫についても書いてみましょう。
普通の白猫とアルビノ猫を見分けるポイントは、前述のとおり目の色。これがもっとも確実です。アルビノ猫の目はやはり赤いので、明るい場所であれば確実に見抜けることでしょう。
しかしなかなかアルビノ猫を見る機会はありません。理由は、これまた遺伝子にあります。
他の動物にもアルビノの割合が少ないように、猫の場合も個体数は非常に少なくなっていますが、これも既にご存知の方が多いように、アルビノ遺伝子が劣性だからですね。
白猫の場合は優性遺伝子なので、他の特徴を持つ遺伝子よりも発現しやすかったわけですが、アルビノは全く逆。誕生自体が珍しいということになります。
アルビノ種の目が赤い理由は、先天的な色素の欠乏によるもので、血管の色合いがそのまま目に出ています。
色素がないということは、毛色だけでなく瞳孔も、本来の体を形成するための最低限の色合い以外は見られないということですね。
また「白猫が聴覚の異常を発症しやすい」とは先ほど書きましたが、アルビノ猫の場合は、視覚的な障害を持って生まれることが多いようです。
そのせいで屋外で生活するアルビノ猫は、なかなか長生きすることは難しいとされています。さらに紫外線にもことのほか弱く、皮膚病リスクも高いため、輪を掛けて生存競争では真っ先に淘汰されがちです。
おわりに
白猫自体は、個体数が非常に多いところです。一方で同じ毛色であっても、アルビノの猫は本当にその数が少ないわけで、そもそも誕生することが稀。
もしもあなたがアルビノ猫を偶然屋外で発見することができたら、それはかなり珍しい出来事だと認識してもいいでしょう。
その上で仮に猫を飼育できる環境にあるのなら、是非保護して大事に育てていただきたいところです。自然下ではアルビノ猫にとっては、命に関わる危機があまりに多いので……。
文/松本ミゾレ