カラスに襲われた捨てられた子猫。悪いのはだれ…?
動物は、自分の命をつなぐために食事をしなくてはなりません。
肉食、雑食の動物は、生きるために他の動物の命を食べることの宿命から逃れることはできませんよね。それは人間にも当てはまることです。
これを念頭に、今回はちょっと皆さんに紹介したいお話があります。
少しだけ残酷な描写もあるかもしれませんので、苦手な方はご注意ください。
捨てられた子猫、カラスに襲われて…
先日、近所をなんとなく散歩していたときのこと。すぐそばの神社の敷地内で、「ギャアギャア」とカラスが群れているのに気が付きました。
我が家の猫はカラスの羽で遊ぶのが大好きなので、少しぐらい手ごろなサイズの羽がないかと思ってそちらに向かったのですが、そこにはつい今しがた命を奪われたばかりと思しき子猫が。
カラスたちはこの子猫を仕留めて食べていたところ、筆者がそれに出くわしたようでした。
よく見ると近くには、その子猫が入っていたと思しきダンボール。
表面には「大切にしてくださる方、どうぞ」みたいなマジックでの汚い走り書きがありました。神社に捨てておけば、信心深い誰かが拾ってくれるとでも思ったのでしょう。しかしその結果はこのざまでした。
筆者はこういう事態に直面しても、カラスに対して憤ることはできません。
元々愛玩動物である猫の管理もできないまま、神社まで捨てに行く人のほうがどう考えても悪質です。それにカラスにしたって、自分が食べられるときに食べられるものを口に入れておかないと、生きていけませんし……。
カラスが悪いのではなく、人間の猫への接し方が間違っているのでは
ところで、しばしばネットでは「カラスに襲われていた子を保護しました。飼える方を探しています」といった募集を見ることがあります。
特にツイッターではこういうつぶやきは頻繁に目にします。
が、「保護されて良かったね、優しい飼い主さんに出会えるといいね」と猫に対して思う一方で、まるでカラスが凶暴な動物扱いされることには、ちょっと違和感をおぼえるところです。
こういう状況って、そもそも人間が猫を捨てたり、野良猫を野放しにしているから発生するようなものです。人間が、昔からきちんと適正に管理していれば、カラスに襲われる可哀想な子猫も発生しません。
イメージもあるのかもしれませんが、常々カラスが子猫を襲う悪の元凶のような扱いをされているのは不憫です。猫たちがこうまで屋外で繁殖した原因である私たち人間の罪が、カラスの影に隠れているように感じられるのです。
大事なのは、屋外で危険な目に遭う子猫を減らすこと。
カラスのせいにするのは違うのではないでしょうか。
こちらのコラムではしばしば、野良猫に餌付けをすべきではないと主張していますが、そもそも捨てるぐらいなら猫を飼わないのも、同じぐらい大事なことですよね。
おわりに
目撃されていないだけで、恐らくこういったことは全国各地で起きている悲劇だと思います。
猫だって生まれた以上は母猫と寄り添いたいし、飼い主に甘えたいのです。そしてカラスも、生きていくためには他の生き物を懸命に探して、食べないといけません。
猫は元々日本にはいなかった動物。ここまで屋外に増えたのは、私たち人間の管理が甘かったからに他なりません。
だけど、もしも仮に今日この日から、みんながその接し方を改めれば、数年のうちに不幸な捨て猫、野良猫はいなくなります。
猫と触れ合う一人ひとりが、責任をもって最後まで大事に飼育するような社会を目指したいですね。
文/松本ミゾレ