猫の「形質細胞皮膚炎」について
ぷにぷにとした猫の肉球は、多くの猫好きさんを魅了するもの。しかし、そんな肉球が乾燥していたり、腫れたりしているときは「形質細胞皮膚炎」という病気にかかっているサインかもしれません。
「形質細胞皮膚炎」は気づきにくい!
形質細胞皮膚炎は肉球が腫れる、表面がうろこ状にカサつくといった初期症状が見られます。しかし、この段階では痛みや痒みなどがなく、猫の行動にも変化が見られないため、飼い主さんは病気を見逃してしまうことも多いのです。
考えられる原因は?
形質細胞皮膚炎には、免疫系の異常が関係しているのではないかと考えられています。例えば、猫白血病ウイルス感染症(FelV)や猫免疫不全ウイルス(FIV)が深く関係している可能性があり、ワクチン未接種の猫に発生しやすいのではないかといわれていますが、明確な原因はまだ解明されていません。
自然治癒することもある
この病気はまだ明らかになっていないことが多く、はっきりとした原因や有効な予防策も分かっていません。病気の進行状況は個体ごとに差があり、しばらくすると腫れていた肉球が自然にしぼんでいくこともありますが、中には肉球に腫瘍ができてしまうケースもあるとされています。
腫瘍ができると痛みや出血があるので、猫は歩けなくなったり足を引きずったりします。そのため、この状態になって初めて飼い猫の異変に気づく飼い主さんも少なくありません。
治療法は?
治療法としては抗生剤や副腎皮質ホルモン剤を投与し、炎症を抑えながら経過を見ていきましょう。金イオンや金コロイドの投与を行う「金治療」が病気の治療に有効な場合があるともいわれています。ただし、腫瘍ができている場合は外科手術を行わなければなりません。
この病気は発症率が非常に低く、なおかつ発症後に自然治癒することもあるため、なかなか治療法の研究が進んでいないのが現状です。
形質細胞皮膚炎を早期発見するには、日頃から愛猫の肉球を気にかけていくことが大切になります。肉球の異常は他のパーツに比べ、見逃してしまいやすいので、形や色などをチェックする習慣をつけていきましょう。
文/古川諭香