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チョコラブは他の毛色のラブより短命…?

2018.10.30

チョコラブは他の毛色のラブより短命…?

同じ犬種であるのに、毛色の違いから寿命に差が出る。

そんなことがあるのだろうか?

これが実際にあるらしい。

先日、Canine Genetics and Epidemiologyに掲載されたオーストラリアとイギリスの研究チーム(シドニー大学、メルボルン大学、クィーンズランド大学、王立獣医大学など)の調査発表によると、チョコレート(レバーを含む)のラブラドール・レトリーバーは、イエローやブラックのラブラドールに比べて寿命が短く、ある種の病気の罹患率も高いというのである(*1, 2)。

犬や猫、馬などの臨床情報や人口統計学的情報を動物病院から収集し、それを分析して最終的には今後の病気の治療や予防に役立てることを目的とした『VetCompass™プログラム』というのがあるそうだが、研究チームはこれまで蓄積されたデータ中、イギリスのラブラドール・レトリーバー3万3,321頭のデータを基に、毛色別の寿命や、病気の罹患率を調べた。

その結果によると、毛色に限らずラブラドール全体としての寿命の中央値は12.0歳である中、イエローやブラックの毛色では寿命の中央値が12.1歳であるのに対して、チョコレートの場合は10.7歳で、10%以上の開きがあったという。

これについて報告書の著者である研究者は、「毛色と寿命との関係は興味深く、自分が知る限り、他の品種では報告されていない」と述べている。

また、肥満をはじめ、腫瘍や皮膚炎、運動器疾患、歯周病に至るまで代表的な病気の罹患率についても調べられているが、その中で特に外耳炎と化膿性外傷性皮膚炎(ホットスポット、急性湿性皮膚炎)はチョコレートとそれ以外の毛色とで明らかに差があるとのことだ。

外耳炎についてはブラックのラブラドールで12.8%、イエローが17.0%に対して、チョコレートでは23.4%。化膿性外傷性皮膚炎の場合はブラックが1.1%で、イエローは1.6%であるが、チョコレートでは4.0%になっている。つまり、ブラックと比較すると外耳炎で約2倍、化膿性外傷性皮膚炎では約4倍、チョコレートのほうが高い罹患率を有するということになる。

どちらも皮膚系の病気なわけだが、毛色とこれらの病気との関係について、「チョコレートは劣勢遺伝子であり、繁殖者がこの毛色の子犬をより望む場合、両親犬共にこの遺伝子をもっている交配を繰り返していくことで結果的に遺伝子プールが狭くなり、皮膚の状態と関連する疾患リスク遺伝子の保有率が高くなっている可能性がある」と研究者は考えているようだ。

なお、ラブラドール全体としては外耳炎(10.4%)、過体重/肥満(8.8%)、変性関節疾患(5.5%)の3つが多く見られるという。

過体重/肥満に関しては、不妊去勢手術をしてあるかどうかで差があるかを見た時、メス犬の場合はそれほど大きな差はないが(未不妊8.3%、不妊手術済12.5%)、オス犬の場合ははっきりとした差が出ている(未去勢4.1%、去勢手術済11.4%)。

では体重はどのくらいかというと、ラブラドール全体の体重中央値は33.0kgで、オスの成犬では35.2kg、メスの成犬は30.4kg。すべての年代を通したオス犬では33.1kg、メス犬は28.7kgとなっている。

実は、過体重/肥満の数値は、この研究の基となったデータベースの中でもっとも高いものの一つだそうで、ラブラドールは太りやすい上に関節疾患も患いやすく、日頃の体重管理がとても大切になる犬種だということを改めて数値からも見てとることができる。

この他、各疾患における死亡年齢の中央値についても調べられている。これらがそのまま他の国にもあてはまるというわけでもないだろうが、こうしたデータ分析の結果は、「ラブラドールにおける健康上の最優先事項を考える時の助けになり、また同犬種の健康や福祉の改善にも役立てるだろう」と研究者は述べている。

ところで、毛色によって寿命や病気に差が見られることがあるというなら、他の犬種ではどうなのだろう?とちょっと気になってくるのだが…。

参考資料:

(*1)Labrador retrievers under primary veterinary care in the UK: demography, mortality and disorders / Paul D. McGreevy et al. / Canine Genetics and Epidemiology 2018 5:8, https://doi.org/10.1186/s40575-018-0064-x

(*2)A dog’s colour could impact longevity, increase health problems, 22 October 2018 News / THE UNIVERSITH OF SYDNEY

文/犬塚 凛

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