猫がいきなり何もない空間を凝視…これって何なの?
猫って、私たちと極めて身近な動物の割には、かなりミステリアスな生き物ですよね。表情にも独特の神秘性があるし、足音を立てて歩かないので、さっきまで寝ていた場所から姿を消して、別の場所で熟睡している、なんてことも。
まるで一緒に暮らせる忍者のような存在にも思える節があるのですが、他にも猫の不思議な行動っていくつかあるもので。
今回、そんな奇妙なアクションの一つとして、猫飼いであれば確実に目の当たりにしている、“何もない空間を凝視する”にスポットを当ててみたいと思います。
果たして、彼らは一体何をそんなに熱心に見つめているのでしょうか……。
猫にはもしかして、見えちゃいけないモノが見えている?
飼い猫が、突然家の中の、ある一点を見つめて微動だにしなくなる。そんな光景を目撃したことがあるという飼い主の方。非常に多いと思います。
たとえば、いきなり中空を目を見開いて凝視するといった、あの例のアクションです。視線の先を目で追っても何もないということも珍しくなく、人によっては奇妙に感じたり、怖がりな飼い主にしてみれば「勘弁して〜!」という気持ちにもなるところでしょう。
動物は人間より遥かに洞察力も高いし、五感の鋭敏さも比べ物にならないぐらい発達しています。ですので人間では感知できない場の変化といったものにも敏感。
だからこそ、飼い主には何もないように見える空間を、あるとき突然に猫が意識するようになるのでしょう。
そしてそれは、見ようによってはまさに、そこに幽霊でも浮遊しているのではないか? という疑念をも湧かせてしまうほどです。
ただ、何でもかんでも幽霊、幽霊と思ってしまうのは良くないことです。実際には彼らが凝視する以上、それなりの変化がきちんと認められていることばかりなんですよね。
幽霊の、正体見たり枯れ尾花…猫の視線の先を怖がらずに追えば見えてくる凝視の理由!
時折見られる、猫の何もない空間を見つめる不思議な姿勢。
怖がるのも結構ですが、その原因を解明するとすっきりするのも事実です。筆者は幽霊の存在についてはあまり興味がないので、こういう事態が起きるとすぐに猫の視線の先を目で追うのですが、やっぱり凝視するにはするだけの理由はあります。
たとえば以前は、天井付近を飼い猫たちが一斉に見上げて動かなくなってしまったのですが、よくよく確認すると、非常に細い蜘蛛の糸が垂れているのが原因でした。
じっくり観察しないと到底視認できない程度の変化も、猫たちにとっては当たり前に気が付く刺激的な変化ということなんでしょう。
また、あるときは突然、猫が何もない壁を凝視し、時には飛び掛るということを繰り返すようになりました。
これもかなり不思議だったのですが、しっかり観察していると、外を走っている車のライトが室内に差し込んでいて、それを見るために猫もじっと壁を凝視しており、まれに飛び掛っているだけでした。
人間が気付くときには既に車は走り去っており、ライトも通り過ぎています。
原因に気付く前は不思議で仕方がなかったのですが、分かってしまうと、そんな一瞬の変化も見逃さない猫の洞察力に惚れ惚れしてしまったものです。
おわりに
怖がりな人というのは、普段あまり起きない事態に対して、すぐにオカルトっぽい意味合いを求めたがるものですよね。怖がりなのに、いつもと違う雲を発見すると「地震の前触れかも」みたいに、過剰に恐れてしまう人、多いと思います。
でも、そういう話にせよ今回の猫が空間の一点を見つめるにせよ、本来オカルトとは全く無縁の別の理由がたまたまあるだけなんですよね。
猫は変化に鋭敏な動物ですから、人間が見過ごすちょっとした変化にもとっさに気付けるというだけのこと。決して恐ろしい何かが、猫にだけ見えているということではないのです。
文/松本ミゾレ