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ペットの終末期における「安楽死」。あなたはどう考える…?

2018.08.29

ペットの終末期における「安楽死」。あなたはどう考える…?

こちらのコラムをご覧の方々の大半は、今現在、ペットと楽しく暮らしていることと思います。

ですがその日々が素晴らしければ素晴らしいほど、ある懸念を抱いてしまいませんか?

それが愛するペットとの別れです。

悲しいかな、犬や猫は人間より遥かに寿命が短く、20年程度で別れのときを迎えることとなります。

筆者もふとした弾みに、いずれ必ず来る永遠の別れを思って、心が暗くなることもあるわけですが、可能ならその最期は病気や重い障害とは無縁な、穏やかなものであってほしいところ。

ただし現実にはそういう別ればかりではありません。

体のあちこちに病気が生じたり、痴呆症で飼い主のことも分からなくなってしまったりするペットも少なくはないのです。

そんな状態に陥ってしまったペットを前にしたとき、飼い主は二通りの決意を取ることでしょう。

一つは、どんなに辛くても、最後の最後まで面倒を見る、という決意。

そしてもう一つが、これ以上苦しい思いをペットにさせないために、安楽死を選択するという決意です。

安楽死という選択は人間のエゴなのか?
ペットの気持ちがこれほど知りたい局面もない…

これまで筆者は、ペットと暮らす大勢の人々と知り合い、接してきました。

そして実に多くの方々の、ペットとの永遠の別れに直面する様子も目の当たりにしてきたものですが、中には自分の最愛のペットを安楽死で看取ったという方もいます。

世間には安楽死について「人間のエゴだ」と一蹴する意見もないわけではありません。

だけど、安楽死を選択する飼い主のほとんどは、それこそ血を吐く我が子をギリギリの精神状態で介護している前提があることは、忘れてはいけないと思います。

筆者が20代の頃、アパートの管理人は近所に住むおばあちゃんでした。

このおばあちゃんの話をしますと、悪性のがんに侵され、毎日悲鳴を上げて苦しむようになった14歳のシーズーを献身的に介護していました。

とうとう回復の見込みもなく、獣医さんからも安楽死を奨められ、泣く泣く承諾していました。

愛犬を自分の判断で、本来生きられる時間よりも早くに天国に送ってしまうというのは、飼い主の心に想像もできない負担を強いるものです。

おばあちゃんはその後「犬も人間の言葉を喋ってくれれば、あの時安楽死についてどう思ってたか分かるのにね」と話していたのですが、筆者はその言葉が忘れられません。

つい最近も、知人が18年連れ添った猫を安楽死させました。

高齢になると、猫も往時のしなやかさは失われ、日常生活を送ることすら苦痛をおぼえるようになりますから、この場合も苦渋の決断の末の安楽死だったそうです。

「安楽死を認めない」という声は、飼い主とペットの終末期を知れば知るほど出せなくなるもの

安楽死というのは今のところ、日本では人に対しては認められない風潮がありますが、ペットの場合は既に一般的に認可されており、費用もそう高くありません。

犬の場合も猫の場合も、動物病院の指針にもよりますが、1万円台が相場であることが多いようです。

もちろん動物病院によっては、安楽死を原則行わないという方針をとっているところもあり、そういった病院では費用は高めか、そもそも門前払い扱いをされることもあります。
ですので1万円台は、あくまでおおよその相場だと考えておいていただければ幸いです。

この金額についても「安すぎる」という意見を聞くことがあります。

が、逆に高ければ高いで批判の声は必ず沸きますし、そもそも当事者ではない人々が、こういったセンシティブなテーマに口出しをすべきではないと筆者は考えます。

安楽死は、飼い主とそのペットにとっての、究極の選択です。

長年愛してきた家族を、自分の判断で死なせてしまうことに直結する選択です。

実際、ペットの終末期は必ずしも穏やかなものではありません。

今まで一度も人を咬むことがなかった犬が、病気のために飼い主にも牙を向くようになるほど荒れてしまう事例だってあります。

元気だった頃の面影もなくなり、骨と皮だけになって苦しそうに呼吸をするしかできなくなった猫だっていました。

そんな状況を少しでも早く終わらせてあげたいと思う飼い主の気持ちをエゴだと否定してしまうと、それはもう誰も救われないように思えます。

おわりに

もちろん、「介護に手が掛かるから安楽死」を推奨するわけではありません。

そんな人はペットを飼う資格はありません。

あくまでも終末期に苦しむペットを早く楽にさせてあげたい場合には、選択肢としてアリというのが筆者の考えです。

最後まで責任を持って飼う。これはペットと暮らす人全てに求められる覚悟です。

そしてこの覚悟の範疇には、ある局面においては、飼い主の判断で苦しみ続け、回復の見込みのないペットを安楽死させるという選択も含まれているべきではないでしょうか。

文/松本ミゾレ

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