犬が桜の花びらを食べちゃった!危険性はあるの…?
ワンコと暮らす私たちにとっては、ますます散歩が楽しみになる桜の季節。今年もお花見は満喫しましたか? 関東はだんだんと葉桜になってきましたが、これから見頃を迎える東北地方へ愛犬と足をのばそうと計画中の方もいるのではないでしょうか。
お花見散歩といえば、「うちのコが桜を食べちゃった!」とあわてたことがある方も多いのでは? 実は我が家のボーダーコリー・小雪も、仔犬の頃からちらちらと舞い散る桜がとても気になるようでした。ちらちら舞う雪も興味津々なので、もしかすると空から舞い落ちてくる白くてちらちらしたものに、どうしようもなく心惹かれてしまう性分なのかもしれません。
桜とワンコ、我が家の小雪さんの場合。
桜も雪も、こちらが気を抜くとパクリと口に入れてしまう小雪さん。「コラ!」と叱ってもこのとぼけ顔ですが、お鼻についていてバレバレなのです。
2歳になり、3歳になり、4歳になっても、相変わらず年に一度の桜の時期には興味を隠さなかった小雪さん。こちらも気をつけてはいるものの、特に桜が散る時期には沿道の花びらをムシャムシャと口に入れたりすることが。本人的には一応えり好みをしているようで、落ちたての新鮮な桜の花に飛びついていました……。
塩漬けの桜や桜もちの葉を食べていいのは人間だけ?
桜なんて、食べてしまっても大丈夫なのでしょうか? こちらの目を盗んでちょいちょい桜を食べてしまっていた小雪さん。幸いにも、それでお腹を壊したりしたことがないので、こちらも「いい匂いがして桜もち感覚なのかな?」などと、少しのんきに構えているところがありました。
しかしこれ、実はとても危険な行為だったようなのです。みなさんも、お花見の際にはぜひお気をつけください……!
小雪が食べてしまっていた桜の「花びら」自体は、毒性がないと言われています。犬と人間とでは食べられるものが違いますが、私たち人間も桜の花びら自体は塩漬けにして食べたりしますよね。人間がほどよく食べる分には、「クマリン」という成分によるアンチエイジング的な効能があったり、アロマのようなリラックス効果もあるのだそうです。
問題は、桜の「葉」や「樹皮」、そして「種子」や「果肉」。つまり、花びら以外の部分には危険性があるのです。落ちている桜の花びらを食べれば、その周りに落ちている花びら以外のものも食べてしまう可能性がありますよね。特にこれからの葉桜の時期は注意が必要かもしれません。
桜の葉、樹皮、種子、果肉の何が問題かというと、これらに含まれる「アミグダリン」という成分です。これが犬にとっては危険なのだとか。でも、桜の葉と言えば桜もちに巻かれた塩漬けの葉、人間なら食べちゃう派の人もいますよね? 私も桜の葉は食べちゃう派ですが、人間には毒性がないということなのでしょうか?
桜を食べてしまうワンコには、やっぱり注意が必要です!
調べてみると、この「アミグダリン」も先ほどの「クマリン」も、少量なら人間にとっては体に良いという報告がされているものの、とり過ぎると人間にも中毒を引き起こす危険性があるのだとか。ただ、普段食べている塩だって大量にとれば中毒になるように、桜もち程度食べる分には問題ないということのようです。
一方で、犬は人間よりもずっと体が小さいわけですから、注意しなければならないのは当然でしょう。ちなみにこの「アミグダリン」は、そのものが毒なのではなく、食べて体の中で分解されていくときに「シアン化水素」という毒性のものに変わってしまうのだそう。犬がこのシアン化水素中毒を引き起こしてしまうと、嘔吐やけいれん、呼吸促迫などの症状が出るばかりか、最悪の場合は死に至ることもあるのです。
お花見の時期は、塩分や化学物質の多い人の食べ物やお酒なども地面にこぼれている可能性がありますから、いずれにしても拾い食いには注意が必要ですよね。もし何か誤飲してしまって心配なときには、素人判断せず、病院で診てもらうことをおすすめします。食べてから2、3時間以内であれば吐かせる処置をしてもらったり、胃の洗浄処置をする場合も。詳しくはかかりつけのお医者さんに相談しましょう。
ちなみに、今年は5歳でお花見の時期を迎えた小雪さんですが、あの2月の大雪はパクついていたものの、今年の桜はパクつく様子がありませんでした。ちょっとは大人になったのでしょうか……?
文/中西未紀