愛犬がトイレまでついてくる理由
イラスト:Tayra Lucero for LittleThings
海外のジョークで「犬と一緒に生活すれば、もう一人でトイレに行く必要はなくなるよ。」というのがあるらしい。これはあくまでもジョークとして言われていることなのだが、獣医師のDr. Kathryn Primmによると、これは決して間違いではないらしい。
どういうことなのだろうか。一人でトイレに行く必要がなくなる?トイレはいつも一人…いや実を言うと筆者は自宅でトイレに行く時は、ほとんどと言っていいほど一人ではないのだ。何を隠そう、愛犬たちがトイレに必ずついてくるのだ。それはまるで監視でもされているかのように。すぐに戻るのがわかっているのに、なぜいつもついてくるのだろう?と疑問に思っていたが、これはうちだけなのだろうか。
Dr. Primmによると、この行動はよくあることで、飼い主が犬本来の性質を理解することでこの謎が解明されるのだそう。犬は本来、群れで生活していた動物であり、家庭で生活している犬にとってその群れとはもちろん我々家族である。犬はその家族の一員として「飼い主と一緒にいる必要性」を感じており、飼い主の姿が見えなくなることに不安や疑問を抱くことがあるのだそうだ。
犬はもともと好奇心旺盛な動物である。そのため、トイレに入ってドアを閉めてしまう飼い主のことがとても奇妙で不思議に思えるらしい。飼い主の家は「家族のテリトリー」であり、トイレもその範囲内にあるはずだ。だから犬はその場所も「パトロール」して護らないといけないと感じている。犬にとってこの「パトロール」は家族の一員としての重要な任務であり冒険なのだ。
犬は本来、生き残るために群れの中での自分の役割に重点を置く。重要な役割はもちろん最優先事項にしなくてはならない。その重要な役割とは、食糧や水の確保、そしてテリトリ―を護ることである。群れで生活する動物は、それぞれの役割が群れ全体に利益をもたらすと理解しているため、お互いが協力して生き抜く術を本能的に熟知している、いわば共同作業の達人なのだ。
野生では群れで狩りを行い、群れの中で自分のテリトリーを共有し護っている。そのため家庭で人間と一緒に生活している犬からしてみれば、そのテリトリーの中でたった一人で別の場所へ入って扉を閉めてしまう人間がとても不思議でおかしなことなのだ。
愛犬にとって家庭内は自分のテリトリー。その中で一緒にいなくてはならないのに、いつも一人でいなくなるのはおかしい、自分はあなたの一番の仲間。だから護ってあげなくては!何でも一緒にやろうよ!と思っていると考えられるのだそう。
そうか、一生懸命に護ってくれているのか・・・そう考えると、愛犬にたっぷりと愛情を注いでいるつもりでいても、実はそれ以上の愛情を我々は愛犬からもらっているのかもしれない。ますます愛おしくなってしまうではないか。
でも…やっぱりトイレくらいは一人になりたい。Primm氏によると、そのような場合は愛犬の好きなおもちゃを用意する等、トイレの間だけでも飼い主以外の魅力的な何かに興味を向けさせることが有効だそう。
よし、今日からお気に入りのおもちゃ作戦開始だ!
文/織田浩次
参考資料:
Rebecca Endicott / Your Dog Always Follows You To The Bathroom, He’s Secretly Saying ‘I Love You!’
Dr. Kathryn Primm / Why Does My Dog Follow Me To The Bathroom?