猫にドッグフードがダメな理由
ワンちゃんとネコちゃん、両方を飼っているご家庭でよく勃発するのが、ワンちゃんのドッグフードをネコちゃんが、盗み食いするという窃盗事件。ワンニャンを家族に迎えているおうちにお邪魔すると、キャットフードが残っているのにもかかわらず、ドッグフードを食い散らかしているネコさんのお姿をお見かけすることがあります。これって、あまり逆はなくて、ワンニャンを飼っているご家庭では、だいたい猫ちゃんが強いイメージが…(あくまでも筆者の見解ですが)。
また、巷のうわさによると、キャットフードを買いに行ったら、たまたまドッグフードがディスカウントされていたのでドッグフードをあげてもいいんじゃないか?なんて考えが頭をよぎる、という意見も聞こえてきたりして(そういう議論にはなりましたが、筆者の周りでは猫にドッグフードを与えている飼い主はいない、ということをお伝えしておきます)。そもそも、キャットフードとドッグフード、名前が分かれているには理由があるはず!……と思い、調べてまいりました!
結論、キャットフードとドッグフードは成分が違う
犬と猫って、ペットとして飼われている愛玩動物としては、何かと同列に並べられがちですが、そもそも、犬の先祖はオオカミだったり、性格も全く違ったりと(皆さんも知っての通り)犬と猫はまったく違う動物なんです。
全く違う動物であるということは、体の健康を保つために必要な栄養素も全く異なります。必要な栄養素の中で、キャットフードとドッグフードの決定的な違いであり、猫にとってはとっても大切な栄養素なのが「タウリン」。「タウリン」といえば、人間界でも疲労回復や脂肪肝などに効果的としてエナジードリンクや栄養ドリンクなどに入っている栄養素なので、名前を聞いたことがある人も多いはず。
この「タウリン」は猫にとってマストな必須アミノ酸で、タウリンを体内で合成できる人間や犬とは違い食事で補わなければならないそうなんです。つまり、ドッグフードには「タウリン」は含まれていないということですね。
猫がタウリン不足に陥ると、目の障害が起きたり心臓の疾患などを引き起こす可能性もあるそうで、猫用の「タウリンサプリメント」などが販売されているほどです。
だからこそ、どのペットフードブランドを見ても、犬用、猫用が一目でわかるように表示されているそうなんです。
そして、人間や犬よりも、猫にとってはタンパク質が欠かせない栄養素なんだそう。タンパク質は猫の体の臓器や筋肉、皮膚や被毛を作る元になったり、ホルモンや酵素、抗体を作るのにも使われているのだそうです。
タンパク質を作るアミノ酸は約20種類あって、このうち、体内で合成できず、食事からとらなければならないアミノ酸を「必須アミノ酸」といいます。テレビや雑誌の健康特集でも「(人間にとっての)必須アミノ酸」という言葉を目にすることがありますよね。この必須アミノ酸って、実は動物によって必要な種類や数が違うそうなんです。ちなみに、人間は9種類、犬は10種類、猫は11種類なんだそう! つまり、猫だけが必要な「必須アミノ酸」があるということですよね。
ますます、ドッグフードを継続的に食べさせることは、猫にとっての栄養不足につながるようです。主要なペットフードメーカーのホームページを見てみると、「(猫がドックフードを食べてしまっても)少量なら大丈夫ですが継続的にあげるのはやめましょう」という表記が出てきます。
なので、ワンちゃんとネコちゃん両方を飼っているご家庭で、ちょっと食べてしまうくらいならいいけど、ドッグフードをメインのご飯としてあげることは、NGということですね。
猫が健康で長生きするために覚えておきましょう。また、猫に必須アミノ酸が必要だからといって、人間のエナジードリンクをあげるなんていうのもNGですからね!
文/佐藤玲美