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口から泡ぶくぶく!?猫と薬について【にゃんこの処方箋】

2017.06.25

Dr.林のにゃんこの処方箋

猫に薬を飲ませる

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みなさんは猫にお薬を投薬するときに“泡ぶくぶく”になってしまった経験はありませんか?猫の投薬ってとても難しいですよね。

今回は、なぜ“泡ぶくぶく”になってしまうのか?お薬は液体、錠剤、粉など色々な形状がありますがどんな利点、欠点があるのか?投薬が引き起こすストレスなどのお話をしましょう。

その1~泡ぶくぶく~

では、なぜ猫の投薬時に“泡ぶくぶく”になるのでしょう?

ぶくぶく=よだれです。よだれは過去の嫌な経験に反射的に反応してでていると考えられています。つまり、以前に口を無理やり開けて入れられたこと、投薬器に口を傷つけられたこと、また薬の味自体が嫌だったことなどが原因で、次の投薬の時に以前の苦痛や痛みを思い出すんです。

よだれが出てくると錠剤であっても薬がとけてしまい、味を感じるようになります。この場合、ほとんどの薬は苦いのでそれに反応するのです。こうなると猫はよだれを意地でも飲み込まなくなるためカニのような“泡ぶくぶく”状態になってしまうわけです。

一度こういう状態になってしまうと、次に投薬する前からよだれが大量に出るようになり、ますます投薬困難になってしまいます。

そのため、はじめから猫にやさしい薬剤、剤型、投薬方法を選択しなければなりません。

その2~薬のいろいろ~

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まず一番病院で処方されやすいものから説明します。

錠剤:薬の量を一番正確に飲ませることができます。比較的短時間で飲ませられますが、怒る猫の場合は、飼い主さんがかまれるという欠点があります。

錠剤には、「糖衣錠」という、中身が苦いため外側を糖でコーティングしてあるものや「腸溶剤」などがあります。

液剤:投与量を調整しやすいというメリットがあります。シロップであることが多く、甘みのきらいな猫の場合、かえってよだれが出て投与量が不正確になってしまいます。

粉剤:こちらも投与量を調整しやすい薬です。ただ、水やシロップに混ぜて与えたり、練り物に混ぜた場合も味がばれやすく嫌がることもあります。ウェットフードに混ぜても食べないことも多いので、錠剤を粉にする場合は、まずどのような薬かを獣医師に確認しましょう。

カプセル剤:苦みや刺激を感じにくく、うまく飲み込めれば嫌がらずできます。ただし、一度失敗するとカプセルがべたついたり、溶けてしますので再度の投与がしにくくなります。

最近では猫の投薬が上手くいくように味や剤形が工夫されたものも出てきていますが、やはりお口をあけてぽんっと入れられるとお互いのストレスが最小限になります。日頃から口をあけたり、口元に触ったりして、いざ投薬という時のために慣れさせておくことも大切です。

その3~食欲不振~

投薬を何度も失敗したりご飯にまぜて薬を与えていると用心深くなった猫は食事をとらなくなってしまうことがあります。

そんなときには、可能であれば薬の投薬を中止し嗜好性の高いご飯に変更して機嫌を直してもらったり(自己判断での投薬中止は危険ですので獣医師にご相談ください)、食欲増進薬を使ってみる、内服薬ではなく同じ作用の注射を動物病院で打ってもらう(ただし、内服薬と同じ内容のものがない場合もあります)などの方法があるので投薬が難しいときは無理せず、まずは動物病院で相談をしてみましょう!

その4~投薬が引き起こす恐れのある問題~

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猫の食道から胃までの排出には時間がかかるため、薬が食道に停滞することにより食道が炎症を起こしてしまったり、狭窄してしまったりすることがあります。その予防として投薬後水を飲ませてあげたり、ご飯と一緒にあげられるものであればご飯にまぜてあげるなどの工夫をすることができます。

また代謝の違いによって人や犬では安全なお薬でも猫にとっては中毒を引き起こしてしまうような薬もあります。

例えば、人の風邪薬によく配合されているアセトアミノフェンという成分は猫では肝障害や溶血を引き起こし、重度な場合は死亡してしまいます。

「うちのこ、最近風邪気味だから人間のお薬のませちゃおうかしら」という判断は絶対にしないでください。猫に薬を飲ませる場合は、動物病院でその子のために処方されたお薬を使ってください。

その5~総まとめ編~

猫への投薬ストレスを減らす工夫をしましょう。

投薬は猫の飼い主さんにとっても猫にとってもなかなか大変な作業です。薬がうまく与えられなければ、投薬練習に動物病院に来ていただいたり、薬を錠剤から液剤にかえたり、注射で打ったりなど様々な工夫をすることができます。

また、薬の中には食道狭窄などを起こしやすいお薬もありますので投薬後には水を飲ませてあげることも大切です。もし、投薬で悩んでいるかたがいらっしゃるのであれば動物病院の先生にまずは相談してみましょう。

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文/林 文明(はやしふみあき)

1988年北里大学獣医学修士課程修了。1998年コロラド州立大附属獣医学教育病院に留学し、欧米の先進動物医療を学ぶ。現在は、山梨・東京・ベトナムで5つの動物病院を経営。獣医師、日本動物医療コンシェルジュ協会代表理事。最新著書『愛犬を長生きさせる食事』(本体1000円+税)好評発売中!
◆日本動物医療コンシェルジュ協会
http://www.jamca.gr.jp/
◆ノア動物病院
http://www.noah-vet.co.jp/

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