3Dペットフィギュアの世界がすごい
最近、ペットユーザーの間で話題になっているのがペットの写真を送るだけで、本物そっくりの立体フィギュアが手に入るという3Dプリンターサービス。愛犬、愛猫の元気でヤンチャな子供時代を永遠に残すことができるし、すでに亡くなってしまったペットをフィギュアとして蘇らせることもできる。
3Dプリンターといえば、対象物を全方位スキャンするといった大がかりな準備イメージがあるのだが、以前、紹介した記事にも取り上げた「3D PETSHOP」では、むしろ写真1枚からでも制作可能とうたっている。一体、どんな知られざるハイテク技術が用いられているのだろうか?「3D PETSHOP」のチーフデザイナーであるIKEDA氏に話を伺った。
「3D PETSHOP」
チーフデザイナー兼取締役
IKEDA氏
日本人若手CGクリエイターの第一人者。20代前半の頃から3D制作ソフトの開発に従事。趣味で制作した3DCGムービーが大手動画配信サイトで100万再生を超え、クリエイターとして大注目を浴びる。建造物からクルマ、人物、動物、さらにはアニメーションまで、すべてひとりで制作するという、ほかのクリエイターではなかなか真似できないマルチな才能を発揮した。企業の3DCGプロモーションビデオや3DCGを利用した広告など、ハイクオリティーな作品を数多く手がけている。
【IKEDA氏の作品例】
https://youtu.be/kbZdq6hxwFY
https://www.youtube.com/watch?v=HQ-XNAWkR8g
――写真1枚からでも3Dフィギュアが制作可能とありますが、それは一体、どんなハイテク技術を用いることで実現できているのでしょうか?
「実は、そこはクリエイターの職人技なんです!」
なんと、種も仕掛けも魔法もない、人間の技術と才能だった!
「もちろんベースはお客さまのペットの写真を3Dソフトに取り込み加工をしていくのですが、どうしても写真だけでは細部まで確認する素材として限界がある。そこで、最終的な調整の部分をクリエイター自らの職人技で加工しているのです」
――確かにそうですよね。いくら最先端のソフトでも写真からディテールを解析して再現するのは難しいですよね。もはや、写っていないかもしれないですし。
「そうなんです。手作業の強みは、わからない部分でも再現できるところにあります。例えば、写真をそのまま再現するだけの場合では、黒くつぶれてしまっているところをそのままストレートに黒く再現しますが、実は光が当たらず黒くなっているだけで、実際にはディテールがあるということも。これは360度全方位カメラで撮影したとしてもなり得ることでしょう。そういう細部をクリエイターの技術と才能でカバーするのです」
写真ではつぶれていた口の中をクリエイターの手によって再現した。
――なるほど。3Dフィギュアはクリエイターの技術力が重要になってきますね。
「しかも、我々はお客様が大切にしているパートナーのペットを再現しますので、当然ながら想い入れが強い分、細部の表現にも敏感です。しかもペットオーナーさんは、数値化できないこだわりを持っている方が多いです。例えば、実際の寸法で正確に表現したとしても、もう少し目が大きい、もっと耳がとがっている、などのペットオーナーさん独自の目線を持っています」
「そういうペットオーナーさんの愛情目線からくるプラスアルファの表現を反映するには、やはりクリエイターの職人技が必須になってくるのです。そのため弊社では、写真をお送りいただいた後、お客様と直接、数回のヒヤリングを行ない、その都度、クリエイターが微調整を行なっています」
IKEDA氏が実際に自宅で飼っていた犬の3Dフィギュア。家族に見せたところ、その特徴の捉え方に驚いていたという。
――ただ忠実に再現するだけじゃないとは。奥が深いですね!
「クリエイターとしては、かなりやりがいを感じると思います。弊社では私を中心としたクリエイターチームを組織化していますが、僕が彼らにいつも伝えているのは、創造力が大切というところです。先ほどお話しました、黒くつぶれた部分や数値化できないお客様目線の特徴などもそうですが、そもそも写真は撮影するアングルによって顔と身体のバランスが実際と異なってくるのが基本です」
「だって、魚眼レンズで撮影したものをそのまま再現したら大変なことになりますよね(笑)。そういった部分を自分なりにどう創造できるか、これが3Dフィギュアを制作するうえで最も重要ですし、それによりペットオーナーさんが納得する世界に唯一のフィギュアが出来上がると思うのです」
写真で確認しづらい部分は、発注者へのヒヤリングを元にクリエイターの手作業で仕上げていく。
知れば知るほど、奥が深い3Dペットフィギュアのクリエイターの世界。ここまで聞いてしまうと、どんな仕上がりになるのか見たくなるのが当然である。というわけで、次回、ペットゥモローを代表するわんこの写真から3Dフィギュアが完成するまでを紹介することにしよう。乞うご期待!
◆3D PETSHOPオフィシャルHP
http://www.3dpetshop.com/