日常生活の中にすっかり溶けこんだ、近所の銭湯サウナは第二の我が家のような存在だ。柳田國男的に言えば「ハレとケ」の「ケ」の営み。しみじみ、良さをかみしめる。
一方で、極上のロケーションやしつらえで、日々の小さな悩みや頭から離れない考え事も一瞬にしてぶっとばしてくれるような、非日常…「ハレ」のサウナも人生にときめきと活力を与えてくれる。
今回紹介するのは、まさに「ハレ」のサウナにふさわしい、千葉県の南房総のクロスオーバーリゾート「amane(あまね)」にある、プライベートサウナ付きのプレミアムフラットルームだ。
旅慣れた人向けのラグジュアリー宿「amane」
内房の、東京湾の入り口あたり、チーバ君でいうと下腹あたりに位置する、千葉県安房郡鋸南町。この地に、大人向け高級宿をいくつも運営しているのが紀伊乃国屋グループだ。
2021年11月にグループ6軒目の宿としてオープンした「amane」は、海の間近に面したラグジュアリーリゾートで、その宿泊スタイルは他の宿にはない特徴がある。
グループの代表取締役である蛭田憲市氏によると、留意したのは「極力、邪魔が入らず、お客様が自由なペースで楽しめる」ということだ。
例えば、料理にも定評のある紀伊乃国屋グループだが、他の宿ではどうしても食事の時間がきちっと決まっていたり、サーブのために従業員が出入りする回数も多くなる。それをわずらわしく感じ、例えば「お酒をもっとゆっくり飲みたくなったから、食事は後にしよう」など、マイペースに流動的に滞在を楽しみたい層のお客様もいらっしゃるのではないか?と考えたのだ。
そのため、食事はワゴンで運ばれてくるものの、最後の温めや焼きは好きなタイミングで客自身で仕上げることになっており、その作業自体も、ひとつのアクテビティのように楽しめるように設計されている。
サウナと専用ガーデン付きのプレミアムフラットルーム
さっそくプレミアムフラットルームを入ると、小上がりになったスペースに、ベッドやくつろぎコーナーが。
そしてバスルーム、ダイニングスペースと続く。
そして奥の一面窓から間近に見えるのは、海と空!このテラスから眺める光景を、独り占めできるのだ。
いよいよプライベートサウナへ…
テラスからくるっとUターンすると、奥にはエストニア勢のバレルサウナが鎮座。こちらは紀伊乃国屋本館 はなれ 橘に設置されているものと同型。
セルフロウリュ用の手桶に、フィンランドのサウナブランドrentoのサウナフレグランスも備えられている。
サウナはスウェーデンのサウナメーカー、TYLO社のもの。はなれ 橘より一回り大きなサイズで、出入りしても95℃近くをキープ!
人目につきにくい位置に配されたサウナではあるが、窓からは海へ抜けた視界が広がり、解放感もいっぱい。熱が均一に巡りやすい円形のバレルサウナのよさを堪能しながら、セルフロウリュもし放題。
情緒ある陶器浴槽の水風呂になみなみと注がれた水は、すぐ北にある鋸山の伏流水を敷地からくみあげた天然水。15~20℃の軟水で、冷たすぎず優しい肌あたり。メタケイ酸やメタホウ酸を豊富に含み、肌がすべすべになる。
水風呂を堪能した後は、お待ちかねの外気浴タイム。ベンチあり、チェアあり、そして宿泊しているならではの特典、テラスのソファやチェアで海を望みながらの外気浴だってかなうのだ。
押し寄せるさざなみの音に包まれ、東京湾の奥には三浦半島、そして富士山までが見える絶好のロケーション。波打ち際にこれだけ近く、そして障害物に遮られることなく、邪魔が入ることもなく、思う存分、ロケーションに没入できる幸せ。
刻一刻と変化していく空の色や波のかたちをぼんやりと眺め、せわしない日常から完全に切り離された世界で、悦楽の時を過ごした。
サウナを堪能したら、オプションとして、徒歩7~8分のところにある紀伊乃国屋の宿「ゆうみ」の貸し切り露天風呂を40分3300円で予約することができる。
翌朝の予約だったが、富士山を眺めながらのジャグジー風呂は、限りなくラグジュアリー。チェックイン時にぜひ予約することをおススメしたい。
地元食材をふんだんに盛り込んだ洋食に舌鼓
前述した、この宿の特徴でもある「最低限に接触を抑えたスタイル」を象徴する食事タイム。
到着時から、また、冷蔵庫にはたっぷりとドリンクやが用意され、ソフトドリンクはすべて料金内にインクルーシブ。
またすぐにつまめるアペタイザーやチーズ盛り合わせなどのアンティパストも用意され、食事の前でも好きなタイミングで乾杯できるスタイルだ。
アルコールは別料金だが、部屋の冷蔵庫とフロントの冷蔵庫から好きなときに好きなだけピックアップするスタイルで、高級銘柄もあるものの、ワイン1本3000円といった手の出しやすいリーズナブルなものが多数そろえられている。
ほどなくして、ワゴンで運ばれてきた食事は、部屋で最後の温めをしたり、バーベキュースタイルで焼いたりするようになっている。ほぼ調理が終わった状態で来るので、料理をあまりしない人でも、説明に沿って簡単にできる作業だけだ。
ディナーで供されたのは、シーフードとエディブルフラワーをあしらった前菜、黒アワビ、黒毛和牛と野菜のステーキ、地元の魚介のブイヤベース、鴨のロースト、デザートと、食が太い人でも満足がいくであろうボリューム感。
足りない場合は、冷凍庫に手作りシャーベットやハーゲンダッツのアイスクリームも用意されている。
さらに宿泊者だけが入れるオーシャンテラスでは、セルフスタイルでお酒やドリンクが飲み放題だ。
日の出から日の入り、そして満点の星空と、どの時間帯にも美しい光景が広がり、ドラマティックな時間を過ごすことができるのだ。
そして朝ごはんは、自分たちで“焼き”を仕上げるホットサンドがお目見え。スムージーやキッシュ、地元野菜のサラダなど、健康的で活力のわくメニューがうれしい。
☆☆☆
今回はサウナ付きのプレミアムフラットルームに滞在したが、海に面したガーデン付きコンドミニアム(フラットルーム)、愛犬と一緒に宿泊でき、専用のドッグランも利用できるメゾネットタイプ、そしてできたばかりのトレーラーハウスを2つつなげた、贅沢なラグジュアリールームもある。
サウナ―なら、やはりサウナ付きのプレミアムフラットルームををおすすめしたいが、1室だけなので予約が取りづらい。3月中は期間限定でプライスオフキャンペーン中なので、もしサウナ付きルームがいっぱいでも、他の部屋で「amane」の極上ステイを体験してみてほしい。
amane
住所:千葉県安房郡鋸南町元名1016
TEL:0470-55-1000
料金:
プレミアムフラットルーム 35,200円~(3月31日まで)、38,500円(4月1日から)※いずれも2名1室利用時の1名料金
フラットルーム 21,200円~(3月31日まで)、24,500円(4月1日から)※いずれも2名1室利用時の1名料金
公式サイト:https://www.awa-amane.com/
取材・文/安念美和子(nenko) モデル/@saunayaka