3月は卒業シーズン。いまどきの中高生はどんな風に祝っているのだろうか? コロナ禍もあり、最近では寄せ書きや卒業アルバムなどについてもデジタル化してきている。そこで今回は、今ドキの卒業式のトレンドを紹介しよう。
卒業式のトレンドは? 実態を探る
●今ドキ卒業式のリアルなところ
今回、特別にZ総研がSNSで簡易的なアンケートを取ったところ、最近の卒業式で実施したこととして、次の順で票が集まった。
1位 写真撮影 148票
2位 寄せ書き 96票
3位 合唱 57票
4位 お手紙交換 13票
5位 黒板アート 8票
写真撮影と寄せ書きが多い結果に。中には、卒業アルバムに余白がなくなるくらい寄せ書きするという人も。またコロナ禍では感染リスクから卒業式の合唱が中止になったところもあったそうだ。
お手紙交換については、LINEやインスタやストーリーズにタグつけして投稿などの手段で行うことが多く、紙で行う人は少数派という。
その他、次のようなことを行ったとの声も挙がった。
「スクバ(スクールバッグ)に友達と名前を書き合った」
「卒業式が終わった後すぐ髪を染めにいった」
「好きな人に第2ボタンをもらった」
「先生にサプライズをした」
「好きな人と写真を撮った」
「卒業式が終わった後にコロナ禍で行事ができなかったため近くの公園でパーティーをした」
●卒業トレンド
Z総研のアナリストである道満綾香氏は、昨今の卒業トレンドについて、次のようにとらえているという。
「卒業写真に関しては、昨年に引き続き、花束とともに写真やプリクラを撮ることが流行っている印象です。ただ昨年に比べ、今年はより派手でカラフルな花束や、ディズニーキャラクターなどのぬいぐるみやバルーンを添えるのが流行っているようです。
また、Z総研が発表した2022年トレンド予測に『Y2Kファッション』がランクインしていましたが、このようにレトロが流行っていることも相まって、おもちゃのティアラをつけて卒業プリ(プリクラ)を撮っている人も多いです。
その他、TikTokで卒業式までの日にちをカウントダウンする動画を上げていたり、寄せ書きをしたスクールバッグを背負った状態で集合写真を撮っている女子高生も多く見受けられます」
●自粛期間の多い学生生活
今年度の卒業生たちは、コロナ禍の影響で、学生生活の多くを自粛期間で占めていた。寄せ書きムービーサービス「Gifvie(ギフビー)」から公開された、東京都の報道発表をもとに独自作成したデータがこちら。
2022年2月16日時点で「まん延防止等重点措置」が、47都道府県のうち、36の地域で実施されているのに伴い、今年度の卒業生の学生生活に占める自粛期間は、東京都の中学高校生で学生生活3年間のうち29.6%、大学生では後半2年間の44.5%を超えていることがわかった。
また、Gifvieが取得した今年度卒業を迎える大学生と高校生のコメントとして、次の声がある。
都内の大学生Aさんのコメント
「3年生から始まったゼミも結局最後までオンラインで行われるなど、本来の学生生活と比べて格段にリアルな交流が減った最後の2年間でした。卒業式も規模を縮小し、抽選で参加可否が決まるため、できれば当選して最後は同期と顔を合わせて卒業したいです。」
都内の高校2年生Dさんのコメント
「学校にクラスの半分ずつしか通えなかったためクラスメイト全員との顔合わせと打ち解け合うのに時間が足りません。来年の卒業式までには顔見知りまでにはなっておきたいです。」
卒業式参加が抽選となったり、クラスメイトと打ち解けていなかったりと、これまでにない状況に置かれていることは忍びないものだ。
卒業関連のデジタルサービスがぞくぞく登場
コロナ禍は、卒業生たちにさまざまな変化をもたらしているが、中でもコロナ禍で加速したこともある。卒業アルバムや寄せ書きなどのデジタル化だ。
1.卒業アルバムのデジタル化
近年、卒業アルバムは、QRコードが掲載されるようになり、載せきれなかった写真をQRコード読み取ると見られる仕組みなどが生まれていた。しかし、卒業アルバムそのもののデジタル化は遅れているのが現状だ。
そんな中、このコロナ禍でいよいよデジタルに進化した。ダイコロ株式会社が、デジタル時代に対応した卒業アルバム制作のプラットフォーム「卒アルモバイル」を開発し、2022年4月1日から 全国の学校向けに販売を始めることを発表した。
ダイコロによれば、卒業アルバムの最近の傾向として、少子化による市場の縮小が進んでいるという。また、各業界であらゆるものがデジタル化していながら、未だに卒業アルバムは紙のままで遅れている。
そうした中、繰り返される写真の差し替えの手間などの教員の課題や、見たいときに見られない、重たくて持ち運びに不便、写真が気に入らないと2度と開かない、人に見せたくないといった生徒の課題を受け、スマートフォンやタブレットで見られる上に動画や音声も収録でき、友達はもちろん、家族にも共有できる卒業アルバムを開発した。
データはクラウド上に保管され、在学中や卒業後に写真や動画を自由に追加することができるという。一度掲載した写真や動画が気に入らなければ、差し替えもできるというわけだ。
生徒一人ひとりがオリジナルのアルバムを制作することも可能。まさに新たな卒業アルバムの形といえそうだ。
2.寄せ書きのムービー化
近年、オンライン寄せ書きなど、何かの記念に欠かせない寄せ書きもデジタル化している。そこからさらに進化して、ムービーでも寄せ書きできるサービスが人気に。
例えばGifvieは、2021年9月に始まったサービスで、複数人で映像メッセージによる寄せ書きムービーを作成できる。メッセージ動画をスマホで自撮りするだけで、複数人でのメッセージムービーを編集いらずで作成できる。利用用途は、結婚、出産、誕生日のお祝いや、職場の送別会など幅広いが、卒業シーンにおいても活用できる。
例えば在校生から卒業生へのお祝いムービーや、卒業生たち自身の寄せ書きムービー、先生方への感謝のメッセージムービーなどが考えられる。
現在は、2022年3月31日まで、自粛期間の延長で直接集まることのできない学生に向け、無料利用キャンペーンをスタート。Gifvieで作成した寄せ書きムービーを、通常550円(税込)の「モバイルサイズ」と通常990円(税込)の「大画面サイズ」がどちらも無料でダウンロードできる。
コロナ禍でこれまでにない卒業シーズンを迎えている学生たち。しかしSNSやデジタルを駆使して一生の思い出作りができる環境は、昔より充実している。今後の技術やサービスの進化にも期待したい。
【参考】
Z総研「2022年のネクストトレンド予想」
「卒アルモバイル」
「Gifvie」
取材・文/石原亜香利