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「〝J1で5位〟を狙う2022年は勝負の年になる」湘南ベルマーレ・水谷社長と坂本SDが語る今シーズンにかける意気込み

2022.02.25

1月の新体制発表会。中央が山口智監督(筆者撮影)

「湘南の暴れん坊」が辿った紆余曲折の歴史

2022年はJ1・5位以内を目指します」

元日本代表DFで2021年9月から指揮官を務める山口智監督が堂々とこう宣言し、新シーズンに挑んでいる湘南ベルマーレ。19日の開幕・柏レイソル戦はキャプテン・大岩一貴の退場もあり、0-2の黒星発進を強いられたが、巻き返しは十分可能。ここから先が本当の勝負と言っていい。

同クラブは90年代に「湘南の暴れん坊」として一世を風靡した歴史を持つ。98年フランスワールドカップ(W杯)日本代表の中田英寿、呂比須ワグナーらも在籍し、凄まじい勢いを見せていた。だが、99年にメインスポンサーだったフジタが撤退してからは苦境に直面。特に2000年代は経営的に厳しく、2部で10年という長い時間を過ごすことになった。

大きな転機となったのが2009年。2008年北京五輪代表の指揮を執った反町康治監督(現日本サッカー協会技術委員長)が就任し、1年でJ1復帰を果たしたのだ。翌2010年には現日本代表の大黒柱である遠藤航(シュツットガルト)も17歳でプロデビュー。明るい兆しも見られたが、1年でJ2へ逆戻りを余儀なくされる。その後の2010年代は「エレベータークラブ」として3度の昇格・降格を繰り返したが、着実に力を蓄えていったのは事実である。

こうした結果、2018年にJ1参戦してからは最高峰リーグに定着。同年にはYBCルヴァンカップを制覇し、初のタイトルホルダーにもなった。翌2019年には功労者のチョウ・キジェ監督(現京都)のパワハラ疑惑が浮上し、クラブ全体が揺れ動いたものの、何とか結果を出し続け、今季まで辿り着いた。

「営業収益35億円」を目指す水谷社長の思惑とは

2002年に強化部長となり、201512月末から経営トップとして舵を取っている水谷尚人社長は一連の流れに深く関わった生き証人。長く社長を務めた眞壁潔会長とともに、クラブ存続・発展のために奔走し続けてきた。

2022年は我々にとって非常に重要な年。まだコロナ禍の完全終息は見えませんが、近い将来の営業収益(売上高)35億円到達を目指して取り組んでいこうとしています。

その布石を打つためにも、現場が目標に近づくことが第一。山口監督が号令をかけているように、我々フロントも本気で営業やホームタウン活動に取り組み、強固な組織を構築していきます」と気合を入れていた。

近年の湘南の経営状況を見ると、2018年度の売上高が297800万円、2019年度が同27100万円、2020年度が同218800万円と、コロナ禍の影響もあって下降線を辿っている。

最高売上を記録した2018年度は、同年4月からRIZAPグループの傘下に入り、「3年・10億円」の資金投入がなされたのに加え、ルヴァン杯の賞金という臨時収入もあった。決算時期の変更で14カ月分の売上が計上されたのも見逃せない点。そういった事情を差し引くと、コロナ前は25億円前後の運営規模だったと見てよさそうだ。

「今季が勝負」と言い切る水谷社長(写真提供=湘南ベルマーレ)

ただ、25億円という数字はJ1ではもちろん下位クラス。楽天グループのスポンサードを受けているヴィッセル神戸が2020年単年で639600万円もの人件費を投じているのを踏まえれば、いかに小規模な台所事情かが分かる。そこにコロナがのしかかり、2020年度の湘南は1億3800万円の赤字(クラウドファンディングにより当期純損益は黒字)を計上。2021年度も黒字転換は難しそうで、先月29日には2度目のクラファン実施に踏み切った。

「2月27日までの期間で1億円を目標に取り組んでいますが、2月23日時点で9000万円を突破し、みなさんの熱意が伝わってきます。この支援がなければ2021年度は2億円近いマイナスになりそうでしたが、何とか数千万単位の赤字幅で収められそうです。

『何としても次のステージへ行くんだ』という我々の思いが伝わっているからこそ、多くの方に応援してもらえている。その気持ちに必ず応えなければいけないと今、強く感じています」と水谷社長も神妙な面持ちで語っていた。

収入アップのカギはシャレン活動と国際事業

そんな現状だけに、35億円という数字は非常に高いハードル。地道に営業活動を強化していくしかない。

まずは現在700社のスポンサー企業との契約継続に努め、新規スポンサー獲得にもチャレンジしていく構えだ。その一環として、社会連係活動(シャレン)を重視していくという。湘南の昨年のシャレン活動は年2000回をはるかに上回る。それを整理・告知することで地域との結びつきをより強化し、SDGs(持続可能な開発目標)の起点にもなるべく学校や企業との連係を密にしていく考えだ。

「コロナ前の話ですが、地元中学生がスポンサー企業に行って職場見学する機会を作ったり、会社について学ぶ場を作るような活動も行っていました。今は部活の外部指導者派遣も広がっていますが、そのサポートも我々にできるテーマでしょう。『地域の人々や企業に求められる存在になる』というのが湘南の哲学。そうなれるシャレン活動を増やしたいと考えています」と水谷社長は力を込める。

もう1つ、クラブが重視するのが国際事業。現在はカンボジアのボンケットFC、中国の武漢スリータウンズなど東南アジア5カ国のクラブとパートナーシップを締結。相互交流を図っているが、さらに国やクラブ数を増やし、収益化を目指していくという。

「セレッソ大阪さんがメインスポンサーであるヤンマーとともにアジア戦略に乗り出し、タイのバンコク・グラスと提携して、物的・人的交流が進み、シンハビールがスポンサーについたように、海外クラブとの提携にはビジネスチャンスが必ずあります。

我々にも、筆頭株主でもあるメルディア・グループの三栄建設設計さんなど、スポンサーさんと一緒に進めていける企画や新規事業は数多くあります。創意工夫を凝らして広がりを作れるようにトライしていきます」と水谷社長も目を輝かせていた。

レジェンド・坂本SDも挫折を糧に最良のチーム編成に注力

こうした経営基盤強化策の成否のカギはやはり現場の結果。チームが強くならなければ、何事もスムーズには進まない。「今季5位以内」という高いポジションへの飛躍は、湘南のクラブ力を引き上げるために必要不可欠な条件と言っていい。

チーム編成のトップである坂本紘司スポーツディレクター(SD)も重責はひしひしと感じている。1年前に山口監督をコーチとして招聘し、9月に指揮官に抜擢した責任者でもあるだけに、大目標達成に向けてできることは全てやり尽くす覚悟を固めている。そもそも彼は2000年に湘南に赴き、現役を退く2012年まで戦い抜いたレジェンド。クラブ愛の強さは誰にも負けないはずだ。

とはいえ、SDとしてはまだ5年半。就任当時は強化部門の素人だっただけに、ここまでの道のりは険しかった。

「経験ゼロの僕は代理人や他クラブの強化部長といった関係者1人1人に名刺を配るところからのスタートでした。ただ、SDといっても毎日契約交渉をしているわけではなくて、監督や選手と意思疎通、現場へのフィードバックなど、細々した仕事をこなす日々がほとんど。それを少しずつ覚えながらここまで来た感じです」と本人も遠慮がちに言う。

彼にとっての大きな転機は、前述の通り、2019年のチョウ監督のパワハラ問題だ。自身も減給処分を受け、力不足を痛感。監督や仕事への取り組み方をガラリと変えた。

「チョウさんは僕の現役最後の監督であり、本当にすごい指導者。強いリスペクトがありました。その気持ちが強すぎて、思ったことをストレートに言えない自分がいたと思います。SDである以上、監督にも主張しないとダメ。それを感じてからは『自分が現場に一番近い人間なんだから、自分が見えたものに自信を持とう』と心を入れ替えました。

真摯な人柄で多くの人に愛される坂本SD(写真提供=湘南ベルマーレ)

今年はコロナの影響で移籍市場が停滞気味だったのもありますが、山口監督の考えるチームに近づけるため、会社としても大胆な補強に踏み切りました。永木亮太、米本拓司、瀬川祐輔といった実績ある選手は計算できますし、若手にも期待しています。僕らは結果で支えてくれる人に恩返しするしかない。クラブや監督の本気度をしっかり受け止めてやっていきます」と坂本SDは強い気迫を押し出した。

神奈川県には過去5年間で4度のリーグ制覇を果たしている川崎フロンターレを筆頭に、名門の横浜F・マリノス、J2降格したものの中村俊輔のようなビッグネームを要する横浜FCと他に3つもJクラブがある。ホームタウンは異なるが、湘南としては独自性を強めながら生き残りを図ることが肝要だ。

そのためにも、今季の上位躍進とクラブ基盤強化は極めて重要な命題。水谷社長、坂本SDという経営・現場両方のトップが卓越した手腕を発揮すれば、地域の人々やサポーターにより必要とされ、愛される存在になれるはず。湘南の成功を大いに期待しつつ、温かい目で彼らの動向を見守っていきたい。

取材・文/元川悦子

長野県松本深志高等学校、千葉大学法経学部卒業後、日本海事新聞を経て1994年からフリー・ライターとなる。日本代表に関しては特に精力的な取材を行っており、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは1994年アメリカ大会から2014年ブラジル大会まで6大会連続で現地へ赴いている。著作は『U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日』(小学館)、『蹴音』(主婦の友)『僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」(カンゼン)『勝利の街に響け凱歌 松本山雅という奇跡のクラブ』(汐文社)ほか多数。

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