理性と欲望の間で揺れ動く、一組のおしどり夫婦。
2022年2月14日より独占配信中のNetflixシリーズ『忠実と背信』は、イタリアで製作された大人向け結婚ドラマ。
原作は、マルコ・ミッシローリの小説『Fedeltà(原題)』。
あらすじ
不動産仲介会社で働くマルゲリータ(ルクレツィア・グイドーネ)と小説家で大学教授のカルロ(ミケーレ・リオンディーノ)は、理想のおしどり夫婦として知られている。
安定的な結婚生活を送っていた二人だったが、ある日カルロが教え子のソフィアと急接近する
見どころ
人間の際限なき欲望と、理性との葛藤を描いた本作。
本作では、具合が悪くなりパニック状態になったソフィアをカルロが抱きしめ、その現場を目撃した学生に不倫を疑われるところから、夫婦関係が悪化していく。
厳密には不倫とまでは言えないし、カルロもマルゲリータに正直に打ち明けるのだが、かといって全く下心がないとも思えない微妙なライン。
それだけにマルゲリータはカルロをはっきり責めることもできず、不安にじわじわと苛まれ始める。
白黒ハッキリ結果が出ずグレーの状態で耐え続ける状況こそが、一番辛かったりするものだ。
心の中に芽を出したほんの小さな欲望がきっかけで、安定していた日常のバランスがみるみる崩れていく。
心から望んでいたはずの安定や平和が手に入ると、次第に耐えがたいほどの退屈を感じ始める人は少なくない。
そして刺激を求めた結果、今までの安定や平和が崩れ落ちると、今度は失ったものを必死に取り返そうと慌てふためくことになる。
すでに自分の手の中にあるものを欲しがる人は、おそらくほとんどいないだろう。
今所有しているものを軽視して、まだ所有していないもの、またはかつて所有していたものに執着してしまうのは人間の性なのかもしれない。
Netflixシリーズ『忠実と背信』
独占配信中
文/吉野潤子