お子さんの大学合格に心躍らせながらも、これから始まる多額の支払いに不安を覚える人もいるのではないでしょうか。
長かった子どもの教育費負担もいよいよ終盤ですが、大学の費用は高額です。
これまで貯金をしてこなかった人が、節約でなんとか工面できるような金額ではなく、大学費用がない人は「教育ローン」や「奨学金」などの借り入れも検討していることでしょう。
今回は、大学費用がない人が大学費用をどう工面したらよいのか、注意すべき点をまとめて紹介していきます。
大学費用の平均額
文部科学省の「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」によれば、私立大学の学費の平均額は初年度135万7,080円、2年目から4年目までの3年間はここから入学金を引いた111万1,129円とすると、4年間で469万467円になります。
文系なのか理系なのかなど、学部によっての差がありますが、大学の費用として仮に500万円が必要と考えてみましょう。
大学費用がない人は、この500万円の費用をどのように用意するか考慮する必要があります。
画像引用元:文部科学省「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」
大学費用の準備方法
大学費用が不足しているなら、具体的にいつどれだけの費用が不足するのかを確認する必要があります。
1.下の子どもの学費を確認する
子どもが1人で、平均額前後の大学なら、上記の通り平均額前後の資金の準備ができればよいことになります。
ただ、多くの場合で問題になるのは、下の子どもとの教育資金のダブリ期間です。
下の子どもの塾の費用が必要、下の子どもが私立の中学や高校に進学している、など下の子どもだけでも教育費の負担が重い時期に、上の子どもの大学の資金も重なると、両方の教育費を貯金なしで賄うというのは、ほとんどの家庭で難しいことでしょう。
だからといって、安易に上の子どもの学費を教育ローンで賄うと、在学中「元金返済据置」などを利用しても、返済が始まった頃に下の子どもの大学費用が必要になるなど、2重3重の教育費返済に長い期間苦しむことになります。
あまりに返済が重くなりすぎると、上の子どもは教育ローンで親が返済するのに、下の子どもには奨学金で賄わせる、あるいはその反対など、兄弟間で対応の差がでることにもなりかねません。
兄弟間で差をつけると、子どもからも不満が出やすくなりますので、あらかじめ「年間いくらまでは教育ローンなどから賄うが、これ以上はアルバイト収入や奨学金から出してほしい」など、子どもと意見のすり合わせを行っておくことも必要でしょう。
2.「教育ローン」や「奨学金」の配分を決める
「教育ローン」や「奨学金」などの借り入れを行うのであれば、できるだけ早期にその配分についても検討した方がよいでしょう。
アルバイトができるのであれば、いくらかはアルバイトの収入で負担してもらうなど、親子ともに将来の借金をできるだけ少なくすませられる工夫をしたいものです。
できれば、子どもの収入を増やすだけでなく、親自身も働き方を見直すなど、世帯全体の収入を増やす工夫も考えましょう。
実際の家計相談をお引き受けしていると、「とにかくお金さえ借りれば何とかなる」と、返済の計画もろくに立てずに、すぐ借金に頼りたがる人がいますが、当たり前ですが、借金は将来返済するもので、収入ではありません。
3.「教育ローン」「奨学金」が借りられない場合
所得などの要件を満たせず、「国の教育ローン」や「奨学金」が利用できないという人もいます。
このような場合は、金利は高くなりますが、金融機関や信販会社の「教育ローン」なども検討することになります。
金利が高くなれば、当然、返済額は増えますから、返済の計画をより詳しく立てる必要があります。
金利の高いローンも、のちのちの家計設計に影響がでることになりますから、できるだけ借入額は少なく見積もりたいものです。
教育費で困らないために
大学費用の支払いが終われば、長かった子どもの教育費負担も落ち着きます。
大学費用の大半を借金で賄ってしまった人は、老後資金を削って返済していくことになります。
老後資金にまで影響がでてしまうと、ゆとりある老後生活が送れなくなる可能性がありますので、節約できるところはできるだけ節約し、借入額をできるだけ少なくした上で、老後資金まで含めた今後の家計計画を立て直しましょう。
文/家計簿・家計管理アドバイザー あき
著書に「1日1行書くだけでお金が貯まる! 「ズボラ家計簿」練習帖 (講談社の実用BOOK)」「スマホでできる あきの新ズボラ家計簿(秀和システム)」他