その一手間もキャンプの味に。ビンテージランタン「コールマン200Aレッド」
キャンプブームの波に乗り、さまざまなキャンプギアが発売され、キャンプも文明の利器のおかげで快適に楽しめるようになった。しかし、昔のモノは昔のモノで味がある。
たとえ、便利とは程遠くとも・・・。今回は、ボタンひとつで明かりがつくLEDランタンではなく、ちょっと手間がいるホワイトガソリンランタンの中でも、人気があるビンテージコールマンランタンの「200Aレッド」を紹介する。
コレクターが多いシングルランタン
アメリカのビンテージアウトドアギアのコレクターは多い。筆者はコレクターというより、ただ「かわいい!」と思ったモノがビンテージ品が多く、そして、アメリカに住んでいるため、日本よりそれらとの遭遇率が高い。
現在のキャンプランタンの主流はLEDで、スイッチを押せば光が簡単につく。しかし、コールマンランタン200Aのようなホワイトガソリンを燃料とするランタンは、火をつけるのに手間がかかる。しかし、それを楽しむ余裕がないとビンテージギアは楽しめない。
この手間暇がかかるホワイトガソリンを燃料にするランタンは、大きく分けて光源部分が1つのシングルマントルランタンと、光源部分が2つのダブルマントルランタンがあるが、ビンテージのシングルマントルの花形ランタンが「コールマン200A」だ。
コールマン200Aとは・・・
アメリカのアウトドアブランドの老舗で、世界的に知名度が高い「コールマン」。今ではテントや寝袋などさまざまな商品を展開しているが、始まりはランタンのため、ランタンの歴史は長い。
その中でもコレクターに人気が高いシリーズが、1950年代~1980年代に作られた「200A」だ。「200A」と聞くと赤いボディーのランタンをイメージする人が多いだろうが、シリーズ「200A」はすべてが赤ではなく、グリーンやゴールドのモノもある。
しかし、「200A」の主流はやはり燃えるような鮮やかなレッドである。
コールマンの「200Aレッド」は、実は微妙に違いあり
ひとことでシリーズ「200Aレッド」といっても、時代によってマイナーチェンジを繰り返している。
たとえば、コールマンのロゴステッカー(デカール)も、同じ200Aでも、ロゴに黄色い枠が付いたイエローデカール、イエローデカールにランタンのイラストがあるモノ、枠が赤のモノ、枠が白のモノなど時代によって異なる。
そのほか、ランタンの傘部分のベンチレーターもよく見ると、高さが変化しているし、バルブホイールも赤から黒に変化している。また、ボディーカラーの「レッド」も、時代によってオレンジに近い赤や、濃いバーガンディー色のときもあり、そんな違いもコレクター心をくすぐる。
60年以上のモノだが、明るさはLED以上
ホワイトガソリンランタンの特徴はなんといっても明るいところ。そして、その明るさが人工的ではなくオレンジ色の温かみがあるところだ。
筆者が持つ「200A」で一番古いものは、1959年製と63年前のモノだが、今でも現役で使える。もちろん、多少はメンテナンスが必要だが、昔のモノは作りが単純で、不器用な私でも消耗品の交換、メンテナンスができる。
使い捨てのモノが増えて便利になる世の中だが、「直して次の世代に引き継ぐ」ことができるビンテージランタン。機械いじりも楽しめる大人のオモチャのようなもので、そんなところも人気の理由なのかもしれない。
「コールマン」の本場アメリカでも「200Aレッド」の価値は年々上昇しており、ランタンのコレクターの人は「今は日本とタイの人に譲ることが多い」と言っていた。古いモノなのでコンディションがよいランタンに出会う確率は年々減ってくるが、それでも、あのコロンとしたかわいい200Aに魅せられているいる人は増え続けている。
文/舟津カナ
編集/inox.