地震が起きて送電設備などに被害が発生すると、停電することがあります。
その停電が復旧し、各家庭に電気が届いた時、ヒーターに衣類がかぶさっていたり、配線が断線していたら……もしかしたら火事が起きる可能性があります。
多くの方の記憶に新しい、東日本大震災での火災発生原因のうち、54%が通電火災によるものでした。
出典:「大規模地震時の電気火災の発生抑制に関する検討会」(内閣府)の値より作成
また、今後30年以内に震度6弱以上の揺れが起こる確率は、以下の図のようになっています。
「全国地震動予測地図2018年版」の概要(地震調査研究推進本部)より引用
日本で生活する我々にとって、地震への備えは欠かせないと言えそうです。
そんな中、注目されているのが「感震ブレーカー」です。
実は、「内線規程」(2019年4月1日 追補版)により、地方自治体が指定した「地震時等の電気火災の発生・延焼等の危険解消に取り組むべき地域」の全ての住宅など、さらに、都市計画法に基づく「防火地域」・「準防火地域」の木造及び鉄骨造の住宅など(共に耐火建築物を除く)に対して、地震ブレーカーなどの適用区分が、〝推奨〟よりも強い、〝勧告〟とされました。
また、内閣府、消防庁、経済産業省からも、地震による電気火災対策には、「感震ブレーカーが効果的」と告知されています。
でもみなさん、感震ブレーカーってご存じですか?
そこで、パナソニックの感震ブレーカーをご紹介します。今後の地震対策の一助になればと思います。
ところで、感震ブレーカーって知っていますか?
通電火災に効果的とされる感震ブレーカーですが、2021年7月にパナソニックが調査したところ、72%の人が「知らない」と回答しています。残念ながら、あまり知られていないのが現状です。
そもそもブレーカーとは、電気回路で起こる異常事故から電線を守る安全装置として取り付けられる遮断器を指します。
そのブレーカーの役割を補助・強化するのが、感震ブレーカーなのです。
感震ブレーカーの動作について、カンタンにご紹介します。
もし震度5強以上の地震が発生すると、センサーが地震を感知し、アラームとともに表示灯が点灯します。
即時遮断の場合は、地震感知後すぐに、主幹ブレーカを遮断します。
また、地震が夜に起きた場合など、避難経路の照明電源を確保するため、地震感知から3分間の通電時間を設けた後、自動で主幹ブレーカが遮断する設定に変更できます。
もしも地震感知から3分以内に停電が発生したら、復旧時に電気が流れると主幹ブレーカを遮断します。
【参考】地震による通電火災をふせぐ【パナソニックの感震ブレーカー】
パナソニックの感震ブレーカー3種
パナソニックでは、用途に合わせて3種類の感震ブレーカーが用意されます。
住宅分電盤「コンパクト21」シリーズに単体追加
同社の住宅分電盤の「コンパクト21」シリーズ内の空きスペースに組み込むタイプが、感震ブレーカー「BQX702」です。
BQX702
希望小売価格1万8150円(工事費別・以下同)
既設の分電盤に機能を追加
今使っている住宅分電盤を替えることなく、感震機能と漏電遮断機能を持たせたのが、感震リニューアルボックス「BQE3253Z」(主幹容量50A用)のシリーズです。
感震機能付き住宅分電盤
感震機能がついた住宅分電盤です。こちらは感震ブレーカー(BQX702)を標準搭載しています。
また、地震と落雷(雷サージ)による電気トラブルを防止する「避雷器」を搭載する、「地震かみなりあんしんばん」も別途用意されています。
漏電ブレーカと感震ブレーカーを一体化
パナソニックでは、漏電ブレーカと感震ブレーカーを一体化した「AB-60J型」も用意します。
追加配線工事不要で、住宅分電盤「ニューコスモシリーズ パネルF/S(主幹容量40A・50A・60A搭載品)」の主幹漏電ブレーカを交換し、漏電ブレーカと感震ブレーカーを一体化できるのが、「AB-60J型」です。
全国15都道府県 65自治体が補助金に対応
さて、感震ブレーカーの効果とパナソニックが扱う主要な感震ブレーカー製品をご紹介しました。
もちろん、設置や交換には製品代や工事費がかかります。ただし、全国15都道府県 65自治体が補助金に対応しています(2021年7月9日現在)。
広がる防災意識の中、今後も対応する自治体は増加する可能性があります。お住まいの自治体のホームページをご覧の上、感震ブレーカーの設置をご検討されてはいかがでしょうか?
取材・文/中馬幹弘