アドレナル・ファティーグ(副腎疲労)という概念を知っておこう
副腎疲労とは、近年になり認知されるようになってきた概念である。
欧米ではアンチエイジングの医学会を中心に『アドレナル・ファティーグ』として認知が進んでいる。アドレナルとは副腎のことで、ファティーグとは疲労のこと。しかし、日本ではまだ十分に認知されているとはいえない疾患概念だといえよう。
副腎は腎臓の上にのっている臓器で、腎臓と同様に2つあり、アドレナリン、ノルアドレナリン、コルチゾールといったホルモンを生成している。
これらのホルモンは、ストレスを受ける、あるいは受ける可能性がある、といったときに放出される。足りなくなれば、すぐにつくってまた放出。
つまり、ストレスを受けたときに最も影響を受けるのが副腎で、日々のストレスはもちろんのこと、どんな病気でも長患いすると副腎が疲弊してくるのだ。
化粧品でも解消できない『ゴルゴライン』というシワ
『美肌をつくる顔のツボ・反射区 綿棒で1分押し! フェイスマッピング』(学研プラス)の著書を持つ美容アナリスト・顔ツボセルフケア研究家の奈部川貴子さんは、副腎が疲れている人は、顔に『ゴルゴライン』が出やすいと説く。
ゴルゴラインとは『ゴルゴ13』ことデューク東郷の顔にある、目頭の下から頬の中央にかけて斜め下に入るシワを例えたもの。ゴルゴラインは別名アドレナルライン(副腎線)とも呼ばれている。
世界中の顔のツボ療法やフェイシャルリフレクソロジーを研究し、独自メソッド『フェイスマップ』を開発している奈部川さんから、ゴルゴラインを和らげるコツを教わったので公開していこう。
奈部川さん「ゴルゴラインが出る背景には、副腎疲労が考えられます。なぜなら、ゴルゴラインは副腎の反射区ですから。
副腎は『ストレスの腺』ともいわれ、さまざまなホルモンを分泌する臓器。自律神経の交感神経と密接で、ストレスや疲労が激しくなると、副腎ゾーンにくすみや陰りが出てきやすいと考えられています。
ゴルゴラインは解剖学上では上唇挙筋といって、上唇を引き上げる筋肉と密接。この筋が衰えると脂肪の重みも手伝って、目の下に深いシワが現れてしまうのです」
ゴルゴラインにはボコボコとした脂肪の塊がある
ゴルゴライン攻略の決め手は、上唇挙筋周囲にある脂肪の重みだという。
奈部川さん「ゴルゴラインをスッキリさせるには、あらかじめオイルかクルームをつけて、上の画像にある矢印部分をマッサージします。人差し指の腹を使い、矢印方向に4回ずつ力を入れすぎずに軽くなぞりましょう。
実際にやってみるとわかりますが、指の腹にボコボコとした脂肪の塊のような触感があるはずです。
ゴルゴラインを際立たせてしまう脂肪をスッキリさせたら、次は上唇挙筋を鍛えるC8(黒目の内側から下がったところと、小鼻の膨らみの上から横に伸ばしたところが交差する部分)のツボを綿棒、または私の作成したツボ押しツールで5~10秒押します。強く押しすぎると一時的にあとがつくので、弱めの力加減で様子を見ながら行いましょう。
C8を押してみると、ゴルゴラインが一時的に消える人は多いですね。
C10(黒目の中央から下がったところと、小鼻の膨らみから横に伸ばしたところが交差する部分)は頬骨筋を鍛えるツボで、ここも5~10秒押しましょう。
さらに、上の画像にあるB3、B15、B17のツボも同様に押すと効果的です」
そもそも『フェイスマップ』って何なの?
前述したように、顔にはたくさんツボがあることはわかった。しかし『フェイスマップ』というのは、そもそも何なのだろうか?
奈部川さん「フェイスマップで用いるツボは、中医学の頭頸部療法で使われるツボを軸に、いくつかの特殊鍼灸で用いられるツボや、内臓反射点というツボ、鼻鍼治療のツボ、顔の筋肉との関わりが深い顔筋ツボ、海外のアイケアセラピーで使われているツボ、アーユルヴェーダのマルマセラピーのツボ、などなど、複数の流派のツボを検証して考案しました」
奈部川貴子(なべかわ・たかこ)さん
美容アナリスト。顔ツボセルフケア研究家。ディエンチャン顔反射療法アドバンスセラピスト。ソレンセン式顔反射療法セラピスト。望診法初級指導士。長年、美容ジャーナリストとしてスキンケアを取材。現在はサロンワークやワークショップの他、国内外の化粧品メーカーへの講演指導などを行っている。
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取材・文/藤田麻弥