マッチングアプリや出会い系サイトで出会った人を巧みに誘惑し、大金を巻き上げる詐欺事件は国内外で後を絶たない。
一般的には、恋愛詐欺、ロマンス詐欺、婚活詐欺などと呼ばれている。
2022年2月2日よりNetflixで独占配信中の『Tinder詐欺師: 恋愛は大金を生む』は、ロンドンで起こった恋愛詐欺事件を取材したドキュメンタリー映画。
エミー賞受賞したNetflixドキュメンタリーシリーズ『猫イジメに断固NO!: 虐待動画の犯人を追え』プロデューサーのフェリシティ・モリスが監督。
あらすじ
有名マッチングアプリでダイヤモンド会社のCEOを演じていた、28歳の男性“サイモン”。
容姿が良くファッションセンスも抜群、そして優雅な暮らしぶり。
仕事のミーティング、パーティー、ビーチ、プライベートジェット等で撮影した画像の数々は、社交的で明るい印象。
SNSのフォロワー数が多いところも、多くの女性にとって魅力的に見えた。
マッチングした女性は、待ち合わせ場所の高級ホテルに颯爽と現れたサイモンに一目惚れ。
しかしサイモンの正体は“白馬の王子様”などではなく、狡猾な詐欺師だった。
見どころ
多くの女性が持っている“白馬の王子様願望”を利用した、卑劣な犯行の数々。
ロールスロイスやプライベートジェットに女性を乗せたり、突然自宅に深紅のバラの花束を贈るなど、まるで少女漫画やラブコメ映画のような世界が繰り広げられていたそうだ。
仲良くなってくると、「本当は繊細で傷ついてるオレ」を見せて女性の“助けてあげたい願望”をくすぐり、突然とんでもないトラブルに巻き込まれて現金を要求してくる流れも典型的。
第三者から見ると、いかにも怪しすぎる。
トラブルに自力で対処できずパニックになり現金も用意できないCEOってどうなんだろう……と普通なら疑問に思いそうなものだが、恋に恋する女性たちは“可哀想なカレ”のために何と自分名義で多額の借金をしてまで現金を渡してしまうのだ。
普段はどんなに真面目で知的な人でも、恋愛すると思考力が低下するのか、冷静に判断できなくなる。
寂しい時、藁にもすがる思いでマッチングアプリを利用している時に運悪く詐欺師のターゲットにされてしまったら、実際にはその怪しさに意外と気づけないものなのかもしれない。
ネットで出会いを求める女性を騙して儲ける詐欺師を題材とするNetflix作品としては、他にも『究極のペテン師:人を操る天才たちの実像』『ダーティ・ジョン-秘密と嘘-』などがある。
とにかく口が達者で演技が巧みな詐欺師も、その特徴や手口には共通点がある。
これらの作品を併せて視聴すれば恋愛詐欺・婚活詐欺についての理解が深まり、自分自身や家族・友人の被害を防ぐことに繋がるかもしれない。
Netflix映画『Tinder詐欺師: 恋愛は大金を生む』
独占配信中
文/吉野潤子