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企業改革に必要な「伴走型コンサルタント」の上手な活用法

2022.02.10

企業改革における経営コンサルタントの上手な活用法

 コロナ禍の今後の状況がまだ予断を許さないなか、さまざまな業界や多くの企業が、激変するビジネス環境に対応すべく変革を求められています。特に近年は、ビッグデータやIoT、AI、DX(デジタル・トランスフォーメーション)といったデジタル技術の活用が求められていますが、業務のデジタル化が進んでも、企業の本質的な問題や課題は大きく変わっていません。

 そのようななか、企業と共に歩み、改革推進を支援するのが経営コンサルタントです。経営コンサルタントの役割は、企業の戦略策定や変革のプランニングにだけでなく、具体的で有効な施策の策定や実行を支援して、成果の創出を支援していくことです。

 そこで今回は、経営コンサルタントを長年務めてきた経験から、企業改革における経営コンサルタントの上手な活用法をお伝えしたいと思います。

コンサルタントの語源は「共に座る」

 まず、企業がコンサルタントに何を期待しているか、または求めているか、ということからお話ししましょう。もちろん各企業によって変わるのですが、よくあるのが、会社の人間だけだと見落としがちなことや、会社の中にいるとどうしても分からないことを、会社外の人に見つけてもらってアドバイスをもらいたいということです。

 こうした期待がコンサルタントへの期待の一つであることは事実です。そうしたことができるコンサルタントというのは、頭が良くて、企業にとって正しい答えを出してくれる人というイメージも浸透しているようです。しかし、「正しい答え」を出すこと自体に必要な考え方や、分析の道具類は過去10年、20年の間でほとんど普通にビジネス書やネット記事には山ほど掲載されています。知識や分析力だけがコンサルタントの付加価値である時代は、もはや終わっています。その上、どんなに素晴らしい分析をしたところで、企業経営に100%の正解はありません。不確実性が必ずあるなかで意思決定をして、それが正解になるように努力して成果を出すのが経営であると、私の尊敬する経営者の方は言っています。

 知識や分析力だけが期待ではなくなってきた最近、コンサルタントに求められていること、そして経営コンサルタントである私たちの世界の中でもよく使われるようになってきているのが、「伴走」という言葉です。目標を同じにして、ゴールにたどり着くまで共に伴走する。登山であればシェルパです。

 コンサルタントという言葉の元となっているコンサルトという単語の語源は、「共に座る」と言われています。つまり、今コンサルタントに期待されていることは、クライアント企業と一緒のテーブルに座って話し合いながら、伴走し、ゴールまでご一緒するという、元の語源どおりの姿の方に戻ってきたともいえます。

企業に“伴走する”コンサルティングとは

 会社をこんなふうに変えていきたい、または事業で大きなインパクトを出したいが、なかなか自分たちだけはうまくいかない。目標までの道筋も一本だけではなくいろいろあって、しかも長い。そんなクライアント企業に対して、私は進む道筋を共に選ぶだけでなく、選んだ道筋の進み方も一緒になって走りながら考えていく、「伴走者」としての役割を果たすようにしてきました。そして、この「伴走者」という言葉自体をとてもよく聞くようになりました。

 企業側でも、今までは情報格差や、通常業務の中で必要な分析を超えたことをコンサルタントに期待してきましたが、実際にはコンサルティングを依頼する究極の目的は、成果を実現することであり、そのために準備段階から、立ち上げ、展開、そして目標達成まで、共に伴走してくれるコンサルティングスタイルを求めているのではないかと感じます。

経営コンサルタントの究極の利用法は

 経営コンサルタントに仕事を依頼するということは、会社に解決すべき何らかの課題があるが自分たちだけでは解決できず、外部のアドバイスを必要としているからです。

 その際、経営コンサルタントに依頼する前に、なぜその課題が起こったのか、解決することで自社にどんな望ましい変化が起きるかといった、課題そのものだけではなく、その背景や解決後に見える風景を自分たちで考えておく必要があります。それを経営コンサルタントにぶつけて、共に議論することで、より良い解決方法や道筋が見えてくるはずです。また、方向性を決めた後で活動を立ち上げる際の、腹落ち感にもつながります。

 経営コンサルタント側としても、最初から解決方法を提示して、上から目線で「ああしなさい。こうすべきです」と言うのではなく、クライアント企業と一緒になって議論しながら解決方法を考えていく必要があります。そして最終的には、企業側の方々が「コンサルタントがいてくれて助かったけど、これをやったのは私たちだよね」と思ってもらうようにすることが、目指すべきコンサルティングの形なのではないかと、私は考えています。

 このように、経営コンサルタントの究極の利用法は、経営コンサルタントがいなくなっても自分たちだけでやっていけるようにすることです。コンサルタントも最初はいろいろと役に立ったけど、今はもう自分たちだけでできるようになった。そのようになっていただくのが、われわれ経営コンサルタントのミッションでもあるのです。

 ぜひ上手に経営コンサルタントを活用して、激変するビジネス環境の中で生き残っていくためにも、企業改革を推進していってください。

文/太田信之

OXYGY株式会社代表取締役/アジアパシフィック代表パートナー。1966年、東京都出身。国際基督教大学卒業後、ソニーに入社。イタリア駐在時にマーケティング部門でマネジャーを務める。その後、GEにて事業開発や事業統合の業務を経験。複数のコンサルティングファームを経て、外資系コンサルティングファームのValeocon Management Consultingのアジア代表に就任。同社経営陣の一員として、英国系国際法律事務所、Bird & Birdの経営コンサルティング部門とのM&AによりOXYGYを設立、アジアパシフィック代表を務める。2019年から現職。専門セクターは、ライフサイエンス、食品、製造業(素材、部品)。実施内容は会社、事業単位でのトランスフォーメーション。

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