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詐欺やクレジットカードの不正利用で奪われたお金は取り戻せる?

2022.02.13

振り込め詐欺やクレジットカードの不正利用によって奪われたお金は、加害者に対して返金を請求できます。

また、仮に加害者が支払いに応じないとしても、振り込め詐欺救済法に基づく救済や、クレジットカード規約に基づく補償によって、被害金を取り戻せる可能性があります。

今回は、振り込め詐欺やクレジットカード不正利用の被害を回復する方法についてまとめました。

1. 詐欺やクレジットカードの不正利用は「不法行為」|加害者に返金を請求可能

振り込め詐欺やクレジットカードの不正利用によって、被害者からお金を奪う行為は、民法上の「不法行為」に該当します(民法709条)。

不法行為とは、故意または過失により、被害者に対して違法に損害を与える行為です。

不法行為の被害者は、加害者に対して損害賠償を請求できます。

したがって、振り込め詐欺やクレジットカードの不正利用の被害に遭った場合、加害者に対して被害金全額の返金を求めることができます。

2. 加害者が返金に応じなくても、被害金を取り戻せる場合がある

加害者が行方をくらましたり、すでに無資力となっていたりして、返金請求が難しいケースも想定されます。

もし加害者から返金を受けられないとしても、被害の内容に応じて、以下の救済を利用できる可能性があります。

①振り込め詐欺救済法※に基づく救済

振り込め詐欺の被害金が入金された口座を凍結し、その時点での口座残高を上限として、被害者に対して被害回復分配金が支給されます。

相談先は、入金先口座の金融機関です。

※正式名称:犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払い等に関する法律

②クレジットカード規約に基づく補償

クレジットカードの不正利用が行われた場合、カード利用規約の規定に基づき、一定期間における不正利用額の補償が行われます。

相談先は、クレジットカード会社です。

3. 振り込め詐欺救済法上の救済手続きの流れ

振り込め詐欺救済法に基づき、被害回復分配金の支給を受けるためには、以下の手続きを踏む必要があります。

犯人グループによって被害金が出金される前に、口座の取引停止(凍結)が間に合うかどうかが大きなポイントなので、早急に対応することが重要です。

3-1. 預貯金口座の取引停止

被害者からの届出を受けて、金融機関が調査を行い、口座が犯罪に利用されたことが疑われる場合には、取引停止(凍結)の措置を行います(同法3条1項)。

取引停止(凍結)以降は、犯人グループは口座から被害金を引き出すことができません。

3-2. 預貯金債権の失権公告

金融機関がさらに調査を行った結果、口座が犯罪に利用されたと疑うに足りる相当な理由があると判断した場合には、預金保険機構に失権公告を求めます(同法4条1項)。

預金保険機構は、60日以上の期間を定めて失権公告を行います(同法5条1項、2項)。

その間に、口座名義人(犯人グループ)から権利行使の届出等が行われなければ、口座名義人は預貯金債権を失います(同法7条)。

なお、公告期間内に権利行使の届出等が行われた場合、被害者が被害金を取り戻すには、加害者に対する損害賠償請求等が必要です。

3-3. 被害回復分配金支払い開始の公告

預貯金債権が失権した場合、金融機関の求めに応じて、預金保険機構は30日以上の期間を定め、被害回復分配金支払い開始の公告を行います(同法10条1項、11条1項、2項)。

この公告期間中に、金融機関に対して被害事実を疎明することを条件として、被害回復分配金を受け取れます(同法12条1項、13条)。

3-4. 被害回復分配金の支払い

被害回復分配金は、金融機関により認定された犯罪被害額を上限として支払われます。

ただし、対象口座の残高が犯罪被害額に不足する場合には、残高の範囲内でしか被害回復分配金の支払いを受けることができません。

また、被害者が複数いるケースにおいて、残高が総被害額に不足する場合には、各被害者の犯罪被害額に応じて、按分的に被害回復分配金が支払われます。

4. クレジットカード規約に基づく補償を受けられない場合に注意

クレジットカード不正利用に関する補償を受けられるかどうかは、各カード会社のカード利用規約の規定に従って決まります。

一般的には、以下のいずれかに該当する場合には、クレジットカード不正利用に関する補償を受けられないケースが多いので要注意です。

クレジットカードそのものや暗証番号の管理を徹底して、できる限り不正利用に対する自衛に努めましょう。

・不正利用の被害が、会員の故意または重大な過失に起因する場合
・補償期間外に不正利用が発生した場合
・会員がカードを交付した代理人により、不正利用が行われた場合
・カードの紛失・盗難のケースで、捜査機関へ正しく届出が行われていない場合
・暗証番号の入力を伴う取引について不正利用が発生した場合
・不正利用に関するカード会社への通知日よりも、61日以上前に不正利用が発生した場合
など

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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