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弁護士がアドバイス!取引・契約時の「言った言わない問題」を回避する方法

2022.02.13

他社との契約交渉では、口頭で非公式に条件等のやり取りが行われることも珍しくありません。

しかし、口頭で契約交渉を行った場合、言い回しなどによって、双方に理解の齟齬が生じることもよくあります。

「あの時こう言ったじゃないか」「いや、言っていない」と押し問答になり、当事者間でトラブルになってしまうケースも、しばしば見受けられます。

今回は、こうした「言った言わない問題」が発生した場合について、法的な整理とトラブル回避の対処法をまとめました。

1. 「言った言わない問題」の法的整理

契約書を作成していない場合や、契約書に書かれていない約束事が存在する場合には、「言った言わない問題」の発生が懸念されます。

法的には、口頭でも契約は成立するものの、契約書をきちんと作成するケースと比べると、トラブルに発展しやすい側面があるので注意が必要です。

1-1. 契約は口頭でも成立する

契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成を要しないことが民法上明記されています(民法522条2項)。

したがって、契約書を作成せずに、口頭での合意のみによって契約を成立させることも可能です。

また、契約書自体は作成するものの、契約書に書かれていない取引条件について、口頭で合意することもできます。

1-2. 口頭の契約の成立・内容を証明するのは難しい

しかし、口頭での合意内容は、契約書に記載された合意内容に比べて、証明の難易度が遥かに高い点に注意しなければなりません。

口頭で契約が成立したことや、その内容を証明し得る証拠としては、以下のものが挙げられます。

・口頭での合意を記録した録音データ
・口頭での合意があったことを窺わせる、メールやメッセンジャーでのやり取り

しかし一般的に、録音を作成・保存しているケースはほとんどないでしょう。

また、メールやメッセンジャーでのやり取りは、あくまでも口頭での合意を推認させる間接的な証拠でしかありません。

さらに、仮にある時点では口頭の合意が存在したと評価できたとしても、その後に別の合意によって塗り替えられたと認定されてしまう可能性もあります。

このように、口頭での契約は客観的な証拠に乏しいため、その存在や内容を証明するハードルがきわめて高いのです。

1-3. 権限がない人との約束では、契約は成立しない

口頭での契約成立を主張する際には、もう1点、契約締結権限の問題が存在します。

会社の代理権または代表権のない人が、会社のために契約を締結したとしても、原則として契約の効力は会社に帰属しません(民法113条1項)。

株式会社の場合、代表権を有するのは「代表取締役」です。

また会社によっては、代表取締役から他の取締役や管理職などに対して、契約締結に関する代理権が付与されている場合があります。

裏を返せば、代表取締役または代表取締役から代理権の付与を受けた人でなければ、会社のために契約を締結する権限はありません。

たとえば契約交渉を、相手方の会社の営業担当者と行うケースはよくあるでしょう。

この場合、営業担当者には、契約締結権限がないことがほとんどです。

もし営業担当者との間で、何らかの口約束が行われたとしても、営業担当者に契約締結権限がない場合には、相手方の会社に口約束の効力を主張することはできないので注意しましょう。

2. 「言った言わない問題」によるトラブルを回避するための対処法

取引先との「言った言わない問題」を回避するための対処法は、合意内容を契約書にまとめておくことに尽きます。

契約書を作成して、その中にすべての合意内容を書き込み、権限ある者の記名または署名と押印によって締結しておきます。

そうすれば、基本的に「言った言わない問題」が生じることはありません。

また、「言った言わない問題」のリスクを最小化したい場合や、逐一契約書を作成するのが面倒な場合には、以下の契約上の工夫を行うことも考えられます。

2-1. 完全合意条項

完全合意条項とは、要するに「書いてあることが合意内容のすべてであり、それ以外の合意は存在しない」ことを確認する条項です。

書面がより重視される英米法圏の契約実務に由来しますが、現在では日本の企業間取引でもスタンダードな条項となっています。

<完全合意条項の文例>
本契約は、その主題事項に関する当事者間の完全な合意を構成し、当該主題事項に関する従前のいかなる契約、合意、約束及び約定(書面であると口頭であるとを問わない)も無効とする。

完全合意条項を契約書に規定しておけば、「言った言わない問題」のリスクを完全に摘むことができます。

取引先とのトラブルのリスクを最小化したい場合には、細部まで取引条件の交渉を行ったうえで、完全合意条項を含む契約書を締結しておくとよいでしょう。

2-2. 基本契約・個別契約

何度も反復して取引が行われる場合には、最初に取引条件の大枠を定める「基本契約書」を締結しておきましょう。

そうすれば、個々の取引の段階では、簡易的な「個別契約」を締結するだけで足ります。

契約書の作成を疎かにすると、「言った言わない問題」が発生するリスクが高まります。

契約書の作成が面倒だとしても、口頭で済ませてしまうのではなく、より効率的な形で契約書を作成できないかを検討する方が望ましいでしょう。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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