『大盤振舞』という言葉を日常生活で耳にしたことがあっても、意味をきちんと説明できない人もいるのではないでしょうか?意味とともに由来や使い方を紹介します。類語についても触れるので、知識を深めて使いこなせるようになりましょう。
「大盤振舞」とは?
『大盤振舞(おおばんぶるまい)』は、人をもてなすようなシーンでよく使われます。どのような意味を持つ言葉なのでしょうか?古い文化と関係がある由来についても紹介します。
意味は「盛大にもてなす」
『大盤振舞』には、『気前よく盛大にもてなす』という意味があります。食べ物や飲み物を入れるための大きな器を表す『大盤(だいばん)』と、ごちそうする・もてなすという意味の『振舞』が組み合わさった四字熟語です。
『大盤を用いるほどのたくさんの食べ物を振る舞う』という様子から、『盛大にもてなす』という意味で使われます。食べ物や飲み物に限らず、お金や物を気前よく与えることに対しても使われる言葉です。
由来は平安時代からの文化
『大盤振舞』の由来は、平安時代に宮中で使われていた『椀飯(おうばん)』です。『椀飯』は『椀(わん)に盛った飯』という意味で、宮中で出されていた『膳』を指します。『大盤振舞』は本来『椀飯振舞』と書かれていたのです。
鎌倉時代になると、椀飯は各地の御家人が将軍に献上する膳のことを指すようになりました。アワビやウニなどの珍味をはじめ、数多くの豪華な料理が並んでいたとされています。
そして江戸時代になるとこの文化が平民にも浸透し、正月を祝う際に親戚・近しい人を招いて行う宴会を指すようになります。このとき、現在の意味である『盛大にもてなす』という意味に変わりました。
「大盤振舞」の使い方と例文
言葉を正しく使いこなすためには、意味だけでなく使い方も把握する必要があります。『大盤振舞』の使い方を例文とともに確認しましょう。
主に食事や物に対して使う言葉
『大盤振舞』はビジネスでもプライベートでも用いられる言葉で、主に食事や物に対して使います。
例えば、良好な関係を保つための手段として、取引先の人を接待することは珍しくありません。プロジェクトの成功を祝って、上司が部下にごちそうを振る舞うこともあるでしょう。このように誰かをもてなす場面で用いられます。
プライベートでも、客を豪華な手料理でもてなしたり手土産を持たせたりするような場面で使えます。
また近年では、『予算分配』や『バラマキ』の意味で使われることも少なくありません。例えば、政府が行う景気対策への予算増大や支援政策に対して、『予算をばらまいている』というネガティブなニュアンスで『大盤振舞』を使うことがあります。
「大盤振舞」の例文
大盤振舞は実際、どのように使われるのでしょうか?分かりやすい例文を参考にしながら、状況に合わせてアレンジしてみましょう。
- 友人宅のホームパーティーではいつも、特別に取り寄せた食材がふんだんに使われた料理が大盤振舞される。
- 毎年恒例の忘年会では、全員参加のゲームが目玉のイベントになっている。会長が大盤振舞して、豪華景品を多数用意してくれるのだ。
- 今年は新居で迎える初めての正月なので、家族や親戚を招いて大盤振舞するつもりだ。
- 経済回復のための政策を、大盤振舞だと批判する人もいる。
上記の例のように、さまざまな場面で使える便利な言葉です。『気前よくもてなすこと』だけでなく、ネガティブなニュアンスを込めて使うこともできます。
「大盤振舞」の言い換え表現
『大盤振舞』の類語も覚えておくと、表現の幅が広がります。人に何かを振る舞うときに使えるのは、どのような表現なのでしょうか?微妙なニュアンスの違いも、例文とともに覚えておきましょう。
もてなす
『もてなす』には、『ごちそうする』『心を込めて客の世話をする』という意味があります。大盤振舞とまではいかなくても、心を込めて対応する行動に対して使える表現です。
- 海外からのお客様をおもてなしするので、口に合いそうな料理を選んだ。
- お土産を届けるだけのつもりが、おもてなしを受けてしまい恐縮だ。
- アメリカでは、子どもの誕生日会に友達やその家族を招いてもてなすことも多い。
このように、『おもてなしする』や『おもてなしを受ける』という形で使われることが多いでしょう。
ごちそうする
日常会話で使いやすい類語として、『ごちそうする』も挙げられます。漢字では『ご馳走する』と書かれ、『食事のもてなしをする』という意味を持つ『馳走』の尊敬・丁寧語です。
- いつもおごってもらってばかりなので、今日はごちそうするね。
- サプライズも兼ねて、予約が取りづらいことで有名なすし屋でごちそうする予定だ。
- 「お礼にごちそうするから」と言われても、意に反することはしたくない。
『ごちそうする』という動詞だと『心を込めてもてなす』の意味になります。一方、単に『ごちそう』と名詞で使う場合は、『ぜいたくな料理』という意味合いで使うことが多いでしょう。
気前がよい
大盤振舞は、『金や物を出し惜しみしない』という意味の『気前がよい』に言い換えることも可能です。主に人物に対して使われ、ケチケチしておらずさっぱりした性格の人を指します。
- 気前がよい人は好かれるが、実は見えを張っているだけの人もいる。
- 欧米のレストランではチップの習慣があり、気前よくチップを渡す人も多い。
- バブルの頃は気前がよかった彼だが、今ではすっかり変わってしまった。
第三者や相手に対して、よく使われる表現です。自分のことを『気前がよい』と表現する場面は少ないかもしれません。
金に糸目を付けない
『惜しげもなく金を使う』という意味の『金に糸目を付けない』も、大盤振舞の類語に該当します。どのように使うのを見てみましょう。
- 彼は「質の高い家具は一生使えるから、金に糸目を付けない」と言って、海外から高級家具を取り寄せた。
- 彼女は、趣味であるアンティークのお皿集めには金に糸目を付けない。
- お金持ちになったら、金に糸目を付けずに好きな物を好きなだけ買ってみたい。
『糸目』とは、正月に上げる『たこ』の糸です。糸が付いていないたこはコントロールできないことから、出費を抑えないという意味になりました。
構成/編集部