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当たりなしのくじ引きは詐欺に該当する?スマホガチャや商店街のくじの問題点

2022.02.07

くじ引きをする人は誰しも、紹介されている賞品が当たるかもしれないという期待を、多かれ少なかれ持っているものです。

しかし、くじの中に本当に当たりが入っているかどうかは、その中身や仕組みを確かめなければわかりません。

くじ引きをする客には、通常そうした機会はないため、もしかすると、当たりなしのくじを引かされている可能性もあります。

主催者側の意図によって、くじが当たらないようになっているとすれば、景品表示法や刑法との関係で違法の疑いが生じます。

今回は、当たりなしのくじに関する法的な問題点をまとめました。

1. 当たりなしのくじに存在する2つの法的問題点

くじの中に当たりが含まれていない場合、「景品表示法違反」と「詐欺罪」に該当する可能性があります。

1-1. 景品表示法違反

景品表示法では、商品やサービスに関する表示を行う際、「優良誤認表示」と「有利誤認表示」が禁止されています。

優良誤認表示と有利誤認表示は、それぞれ以下の内容の表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあるものを意味します(景品表示法5条1号、2号)。

①優良誤認表示

商品やサービスの品質・規格などの内容について、

・実際のものよりも著しく優良であると示す表示
・事実に反して、同業他社の類似商品・サービスよりも著しく優良であると示す表示

②有利誤認表示

商品やサービスの価格などの取引条件が、

・実際のものよりも著しく有利であると一般消費者に誤認される表示
・同業他社の類似商品・サービスよりも著しく有利であると一般消費者に誤認される表示

本当は当たりが入っていないのに、当たりが入っているかのように装ってくじを販売した場合、優良誤認表示または有利誤認表示に該当する可能性があります。

このような行為(表示)は、くじ引きを行う消費者を、

「こんな良い物が当たるんだ!」(優良誤認)

「値段の割に、当たる確率や商品の条件が良い、お得なくじだ!」(有利誤認)

といった勘違いに誘導するものだからです。

景品表示法違反に該当する場合、事業者は措置命令(同法7条1項)や課徴金納付命令(同法8条1項)の対象となります。

さらに、措置命令に違反した事業者については、以下の刑事罰が課される可能性があります(同法36条1項、2項、38条1項1号、2項1号)。

個人の場合:2年以下の懲役または300万円以下の罰金(併科あり)

法人・団体の場合:3億円以下の罰金

1-2. 詐欺罪

消費者としては、当たりが入っていないことを知っていれば、くじを買うためにお金を使うはずがありません。

したがって、当たりが入っているかのように装い、当たりなしのくじを販売する行為は、購入者から金銭を騙し取る行為であり、「詐欺罪」(刑法246条1項)に該当します。

詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。

刑事訴追の可能性や量刑の目安は、被害金額などの犯情に応じて左右されます。

被害金額が大きい場合には、初犯で実刑となる可能性もあります。

2. 確率表記が間違っているスマホガチャは、違法の可能性大

スマートフォンを中心にプレイされているオンラインゲームでは、「ガチャ」と呼ばれる仕組みが採用されているケースが多いです。

「ガチャ」とは一般に、有料アイテムを消費することで、ゲーム内で使用できるキャラクターやアイテムをランダムで獲得できる、くじ引きのような仕組みを意味します。

「ガチャ」の中には、各キャラクターやアイテムの出現確率を明記してあるものが存在します。

「ガチャ」の確率表記は、法令によって義務付けられているものではありませんが、オンラインゲーム業界の自主規制の一環として行われています。

参考:
ランダム型アイテム提供方式を利用したアイテム販売における表示および運営ガイドライン|一般社団法人日本オンラインゲーム協会

確率表記に反して、運営会社がシステム上の操作により、特定のアイテムの出現確率を下げた場合には、景品表示法違反および詐欺罪に該当する可能性が高いです。

特に、ユーザー数の多いオンラインゲームの場合、被害金額が膨大になるため、関係者が刑事訴追される可能性も大いにあると考えられます。

3. 商店街のくじ引きは「おまけ」のことが多いが……

商店街などで行われているくじ引きは、くじそのものを販売するのではなく、あくまでも買い物の「おまけ」として位置づけられているケースが多いです。

この場合、仮にくじに当たりが(ほとんど)入っていなかったとしても、消費者は「くじ」そのものにお金を払っているわけではないので、景品表示法違反や詐欺罪が問題になることは少ないでしょう。

ただし、くじの賞品が豪華であり、大々的に宣伝されていた場合などには、メインの商品の販売とくじ引きの勧誘を全体的に評価して、景品表示法違反や詐欺罪に当たると判断される可能性は否定できません。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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