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子どものお年玉を親が勝手に使ったら横領罪に問われる?

2022.02.04

子どもがある程度の年齢に達するまでは、子どもがもらったお年玉を、親が預かるケースも多いかと思います。

預かったお年玉は、子どものお金として貯金しておけば、何の問題もありません。

これに対して、生活費や遊興費などに充てるため、子どものお年玉を親が勝手に使ってしまったらどうなるのでしょうか?

今回は、子どものお年玉を親が勝手に使うことについて、法律上の問題点をまとめました。

1. 「横領」行為に関する民法・刑法上の取扱い

他人のお金を勝手に使ってしまう行為は、一般的に「横領」と呼ばれます。

まずは、民法・刑法のそれぞれにおいて、「横領」行為がどのように取り扱われているのかを確認しておきましょう。

1-1. 民法上は「不当利得」および「不法行為」

横領行為によって得た金銭は、民法上の「不当利得」(民法703条、704条)に該当し、被害者に返さなければなりません。

また横領行為は、民法上の「不法行為」(民法709条)にも該当し、加害者は被害者に対して、被害額相当の損害賠償義務を負います。

被害者が横領金の返還を請求する際には、不当利得と不法行為、どちらの法律構成を選択しても構いません。

1-2. 刑法上は「横領罪」または「業務上横領罪」

刑法上、横領行為については「横領罪」(刑法252条1項)または「業務上横領罪」(刑法253条)が成立する可能性があります。

「横領罪」と「業務上横領罪」はいずれも、他人から委託を受けて占有していた物(お金など)を、自分や第三者のために勝手に使ってしまった場合に成立します。

特に、物の預かりを仕事(業務)として取扱う人が横領行為をした場合には、重い「業務上横領罪」が成立し、「10年以下の懲役」に処されます。

(例)質屋、倉庫業者、会社のお金を管理する役職員など

上記以外の者が横領行為をした場合には、通常の「横領罪」が成立し、「5年以下の懲役」に処されます。

2. 子どものお年玉を勝手に使ったら「横領」?

子どものお年玉についても、全く関係がない他人が勝手に使ってしまったら、上記の例によって、犯罪や不当利得・不法行為の責任を負います。

しかし、親が子どものお年玉を勝手に使った場合については、刑法・民法のそれぞれにおいて、通常とは異なる取扱いがなされています。

2-1. 民法上は「利益相反行為」に当たるかどうかが焦点

勝手に使ってしまったお年玉を、親が子どもに返す必要があるかどうかは、お年玉の使用(消費)が「利益相反行為」に当たるかどうかによって結論が異なります。

民法上、親権者は、子の財産を管理する権限を有しています(民法824条)。

よって、子どもがもらったお年玉についても、親権者による管理権限の対象となります。

ただし、子どもの財産は、あくまでも子どものために使わなければならず、親権者が何でも勝手に使ってよいわけではありません。

この点、親権者と子どもの利益が相反する行為については、家庭裁判所に特別代理人の選任を請求する必要があります。

特別代理人は、利益相反行為について、親権者の代わりに子どもを代理する立場です。

特別代理人の選任を請求することなく、親権者が子どもを代表して勝手に利益相反行為をした場合、親権者は子どもに対して損害賠償責任を負います。

反対に、利益相反行為に当たらなければ、親権者が無断で子どものお金を使ったとしても、財産管理権限によって有効となるのが原則です。

したがって、お年玉を使うことが「利益相反行為」に当たれば、親は子どもに使った金額を返さなければならず、そうでなければ返す必要はないという結論になります。

お年玉を使うことが「利益相反行為」に当たるかどうかは、基本的にはその使い道によって決まります。

利益相反行為に当たる場合・当たらない場合の例は、以下のとおりです。

<利益相反行為に当たるお年玉の使い道>
・親自身が欲しい物を買う
・親だけが参加する旅行に使う
・ギャンブルに使う
など

<利益相反行為に当たらないお年玉の使い道※>
・子どものためにおもちゃや学用品を買う
・子どもも参加する旅行の費用の一部として使う
・子どもの生活費に充てる
・子どもの学費に充てる
など

※金額や家庭の経済状況に鑑み、お年玉を使う必要性・合理性がない場合には、利益相反行為に当たる可能性がある点に注意が必要です。

2-2. 犯罪は成立する可能性はあるが、刑は免除される

子どものお年玉につき、親が勝手に利益相反行為に当たるような使い方をした場合、形式的には、刑法上の「横領罪」が成立する可能性があります。

ただし、子どものお年玉を勝手に使ったとしても、親に刑罰が科されることはありません。

「親族間の犯罪に関する特例」により、親による横領行為については、刑が必ず免除されることになっているからです(刑法255条、244条1項)。

このように、親が子どものお年玉を勝手に使う行為については、「横領罪が成立したとしても、刑は免除される」という、少しわかりにくい整理になっています。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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