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詐欺被害が多発!日本国内で海外の宝くじを購入することは違法?

2022.02.10

最近では、日本人向けに海外の宝くじを販売するインターネットサイトが立ち上げられているようです。

しかし、日本国内で海外の宝くじを購入すると、犯罪に問われる可能性があります。
また、海外宝くじに関連する詐欺被害も報告されているので、正しい知識を持ってトラブルを予防しましょう。

今回は、海外の宝くじを購入することの法的な問題点や、海外の宝くじに関する詐欺被害の実態などをまとめました。

1. 海外の宝くじを日本国内で購入するのはNG

海外の宝くじを日本国内で購入することは、刑法上の犯罪に該当するため、絶対にやめましょう。

1-1. 日本国内で海外の宝くじを購入すると「富くじ授受罪」

海外の宝くじは、刑法上の「富くじ」に該当します。

「富くじ」とは、購入者に番号札を発行して金銭を集め、その後抽選などの偶然的方法によって、購入者に不平等な利益を分配する「くじ」のことです。

富くじについては、刑法上、以下の3つの犯罪が規定されています。

①富くじ発売罪(刑法187条1項)

2年以下の懲役または150万円以下の罰金

②富くじ発売取次罪(同条2項)

1年以下の懲役または100万円以下の罰金

③富くじ授受罪(同条3項)

20万円以下の罰金または科料

日本国内で海外の宝くじを購入する行為は、上記のうち「富くじ授受罪」に該当する犯罪行為です。

なお、日本の宝くじも「富くじ」に該当しますが、「当せん金付証票法」という法律によって、特別に発売・発売取次・授受が認められています。

1-2. インターネット経由での購入もNG

最近では、インターネットを通じて海外の宝くじを販売する業者も出現しています。

しかし、インターネット経由での購入であっても、日本国内で購入操作を行った場合には、「富くじ授受罪」が成立します。

「海外サイト経由であればOK」などと、誤った情報が一部で流布されているようですが、このような情報を信用してはいけません。

1-3. 外国人であっても、日本国内での購入は不可

「富くじ授受罪」は、日本国内にいる外国人の方にも適用されます。

たとえば、日本に旅行などで長期滞在している間に、インターネット経由で自国の宝くじを購入したいと思うケースがあるかもしれません。

しかしこの場合、日本の刑法に基づいて「富くじ授受罪」が成立し、処罰されてしまうおそれがあるので注意が必要です。

2. 海外の宝くじを現地で購入するのはOK?

日本人の方であっても、海外の宝くじを現地で購入する場合には、日本の刑法によって処罰されることはありません。

ただし、現地法のルールによっては購入できない場合もありますので、必ず事前に確認しましょう。

2-1. 海外での購入には、日本の刑法は適用されない

日本の刑法は、日本国内で行われた犯罪に適用されるのが原則となっています(刑法1条1項)。

その一方で、一部の重大な犯罪等については、日本国外で行われた場合であっても、日本の刑法に基づく処罰を可能とする国外犯規定が、例外として設けられています(刑法2条~4条の2)。

つまり日本の刑法では、国外犯規定がなければ日本国内の行為のみが処罰され、国外犯規定があれば海外の行為でも処罰対象になり得るということです。

この点、「富くじ授受罪」については、国外犯規定が設けられていません。

したがって、海外の宝くじを購入する行為については、日本国内でなされた場合にのみ「富くじ授受罪」が成立します。

反対に、海外の宝くじ現地で購入したとしても、「富くじ授受罪」が成立することはありません。

2-2. 現地法のルールを要確認

ただし、日本の刑法上は問題ないとしても、海外の宝くじを現地で購入する行為については、現地法の規制が適用されます。

現地法の内容によっては、

「外国人は購入できない」
「一定期間以上の居住歴が必要」

などのルールが設けられているかもしれません。

現地法のルールは、地域によって様々です。

海外の宝くじを現地で購入する際には、必ず関連する現地法のルールを確認してください。

3. 海外宝くじに関する詐欺被害には要注意

海外の宝くじに関連して、各自治体や消費生活センターなどに対して、消費者詐欺の報告が寄せられています。

典型的な消費者詐欺の手口は、

「海外の宝くじが当選した」

という内容のメッセージやダイレクトメールを送信し、「権利を確保するためには、手数料の振り込みが必要」などとうそを言って、金銭を騙し取るというものです。

そもそも、購入していない海外の宝くじが当選することはありません。

また、これまでも解説したように、日本国内で海外の宝くじを購入することは犯罪です。

もし海外の宝くじに関連して、上記のような詐欺の連絡を受けた場合には、一切無視して関わらないようにしましょう。

また、万が一消費者詐欺に騙されてしまった場合には、最寄りの消費生活センターなどへご相談ください。

参考:
全国の消費生活センター等|独立行政法人国民生活センター

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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