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世界有数の展示内容!1960年代の人工心肺装置から大正初期の手術台まで希少な資料が揃う印旛医科器械歴史資料館

2022.02.10

新型コロナウイルスは瞬く間に世界に広がった。この脅威に対し、人類は短い間に複数のワクチンや治療薬を開発。重症化しても、ECMO(エクモ=体外式膜型人工心肺)などの医療機器を駆使し闘っている。

歴史を紐解けば、人類は不治の病とまで言われていた天然痘や結核なども克服してきた。顕微鏡や検査機器の進化。ロボットを駆使したハイテク化。電気やレーザーを利用したメスの開発。遺伝子治療や再生医療なども日々進化している。

そんな医療の世界を、器械の進化から紹介している資料館がある。

資料館の歴史的背景

資料館の名は、印西市立印旛医科器械歴史資料館。その歴史は古く、1975(昭和50)年に開催された日本医科器械学会(現、日本医療機器学会)において、大会長を務めた青木利三郎氏(当時、泉工医科工業社長)が「医科器械の歴史展」を企画し、全国から歴史的価値のある医療機器を収集したのがきっかけだった。

さらに、江戸時代の医療機器のレプリカも製作するなどし、1977(昭和52)年に青木記念医科器械史料館を、自社春日部工場内に開設。翌年には史料館を公的施設とすべく、全ての資料を日本医科器械学会に寄贈し、日本医科器械資料保存協会を設立した。

これを千葉県印旛郡印旛村(現、印西市)が誘致し、2007(平成19)年から現在の地に移ってきた。医療器械の収蔵点数は1000点以上。世界でも有数の規模を誇っている。

何気なく展示されているお宝

建物は消防署として使われていたものを改築利用している。入口を入るとまず目につくのは、1965(昭和40)年製造の救急治療車「走る手術室」(模型)や、朝鮮戦争で多くの腎不全患者の治療に使用されたコルフ・ブリガム人工腎臓(模作品)、昭和初期の電気治療器の「平流感伝電気機」などの小さな展示スペース。

何気なく置かれているため、素人には変わったものが置いてあるくらいの意識しか持てないだろうが、見る人が見ればため息が漏れるはず。

世界有数の規模を誇る

館内は10の展示室があり、それぞれ次のようにテーマ分けされている。まずはその分類と雰囲気をご紹介しよう。

(1)心臓関連

メーンは人工心肺装置。メーター類はアナログ、器械そのものが大型で1960年代に実際に使われていたものなどがズラリ。新型コロナ患者治療で脚光を浴びたECMO(エクモ=体外式膜型人工肺)や、弁膜症手術で使用される人工弁も年代ごとに並ぶ。

(2)手術台、消毒器、影灯など

主に手術室用の器械があり、大正時代の陸軍が使っていた「野戦用蒸気消毒車」などは、戦地で薪をくべて使っていたというから驚かされる。

手術台は大正初期のものもある。

(3)患者監視装置、臓器保存装置、レントゲンなど

スイッチ類がズラリ並ぶ1960年代の患者監視装置は、生体情報モニターの基本となるバイタルサインを記録するためのもの。

照明やうがい場所、治療器具が配備された歯科ユニット。画像は1953年製だが、すでに現代のものと基本は同じだった。

(4)顕微鏡、眼科器械、ミクロトーム、天秤など

多数の顕微鏡コレクションの中には江戸時代の木製顕微鏡(模作品)や、大正初期のカールツァイス製顕微鏡も。

(5)保育器

1800年代から未熟児には保温の必要性が唱えられ、二重構造の入れ物の中にお湯を入れたことが始まり。その後、熱源をアルコールランプ、電気ヒーターなどに変わっていった。

(6)電気メス

電気メスは大きな医療革命のひとつ。高周波電流により、狙った場所を切開・止血(凝固)することができる。開発は1890年頃から始まった。昔のものはかなり大きな印象だ。

(7)心電計、脳波計など

国産初の熱ペン直記式四素子心電計や、アメリカ製の記録計付き心電計、心音記録計など。

(8)麻酔器、肺機能検査器、酸素テントなど

各種麻酔器のほか、江戸時代に全身麻酔による外科手術を成功させた華岡青洲の解説が興味深い。

(9)透析装置、内視鏡、内科・外科各種手術器具、麻酔関連など

ショーケースに大量の外科手術器具を展示。昔の内視鏡は、まさに棒を突っ込むタイプで、見ているだけで身震いする。

(10)治療器など

超短波を用いた温熱療法の治療器やレーザー治療器など。

医科機器、ひいては医療の進歩を実感

繰り返しの説明になるが、ここは元消防署だった建物だ。かなり古く、各種の資料(展示物)のほとんどが、手の届く場所にそのまま置かれている。*触れないよう注意書きはある。

一般人には雑然と器械が並んでいる印象しか持てないかもしれない。しかし、個別の説明を読み、何のために使うものなのか理解して改めて観察すると、その原理と時代背景が見える。そして、医療器械がいかに進化しているのかも実感できるはず。

たとえば、現代の血中酸素濃度を計るオキシパルスメーターは指先に挟む小さなものだが、1957年製だと、耳たぶや指先に付けるセンサーと大きな本体があり、携帯など不可能だった。

現在、資料館は平日の限られた時間のみのオープンということもあり、訪れる人のほとんどが医療関係者だが、一般人に門戸を閉ざしているわけではない。実は毎月第1月曜は説明員が常駐し、詳しい説明を聞くことができる。

印西市立印旛医科器械歴史資料館

協力:一般財団法人日本医科器械資料保存協会

取材・文/西内義雄
医療・保健ジャーナリスト。専門は病気の予防などの保健分野。東京大学医療政策人材養成講座/東京大学公共政策大学院医療政策・教育ユニット、医療政策実践コミュニティ修了生。高知県観光特使。飛行機マニアでもある。JGC&SFC会員


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