【連載】もしもAIがいてくれたら
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第1回:私、元いじめられっ子の大学副学長です
第35回:ペットを飼う自信がない人におすすめしたいAIを搭載した愛玩用ロボットを選ぶという選択肢
「ペットお試し6か条」あなたは満たせますか?
前回に引き続きですが(ペットを飼う自信がない人におすすめしたいAIを搭載した愛玩用ロボットを選ぶという選択肢|@DIME アットダイム)、ペットを飼う人もペットも悲しい思いをしないように、何か良い方法がないか考えてみました。
前回の記事では、事前アンケートを提案しましたが、実際に飼ってみないとわからない、ということはあると思います。お試し期間があるサービスは世の中多いわけですが、生き物のペットでお試し、はペットがかわいそうなので、ロボットが活用できるとよいかもしれません。
前回の記事のアンケートで設定した項目を試すことができるような機能を搭載したロボットを飼ってみて、合格した人しか本物のペットは飼えない、という仕組みの導入です。
1.ロボットに対して、定期的に、餌やりを想定した作業を入力してもらいます。
※ロボットなので、本物のご飯はあげません。
2.ロボットを連れて、できれば朝晩、難しければ1日1回、10分ほど、お散歩にでかけてもらいます。帰宅後、ロボットの足を清浄します。
3.ロボットと一定時間以上遊んでもらいます。
4.ロボットがおしっこに相当する液体などを部屋にまくたび、根気強く清掃してもらいます。
※実際のペットのおしっこ相当の人工的な液体として、カーペットが汚れたというクレームはできません。
5.ロボットが故障したら速やかに対応してください。
※あえて故障するようになっているロボットです。クレームではなく、冷静に適切な対応をお願いします。
6.予防接種などの保健衛生の代わりに、事前のセッティングをマニュアル通りにやってください。
このお試し期間は、1か月あるとよいと思います。長いと感じるかもしれませんが、ペットを一生愛することができるか、どれほど強くペットがほしいか、根気強い人か、を試すには、そのくらい長期間が良いと思います。
この期間の人間の行動は、AI搭載ロボットが全て記録しておき、その記録に基づき、ペットを飼う資格があるかどうか、判定します。飼う資格がない、と判断された場合は、ペットを飼うことをあきらめていただくのがよいかと思います。この判定の厳しさをどの程度にするは、実際に導入されるときに検討となるでしょう。
フランスではペット購入時に”知識証明書”が必要
フランスではペットが捨てられるのを防ぐため、2024年から犬や猫の店舗での販売が禁止されることになったほど、より厳しい措置がされています。飼いたい場合はブリーダーからの直接購入や、保護施設からの引き取りなどに限られることになるそうです。
今回の記事ではロボットの活用を提案しましたが、フランスでは、衝動買いによってペットが捨てられることを防ぐための施策として、購入してから7日間は解約を可能とし、購入者に飼育についての知識があることを証明する書類への署名も義務づけているそうです。
個人的には、愛犬ルラちゃんとペットショップで出会い、とても幸せなので(ルラちゃんもそう思ってくれていることを祈っています)、ペットショップがいけないとは思っていません。しかし、利益重視で無責任なペットショップがなくならない限り、気軽には飼い始められないような方法が導入されるべきかと思います。ロボットによるお試し期間は、その一つの可能性として考えていただければと思います。
坂本真樹(さかもと・まき)/国立大学法人電気通信大学副学長、同大学情報理工学研究科/人工知能先端研究センター教授。人工知能学会元理事。感性AI株式会社COO。NHKラジオ第一放送『子ども科学電話相談』のAI・ロボット担当として、人工知能などの最新研究とビジネス動向について解説している。オノマトペや五感や感性・感情といった人の言語・心理などについての文系的な現象を、理工系的観点から分析し、人工知能に搭載することが得意。著書に「坂本真樹先生が教える人工知能がほぼほぼわかる本」(オーム社)など。