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SNSで話題の予言漫画「私が見た未来 完全版」、ヒットの裏にあった摩訶不思議な復刻の経緯

2022.01.23PR

※本記事は不安を煽ったり、いたずらに恐怖心を与えるものではありません。あくまでも都市伝説であることをご理解ください。

1999年に刊行されたマンガが、いま大きな注目を集めている。2021年10月2日に飛鳥新社より復刻した『私が見た未来 完全版』(著:たつき諒)だ。

このマンガは、漫画家のたつき諒さんが自身の夢を書き溜めた「夢日記」が掲載され、そこに記された幾つかのストーリーが数年後に現実として起こった話しがまとめられている。

出版元である飛鳥新社によると、発売から2ヵ月で発行部数40万部になっているという。発売後からオリコンの「週間 BOOKランキング」で1位(2021年10月18日付)になるなど大きな売上となっている。ヒットの背景には、ネットから始まり、大手出版社も巻き込んだ騒動があった。

世間をザワつかせた「予言漫画」

本書は、近年ネットで話題となり、フリマサイトで10万円を超える値となっていた。表紙の女性が、顔にあてた左手の薬指の上には「大災害は2011年3月」の文字。これが1999年刊行にも関わらず、東日本大震災を予言していたとして注目されたのだ。

それ以外にも、本書ではたつきさんの「夢日記」で記されたものと、現実で起こった日付けが一致するとして掲載されている。

完全版である本書では帯に記載されている「2025年7月の大災難」についても書かれている。これは1999年刊行時から、新たに著者「たつき諒」さんによって書き加えられたものである。

「著者のニセモノ」に出版社もダマされた

本書が復刻された経緯というのは奇妙なものだった。事の発端は、1年前、「たつき諒」を名乗るニセモノがネット上に現れたことだ。

登録者数160万人を抱える、都市伝説・ミステリー系ユーチューバー「ナオキマンショー」さんは、その経緯を動画にまとめている。

[出典]世界のぶっ飛んだ都市伝説!予知夢漫画の真相とは?!

「ネットで活動していた方(たつき諒さんのニセモノ)に、全員、ダマされていたんです」(ナオキマンショーさんのYouTubeより)

たつき諒さんは、1975年に『月刊プリンセス』(秋田書店)で漫画家としてデビュー。以後、顔出しを行わずに活動していた。1999年に『私が見た未来』を刊行した後、漫画家を引退している。

ナオキマンショーさんの動画によると、1年ほど前に、たつきさんを名乗る人物がネット上に出現して、予言についての解釈などをSNSなどで発信。ナオキマンショーさん自身も、顔出しNGの、その人物に取材するなど、やり取りを行っていたという。

その人物は、今年に入り、メールでオカルト雑誌「ムー」のインタビューに応えるなどしていた(後に、配信元より「編集の過程で本人確認に不備があった」と訂正が掲載された)。

[参考]https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2106/29/news083.html

またその「なりすまし」は、出版元である飛鳥新社に接触して、本書の出版にも関わっていた。しかし、たつき諒さん本人が、家族から本書の出版が進行していると聞かされ、出版社に問い合わせたことで、全てが明るみとなる。

当初、2021年7月17日に「完全版」は出版される予定であった。しかし著者本人が名乗り出てきたことで、事態は急変した。当然のごとく出版は延期に。飛鳥新社は「内容を大幅に見直す」と発表した。

本人による「新解釈」と「未発表」の内容を掲載

人気YouTuberはもちろん、出版社までもダマすネット上での「なりすまし」という存在。ニセモノによる発信には、著者の意図と異なる不確かな情報も含まれていたという。

このような前代未聞の事態を経て、2021年10月2日に本書は出版された。

ニセモノが出現する騒動を経て、出版された『私が見た未来 完全版』

こうしたネガティブな状況下にも関わらず、前述の通り本書は大きな売上となっている。

その理由の一つとしては、著者本人が登場して出版直前に見たとされる帯に書かれた「2025年7月の大災難」という未発表の内容が書き加えられたことは大きい。

また実際に起きた現象についても著者の新たな解釈が示されており、表紙に書かれた「2011年3月」についても解説されている。

いくつかの事象が絡み合って出版された『私が見た未来 完全版』。著者本人がニセモノの存在を払拭するかのように、実際に起きた現象への解釈や、未発表の内容を書き加えたことで、予言漫画でありながらも真実味を帯びるような一冊となった。

災害に備えて行動することの重要さ

筆者も実際に手にとって読んでみた。実際に本書を読んで感じたのは、著者からの強いメッセージだ。新たに書き加えられた「2025年7月の大災難」について、自然災害から発生するこの事象を地図を用いて解説している。これは出版前の2021年7月5日に見た夢だという。

1999年の刊行時に表紙に記載した「大災害は2011年3月」という年号は、本書によると刊行時には大して話題になることもなかったという。「たくさんの人々の意識にそれが届かなかった」とたつきさんは書いている。

「けれど今回は、私の漫画や言葉を、多くの人が注目してくれています。(中略)その日に向けて人々の意識が変わっていけば、逃げる――より正確にいえば対策を立てること――ができると思うのです。」(本書より)

本書はあくまでフィクションであり、都市伝説だ。いたずらに恐怖を煽るものではないということはナオキマンショーさんも繰り返し伝えている。

しかし、地球環境が変化し、気候変動が社会問題として取り上げられる昨今の状況下で本書を読むと、その「予言」は不思議な説得力を持って訴えかける。

そして何よりも、本書には災害に備えながら行動していくことの重要性が説かれていることも特徴だ。

「この本はそういう役割を持って生まれてきたものという気がしています。」(本書より)という文章が、それらを際立たせている。

なにを信じていいのかが難しい時代

本書がヒットする背景には「いまと同じ未来がある」とは言い切れない社会事情がある。新型コロナウイルスという未曾有の大災害。世界的な外出自粛になるなど、数年前には誰もが想像できなかった。

著者のニセモノが本書の出版を画策していたということも「フェイクニュース」や「なりすまし」という社会が抱える問題を現わしている。まん延した、世の中への不信感からSNSでリアルな情報の収集に費やすのは当然といえる。しかしそこに漬け込む存在がいることも本書は浮き彫りにした。

著者本人がニセモノの存在を払拭するかのように、実際に起きた現象への解釈や、未発表の内容を加わえたことで、都市伝説が真実味を帯びるような一冊となった。

私が見た未来 完全版』は「信じるか、信じないかはあなた次第」という予言漫画を通じて、未来への準備・行動を説き、発行部数40万部という大きな売上となっている。

そこには「なにを信じていいのかが難しい」時代に、「自分の身は自分で守る」という意識が表われているのかもしれない。

取材・文/西崎圭一
川崎市出身。立命館アジア太平洋大学卒。データ分析会社にて、データ分析、企業サイトディレクションなどを行うかたわら、
採用コンテンツなどで企業取材・ライターとしても活動。若者文化とSNS、ネットミーム現象などに関する記事を各種メディアにて執筆。
Twitter : https://twitter.com/kei_asmr_tokyo

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