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やや古くさい響きのある「~でやんす」という言葉は、若者を中心に広く拡散された言葉の一つです。「初めて聞いた」という人もいるかもしれません。「~でやんす」の意味やSNSで流行った理由、言葉の意味をチェックしてみましょう。
「でやんす」とは?
SNSをチェックしていると、「~でやんす」とつぶやいている人に遭遇することがあります。やや滑稽にも思えるこの言葉は、そもそもどのような意味があるのでしょうか?「でやんす」の言葉の意味を見ていきましょう。
意味は?断定の意を表す語尾
「でやんす」は、「です」とほぼ同義の断定表現です。
「であります」が変化したと考えられており、ただの「です」よりも丁寧な表現といえます。
「でやんす」の由来は?方言?
「でやんす」の起源は、安土桃山時代(1568~1600年)・江戸時代(1600~1868年)にさかのぼるといわれます。
当時、「でやんす」を使っていたのは、主に上方(関西地方)に住む人々です。
1708年頃に作られた浄瑠璃『傾城反魂香』の中には、「先の相手がつよいか、身の取廻しのわるさか知らんでやんす」というセリフが見られます。
元ネタは漫画やゲームのキャラ?
日常ではなかなか聞くことのない「でやんす」も、漫画やゲームの中では比較的頻繁に登場します。
例えば「でやんす」でおなじみなのが、人気漫画『ど根性ガエル』の五郎です。彼は主人公ひろしの弟分で、常に語尾に「でやんす」を付けて話します。特徴的な話し方は子どもウケがよく、同作がドラマ化された際には、影響を受けた小学生の間で「でやんす」が流行したそうです。
またゲームでは、『パワプロ』こと『実況パワフルプロ野球』シリーズに「でやんす」でおなじみの矢部くんがいます。
シリーズ中『eBASEBALL パワフルプロ野球 2020』は、人気声優が矢部くんを演じることで話題となりました。発表当時の反響は大きく、Twitterのトレンドワードに『矢部くん』がランクインしたほどです。
2020年頃から「おはようでやんす」が流行
若者の間では、2020年頃から頻繁に「おはようでやんす」という表現が使われるようになりました。これは動画アプリ『TikTok』が発祥といわれますが、どのような背景があるのでしょうか?
若者の心をとらえた、「おはようでやんす」という言葉について見ていきましょう。
YouTuberグループがTikTokで使用
「おはようでやんす」ブームのきっかけとなったのは、YouTuberグループ『ウチら3姉妹』のとうあさんだといわれます。
とうあさんはもともと、メイクのビフォーアフターを配信するYouTuberです。2020年8月に「おはようでやんす」と発言するシーンを切り取って『TikTok』にアップしたところ、これが一気にバズることとなります。
「おはようでやんす」の音源はほかのクリエイターにも拡散され、とうあさんやグループの人気も急上昇しました。
SNS流行語大賞2021で2位
「おはようでやんす」は若者を中心に広く浸透し、SNSで「~でやんす」を使う人が急増しました。
「でやんす」は『語尾に付けるだけ』と改変しやすく、気軽に使える点がユーザーにウケたようです。Twitterのつぶやきからその年のトレンドワードを決める『SNS流行語大賞2021』にもノミネートされ、「おはようでやんす」は全30ワード中2位にランクインしています。
また『2020年インスタ流行語大賞・流行語部門』7位に選ばれたほか、『TikTok流行語大賞2021』でも、その年のトレンドワードの一つとしてノミネートされました。
おはようでやんすの意味と使い方
この言葉の発信源となったとうあさんは、「おはようでやんす」を「おはよう」の意味では使っていません。とうあさんの「おはようでやんす」は、動画配信をスタートするときの決まり文句です。
またSNSでは「おはようでやんす」そのままではなく、「~でやんす」とする人が少なくありません。「疲れたでやんす」「食べたいでやんす」など、個人の状況に合わせた多彩なアレンジが見つかります。
ただし中高生たちの間では、そのまま「おはよう」の意味で使うケースもありました。トレンドに敏感な人は、朝学校で友達に会ったとき「おはようでやんす!」と声掛けしていたようです。
すでに流行は終わったという声も
「おはようでやんす」の意味が分かり、これから使ってみようという人もいるでしょう。しかし今「おはようでやんす」を使うと、「古い」「今さら?」と白い目で見られる可能性があります。
「おはようでやんす」の現在と、これから注目を集めそうなトレンドワードについて紹介します。
もう終わった流行語ランキング2021でも2位
「おはようでやんす」は、『スタディサプリ』が高校生を対象に調査した『もう終わった流行語ランキング2021』で、2位にランクインしています。つまり多くの高校生は、すでに「おはようでやんす」を「古い」と感じているということです。
若者と大人のトレンドには、少なからずタイムラグがあります。大人がやっとトレンドに追いついたころには、若者の興味はすでにほかの言葉に移っているのです。
また挨拶系のワードは、特に寿命が短いといわれます。使用頻度が高い分、消耗されるのも早いのでしょう。
これからSNSで流行しそうな言葉は?
2024年、若者で流行ったのは「ミーム」。「猫ミーム」のヒットが記憶に新しい人もいるでしょう。
ミームとは、SNSやウェブサイトなどを通して、面白い画像や動画、文章が拡散されていく文化のこと。拡散されたコンテンツ自体のことを「ミーム」と言うこともあります。
昨今こうした「ミーム」が増えている一方で、「猫ミーム」のようにその流行は一過性。次はどんな言葉が流行るのか、常に追いかけていないと高校生の流行を把握するのは難しいかもしれない。
構成/編集部