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ソニー「Xperia」躍進の秘密と二極化が進むスマートフォンの裏事情

2022.01.24

■連載/法林岳之・石川 温・石野純也・房野麻子のスマホ会議

スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回は2021年度上半期の国内携帯電話端末出荷台数で、Androidスマートフォンとして1位になったXperiaを中心に、2021年のスマートフォンを振り返っていきます。

※新型コロナウイルス感染拡大対策を行っております

2021年大躍進のソニー! “ロー”と“ハイ”クラスを極めながらも課題は残る?

房野氏:2021年度上半期の国内携帯電話端末出荷台数で、AndroidスマートフォンとしてはXperiaが1位になりました。2021年はXperiaが何かと話題を振りまいてくれた年でもありましたね。

房野氏

石野氏:Xperiaが大きく出荷台数を伸ばしたのは、「Xperia Ace II」が大ヒットしたおかげですね。

「Xperia Ace II」

石野氏

石川氏:もちろんシャープも頑張っていたんだけど、Xperia Ace IIが強かった。

石川氏

房野氏:Xperia Ace IIはドコモの専売ですよね。

石野氏:そうですね。なのでかつての“2トップ時代”を彷彿とさせる形になっています。数が売れたというよりは、たくさん作ってキャリアに売り込んだ……と言ったほうが近いかもしれませんね(笑)

法林氏:配ったって感じだよね。「Xperia X Compact」とか「Xperia XZ2 Compact」などを使っている人の乗り換え先として出した形。

法林氏

石野氏:やっぱりXperiaの安いモデルを使いたい人は一定数いて、さらには、3Gの停波にともなってスマートフォンにマイグレーション(移行)していきたい、といったキャリア側の思惑もある。サムスンなども頑張ってはいるけど、日本人にはソニーが強い。“あのXperiaが2万円で買えるんですか!”という層を掴みましたね。

法林氏:ソニーとしても、積極的にやっておかないと、どんどんほかにユーザーを持っていかれてしまいますからね。

石川氏:シャープとしては、「AQUOS sense」シリーズをもってしても、Xperia Ace IIには勝てなかったので、「AQUOS wish」を出してきました。

「AQUOS wish」

石野氏:AQUOS senseの価格がちょっと上がってしまったのもありますね。ドコモだと「いつでもカエドキプログラム」の弊害で、一括価格は6万円以上になっています。もはや、ミッドレンジではなくなりかけていますよね。

法林氏:SIMフリー版を買ってしまったほうが幸せって図式になっちゃってるよね。

石野氏:ソニーはXperia Ace IIのような安い端末を作りながら、「Xperia PRO-I」とか、「Xperia 1 III」のような、ソニーらしいものを作って、ラインアップをしっかり広げているのが面白いですよね。Xperia PRO-Iだけではシェアをとれませんが、「Xperiaっていいものなんだ」というイメージ作りをうまくやっています。

「Xperia PRO-I」(手前)

石川氏:ソニーとしては、今は種まきの時期で、徐々にXperiaユーザーを増やしていき、次にスマートフォンを買い替える時に、「5GでXperia」となるように広めているところですね。

石野氏:Xperia Ace IIも、いくら安いとはいえ“Xperiaがいいもの”というイメージがないと売れないので、この認識を作るハイエンドモデル、という歯車がうまく回り始めている印象です。

石川氏:ただ、Xperiaシリーズは毎度、売れ始めると保守的になる傾向があって、安定志向に進んでいくのが不安。

一方で「Xperia View」とか、最近の「wena」とか、周辺機器では変な欲を出し始めるのも気になるところ。

「Xperia View」

2022年、半導体不足はより深刻になる?

石野氏:ソニーは出荷台数でついに1位を取り、そこでスパッと引退してしまった岸田常務が印象的ですね。

石川氏:ソニーは人が結構異動していて、デジタル一眼カメラの「α」シリーズやデジカメの「RX」シリーズを作っていた人が、今後のXperia製作に関わっていくので、カメラと一体化して作られていくと思います。

法林氏:ソニーのモバイル事業って、かつてはエリクソンと合弁でソニー・エリクソンになったり、合弁を解消して、完全子会社化してもソニーモバイルという別会社だったりしたけど、2021年にソニーエレクトロニクスやソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズなどと統合されている。良し悪しは別として、ソニーグループ内で今儲かっているのは、イメージセンサーなので、そこの意向を汲む形になっている。となると、2022年に向けてカメラにシフトしていくのはわかりますね。

 ただ、市場のニーズとしてカメラがそこまで求められているのかは疑問に感じますね。

石野氏:あと、Xperia PRO-Iで1インチセンサーを搭載して、あれを今後のXperia 1/Xperia 5シリーズに落とし込んでいくとなると、この後、何をするのかなと思います。カメラ推しだけでは厳しい気がしますね。

法林氏:もう、スマートフォンのカメラ性能は、各社がかなり上のレベルで争っている状態なので、カメラの良し悪しを気にしたところで、撮影した写真を“何で見ているのか”の話になってきてしまいます。

石野氏:もうポスターサイズにプリントしないとわからないとかいう話になりかねないですよね。

法林氏:この話は以前、デジカメ業界にもあったので、このカメラシフトの流れでどこまで行けるのかは疑問。「α」とかを持っている人のスマートフォンを作りたいという気持ちはわかるけど、ユーザーが求めているのは、より上のカメラ性能なのか、それとも別で、例えばオーディオ性能なのかなどは考えないといけない。

石川氏::それでいうと、クアルコムが発表したゲームデバイス向けプラットフォームは結構面白いと思っています。スマートフォンでゲームをやる時代ですけど、通話機能はいらない替わりに、もっとゲームがヌルヌルと動いて、コントローラーも付けてほしい……そんな、〝本気の人〟は一定数いるはず。そんなデバイスをソニーが作ったら面白い。かつての「Xperia PLAY」みたいな感じですね。

「Xperia PLAY」

法林氏:ソニーは「PSP」も「PS Vita」もやめてしまったので、これをどうカバーするかと考えるとXperiaしかない。一方、任天堂を見ると、「Nintendo Switch Lite」があるし、「Nintendo Switch」自体も持ち運べる。X Boxのゲームもパソコンでできると考えると、ゲーム×スマートフォンがどこまでいけるのかはわかりません。

石野氏:今こそ“Xperia PLAY II”を出すべきかもしれません(笑)

石川氏:正直可能性はあると思うよ。

法林氏:スマートフォンゲームはもちろん人気だけど、本気でやり始めるとどうしても据え置き型に移行してしまう。

石川氏:今のゲーム市場は3分の1がスマートフォンといわれています。市場としてはでかいですよね。

石野氏:「フォートナイト」とかはスマートフォンでもできますしね。

法林氏:操作性でいうと、画面をタッチするよりも物理的なコントローラーのほうがどうしてもやりやすいので、難しいところですよね。

石川氏:だからこそ、コントローラーでの操作に特化したAndroidが出てもいいと思います。

法林氏:かと思えば、XperiaにPS用のコントローラーを接続する、ワイヤレスコントローラーの「DUALSHOCK」って、全然売ってないんだよね。

石野氏:そもそも今、PS用のコントローラー自体が全然売ってないんですよ。やっぱり半導体不足の影響なんですかね。

法林氏:半導体不足は、スマートフォンの観点からいうと、今後、もっとシビアな状況になっていくと思う。すでに販売されている端末のCPUも変更せざるを得ない状況になっているとか。

 クアルコムが生産計画やラインアップの発表をしていますが、世界中のメーカーから、結局供給ができていないと文句が出ている。メーカーによっては少し古いチップの在庫で新しいスマートフォンを作ったという話も出ている中で、MediaTekがいいチップを作っているねと注目されていたりするので、これまで当たり前だと思っていた、「Snapdragon最上位のチップに、いいディスプレイを搭載して……」のようなスマートフォンは減っていくかもしれません。

スマートフォンは「安い端末」と「超ハイスペック端末」に二極化していく?

房野氏:2021年に販売されたスマートフォンとして印象的なものはありますか?

石川氏:ソニー以外でいうと、シャープも1インチセンサー搭載スマートフォンをやっていたりするので、AndroidメーカーがいかにiPhoneとの直接対決を避けているのかが見て取れます。

石野氏:価格としては、10万円台前後はiPhoneが強いので、その上下にAndroidが散って行っている感じですね。

石川氏:Galaxyは折りたたみ、シャープとソニーは1インチセンサーって感じだね。

法林氏:Galaxyとしては、「Galaxy S21 5G」シリーズがあまり売れなかったなという印象ですね。その分、「Galaxy A」シリーズが稼いでいるんだけど、3年程度前に最新の“Sシリーズ”を使っていた人が、今“Aシリーズ”に流れています。

「Galaxy S21 5G」シリーズ

石野氏:普通のフラッグシップがいらなくなってきたというか、難しくなってきていますね。

石川氏:難しいよね。ブランドイメージのためには作らないといけないけど、数は売れない。

石野氏:ただ、各社フラッグシップのさらに上を作り始めているので、イメージはそっちでも作れてしまう。こうなるとフラッグシップはどういう位置づけになるのかが難しくなる1年でしたね。

法林氏:各社10万円から15万円のゾーンの売れ行きが良くない。Xiaomiとかはフラッグシップで10万円を切ってきているので、2022年はミッドレンジの上くらいの価格帯で競争になるかもしれない。とはいえXiaomiとしても、売れ筋は普及価格帯のモデルですし、まだまだ一般的に知名度があるわけではないので、ブランド戦略を伸ばしていってほしい。最近は街中広告もすごく頑張ってますね。

法林氏:僕が今年出た端末で、面白いなと思えたのは、「Google Pixel 6」です。

「Google Pixel 6」

石野氏:Pixel 6は面白かったですし、フォルダブルの進化も面白かったので、「高いお金を出せば面白いものが買える」状況になっていますね。つまらないけど安いスマートフォンと、高くて面白いスマートフォンに二極化してきています。

法林氏:そうだね。3万円から5万円くらいの価格帯は、普通のスマートフォンばかりになってしまった。

石川氏:本当にスマートフォンの価格とはなんなのかと思ってしまいます。同じ端末なのにキャリアから買うと4万円上乗せされているのを見ると、考えさせられます。2年後に下取りする前提の値付けになっているので、あれこそ総務省に突っ込んでもらいたい部分です。

石野氏:総務省マターではないという話でもあるので、難しいですよね。

法林氏:回線契約がなくても、販売がOKになってしまったからね。

石野氏:車の残価設定と何が違うといわれてしまうと、何もいえません。

石川氏:だから、そもそもルールを作ること自体がナンセンスな時代になっている。総務省が作った、2万円までの割引ルールを受けて、Xperia Ace IIが出て、それに引っ張られてAQUOS wishが出た。この流れが疑問というか、5Gがスタートして、国もDXだといっているにも関わらず、売れているスマートフォンはXperia Ace IIとか「iPhone SE(第2世代)」といった、安い4G端末という状況が悲しいです。

「iPhone SE(第2世代)」

石野氏:安い端末でいうと、ソフトバンクから出たXiaomiの「Redmi Note 9T」もこの部類になりますね。これは5G対応ですし、結構売れたという話です。昔、孫さんは「0円大好きソフトバンク」といっていましたが、国民も“0円大好き”だったということが、改めて証明されてしまいましたね。

「Redmi Note 9T」

法林氏:そうだね。そもそも値引きの額を決めている時点でおかしな話ですし、通信料金は通信料金、端末価格は端末価格でやらないといけない。

石川氏:総務省としては、通信料金を下げるという目的は達成したので、端末の販売に関しては、ルールをなくしてもいいのではないかと思います。回線の契約がなくても買えるとなると、極端な割引はやらないでしょうし、楽天モバイルにある程度の割引を認めてあげないと、いつまでたっても「Galaxy S10」を売らざるを得ないですよ。

法林氏:2019年の端末だもんね。

房野氏:2021年を振り返ると、料金の話がやはり多いですが、端末の多様性という意味でも面白い年でしたね。

石野氏:多様性といえばバルミューダなどもそうですよね。コンセプトというか、チャレンジは買いたいです。

「BALMUDA Phone」

法林氏:僕もチャレンジは買っているし、バルミューダがやりたいことは理解できる。ただ、多少高く売るのはありにしても、あの価格設定だけはちょっとねぇ。

石川氏:Snapdragon 888を搭載していれば、また印象が違ったかもしれませんけどね。

石野氏:ただ、Snapdragon 888は熱の処理が難しいんですよね。

法林氏:とはいえ、Snapdragonの800番台に頼って物を作っていてはだめですよ。700番台、600番台のチップでどれだけいいものを作れるかが大切です。

石野氏:Snapdragon 765の性能で十分なのはわかるんですけど、安いスマートフォンに搭載されすぎてしまって、安いチップだと認識されてしまっていますよね。

法林氏:チップの性能で良し悪しを判断する風潮が、以前の縮小していったパソコン業界と同じ構図。もちろん最低限のレベルはあるけど、スマートフォンはそこから脱却しないとだめだよ。

石野氏:バルミューダに関しては、販売価格が一桁上がってしまっているのが印象悪いというか、特にXiaomiなどを見てしまうと、余計見栄えが悪いんですよね。

石川氏:ただ、Xiaomiなどもコスパがいいだけというか、安さばかりを追い求めてしまっている気がしますね。日本仕様に関しては、おサイフケータイに対応したりと、頑張っている印象もありますが、グローバルで見ると、特徴が安さだけになってきています。

法林氏:そうだね。ここ1年くらいは、安さに振りすぎた感じがします。目玉になるような端末が登場してほしいところですね。

 2021年を振り返ってみると、「Galaxy Z Fold 3 5G」のような面白い端末もいくつかあったけど、全体的にすごくスマートフォンがつまらなかった印象です。価格競争が激しいので、物の良し悪しよりも価格が基準になってしまっている。2万円と3万円の端末を比べて、じゃあ2万円という選ばれ方をされてしまっていて、差額1万円分の価値を、理解されなくなっているのが残念に感じます。

石川氏:そうですね。本当にまた世界に置いて行かれる気がすごくしています。本来であれば、一気に5Gに進んでいくはずが、4G端末ばかりが売れていて、購入された4Gスマートフォンが3~4年は当然のように使われていく。しかも安い料金プランばかりが流行って、ユーザーはデータ通信をあまり使わなくなっているので、非常にもったいなく思います。

法林氏:もちろん安いことが悪いわけじゃないんだけど、少し考えないといけない時期に来ていていると思う。総務省の端末販売の制限から丸2年になっていて、2021年春に、シェアパック時代の月々サポート割などの月額割引の適用が終わっているので、これからはリアルな単価で端末を買うしかないのが実状。しかし、その一方で、各社が販売プログラムを鬼のように拡充して、iPhoneを1円でばらまくという動きには疑問を感じます。アップルとしてもそれがいいとは考えてないだろうけど、一方でギフトカードを10%OFFとかで出しまくっていたりと、安さばかりに注目が行く形になってしまっています。

房野氏:販売プログラムを使ってほぼ0円で入手できる安い端末も多くありましたが、2020年は活発だった3万円から5万円くらいの価格帯に、あまり新端末が出てきませんでしたね。

石野氏:XiaomiやOPPOから出ていて、それなりに売れてはいますが、それを0円端末のインパクトが上回っているんですよね。とはいえ、これまでフィーチャーフォンを使い続けていた人たちが、スマートフォンに5万円ほど払うとは考えられないので、0円端末もあってしかるべきなのかなとも思います。そこの市場がでかすぎるのが問題なんですけどね。

法林氏:今、4Gスマートフォンを買う人は、3年といわず5年くらい使い続けてもおかしくないですからね。

石川氏:先日エリクソンが説明していましたが、日本は韓国などと比較して圧倒的にデータ使用量が少ない。Wi-Fiが普及しているという面もあるけど、あまりスマートフォンが活用されていないのが問題ですね。

……続く!

次回は、電波オークションについて会議する予定です。ご期待ください。

法林岳之(ほうりん・ たかゆき)
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。

石川 温(いしかわ・つつむ)
日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、2003年に独立。国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップルなども取材。NHK Eテレ「趣味どきっ! はじめてのスマホ」で講師役で出演。メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」を発行中。

石野純也(いしの・じゅんや)
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

房野麻子(ふさの・あさこ)
出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年からフリーランスライターとして独立。携帯業界で数少ない女性ライターとして、女性目線のモバイル端末紹介を中心に、雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。

構成/中馬幹弘
文/佐藤文彦

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