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クリーンエネルギーである風を貨物船輸送に活かす時代がやってくる!

2022.01.23

地球温暖化の問題を考える時、必ず登場する言葉が温室効果ガス(GHG=Green House Gas)だ。気象庁のホームページによると、20世紀半ば以降に見られる地球規模の気温上昇は、人間活動による化石燃料の使用や森林の減少により温室効果ガスが増加した可能性が極めて高いと指摘されている。

これをいかに減らすかが地球規模の課題であり、各産業分野でさまざまな試みが行われている。とくに世界の物流の大半を担う貨物船を有する船社は、自社からのGHG排出削減に努めている。

それはどのようなものなのか。とくに風のエネルギー利用に力を注いでいる商船三井のケースをご紹介しよう。

始まりはウインドチャレンジャープロジェクト

まず注目したいのは、次世代帆船の風力推進技術とITCを融合し、輸送の際に発生する温室効果ガスを削減する「ウインドチャレンジャープロジェクト」だ。

これは2009年に東京大学が主催する産学共同研究プロジェクト「ウインドチャレンジャー計画」として始まり、2018年から商船三井と大島造船所が中心となり研究を引き継いだ。

そして2019年10月、日本海事協会より「硬翼帆(こうよくほ)式風力推進装置」の設計に関する基本承認(AIP=Approval in Principle)を取得している。

↑硬翼帆

5~8%の温室効果ガス削減を見込む

硬翼帆式風力推進装置には2つの注目点がある。

ひとつは、材質がFRP製で軽量のため、推力や荷重のコントロールが容易なこと。もうひとつは伸縮・回転機構があるため、状況(大洋航海中、狭水道や港湾内航行中、荷役中)に応じて変化させることで、視界や作業を妨げないというものだ。

↑硬翼帆を広げて航行中の様子

↑硬翼帆を低い位置に収納して着岸中の様子

↑シミュレーターによるブリッジからの船体と硬翼帆のビジュアル

もちろん帆だけで船を動かすわけでなく、主機関を補助し、燃料の節約=温室効果ガスの削減に繋げるわけで、硬翼帆1本あたりの削減効果は、日本~豪州東岸などの南北航路なら約5%、日本~北米西岸などの東西航路は約8%と試算されている。

帆の運用方法

硬翼帆といえども強度の問題があるため、風が弱ければ帆を伸ばす(展帆)。逆に強い時は帆を縮める(縮帆)のが基本。次に風向きも重要で、硬翼帆は飛行機の翼のような断面をしているため、揚力と抗力が推力を生み出す鍵となる。つまり、正面からの風以外なら推力を生み出すことができるわけだ。

ちなみに、この装置を搭載した石炭専用船による輸送契約を、2020年12月に商船三井と東北電力の間で締結。2022年の運航開始に向け、10万トンのバルカー(梱包されていないばら積み貨物を輸送するための専用船)を、大島造船所で建造している。竣工すれば、世界初の帆を搭載した石炭船の導入により環境負荷と経済性の両立を目指すことになる。

ローターセイル

もうひとつ、風力推進補助装置として、ローターセイル(円筒型帆)による取組みにも注目が集まっている。

こちらは船舶のデッキに円筒型のローターを搭載し、回転しているローターに風が吹き込むことでローター周りに圧力差が生じ推進力を得るというもの。簡単に言えばボールに回転を与えることで曲がる(野球のカーブのような状態)のと同じような原理だ。

アイディアとしては昔からあったようで、タンカーに実装したところ、年間約8%の省エネ効果が得られたという報告もある。

商船三井では2021年11月、既存の20万トン級ばら積み船に搭載することをヴァーレ社(ブラジルの資源開発企業)と共同で検討することに合意。2018年に新造ウルトラマックス型ばら積み船にローターセイルを世界で初めて搭載した英国のローターセイルメーカー Anemoi Marine Technologies Ltd(アネミイ社)の協力も得ながら、今後搭載するローターセイルの数や、GHG削減効果も検討・検証している。

既存の荷役用クレーンを利用

最後にご紹介するのは、船舶の荷役用クレーンの三角部などに帆を張ることで風を活かそうという、船舶推進力補助帆(アイノウデルタセイルクレーン=以下、デルタセイル)だ。

ばら積船・木材チップ船・多目的船など商船三井ドライバルクの運航船の多くが荷役用クレーンを装備していることから、2021年7月に同社、商船三井、大島造船所、相浦機械がデルタセイルを共同研究することに合意している。

協力:商船三井

取材・文/西内義雄


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