出鱈目(でたらめ)という言葉には魚の鱈が使われており、不思議に感じている人もいるのではないでしょうか。意味とは無関係の漢字が使われている言葉もあることを知っておきましょう。出鱈目の意味や語源、言い換え表現を紹介します。
出鱈目の意味
出鱈目とはどのような意味を持つ言葉なのでしょうか。出鱈目の具体的な意味や使い方を理解しやすくなる例文、言葉の由来を紹介します。
根拠がなく、いい加減なことの意味
出鱈目とは、『根拠がないこと』『いい加減なこと』を意味する言葉です。以下の例文で具体的な使い方を確認しましょう。
- チーム内で彼だけ出鱈目なことばかりやっている。このまま彼を放置しているとめちゃくちゃな結果になりかねない
- 私は君が陰でこそこそと動いていることに気づいている。そんな出鱈目を言ってごまかそうとしても無駄だ
- 漢字の書き順が出鱈目だと子どもに注意された。最近はスマホやパソコンばかり使っており、字を書く機会が減ると書き順も忘れてしまう
江戸時代末期から使われ博打が由来
出鱈目は江戸時代末期から使われている言葉です。語源については諸説あり、博打を由来として生まれたという説が有力です。
出鱈目の『目』はサイコロの目のことであり、博打でサイコロを振って『出た目』が『出鱈目』になったとされています。
サイコロの目は、振ってみるまで何が出るか分かりません。準備や根拠なしで、出た目のままに勝敗が決まる様子から、いい加減なことを指す言葉として出鱈目が誕生したというものです。
魚の鱈と関係はある?
出鱈目には魚の鱈という漢字が使われていますが、言葉の意味や由来とは無関係です。読みだけを借りて漢字を当てはめた当て字の代表例や、出鱈目と同様に鱈を用いた当て字を紹介します。
出鱈目は当て字なので意味はない
出鱈目と漢字で表記する場合は『鱈』を使います。鱈は魚のタラのことですが、出鱈目とは全く関係がありません。
出鱈目のように、言葉の意味と直接関係のない漢字が使われているものを『当て字』といいます。漢字の音読みや訓読みを借りて当てはめる表記です。
『仏蘭西(フランス)』『珈琲(コーヒー)』など外来語由来の言葉や、『矢張り(やはり)』『目出度い(めでたい)』など和語を表記する言葉などがあります。
日常的によく使用される『素敵』や『無茶』も、当て字とされている言葉です。敵や茶は本来の意味とは関係がありません。
他にもある鱈が当て字に利用される言葉
出鱈目と同様に鱈を使った当て字には、他にも『滅多矢鱈(めったやたら)』や『鱈腹(たらふく)』があります。
滅多矢鱈とは、思い付きで手当たり次第に行動することや、度を超えた数量・度合いを意味する言葉です。同じ意味を持つ『やたらめったら』の語源とされています。
鱈腹は、お腹いっぱいになることや大量に飲み食いすることを指す言葉です。十分に満たされることを意味する『足りる』から生まれたものであり、魚の鱈とは関係がありません。
出鱈目の言い換え表現
出鱈目にはいくつか似た意味の言葉があります。表現の幅を広げるためにも、代表的な言い換え表現を覚えておきましょう。
でまかせ
出鱈目の言い換え表現の一つに『でまかせ』があります。何も考えずに口から言葉が『出る』のに『任せる』という様子を、『出任せ』と表現したことから生まれた言葉です。
でまかせと単独で使う以外に、『口からでまかせ』と使うこともよくあります。例文をチェックしておきましょう。
- 彼はよく口からでまかせにものを言う。真面目に話を聞いて何度も痛い目にあったことがある
- 虚言癖のある人は、うそをつくつもりがなくても、無意識のうちにでまかせを言ってしまうものだ。虚言癖を抱える人と仲良く付き合うのは難しい
荒唐無稽
『荒唐無稽(こうとうむけい)』とは、言動に根拠がなく現実性に乏しいことを指す言葉です。出鱈目とほぼ同じ意味で使えます。
荒唐無稽の『荒唐』は、中国の古典『荘子』や『書経』に由来する言葉です。ただし、古典内では単独で使われていることから、四字熟語は日本で作られたものであるとされています。具体的な使い方を例文で確認しましょう。
- 初年度から1億円を売り上げるという彼の起業計画は荒唐無稽に見えるが、裏では時間をかけてしっかりと作戦が練られている。本当にうまくいくかもしれない
- 荒唐無稽だと思われる意見が社員から出されても、すぐに一蹴してはいけない。イノベーションとは、得てして荒唐無稽な発想から生まれるものだ
ちゃらんぽらん
出鱈目と似た意味の表現には『ちゃらんぽらん』もあります。いい加減で無責任なことや人を意味する言葉です。
うそやでまかせを指す『ちゃら』と、うそをつくことを意味するほら吹きの『ほら』を組み合わせた『ちゃらほら』の変化形とされています。次のように使うことが可能です。
- 何を頼んでも責任感を持って取り組んでくれない彼は、社内ではちゃらんぽらんな人で通っている。私に言わせれば、まるで子どもみたいな人間だ
- 高校卒業後は仕事もせずに数年間遊びほうけており、今思えばちゃらんぽらんだった。現在は家庭を持ち、心を入れ替えて仕事を頑張っている
構成/編集部