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ディデイの上場廃止で注目を集める中国ADR

2022.01.16PR

ディデイの上場廃止が決まり、中国ADRの株価の動きは冴えない。中国ADRは今後どうなるか?

安値圏が続く中国ADR

ADRは、米国預託証券といい米国以外の外国企業の株式が米国市場で取引できるように、外国企業の現地株式をもとにADRを発行して、米国市場に上場させているものだ。

投資家は、中国やインドのように現地での株式取引に規制がかかっているような新興国の株式を米国市場を通して購入することができる。また、米ドル建で取引できるのもメリットだ。

中国ADRとは、そのADRのうち中国企業のものを指し、現地より市場参加者の多い米国市場で取引できることから、テンセント、アリババ、バイドゥのような中国IT大手のADRの時価総額は米国市場において大きなものだった。

節目が大きく変わったのは、2021年6月30日に中国の配車アプリ最大手滴滴出行(ディディ・DIDI)が中国当局の許可を得ないまま、米国市場で上場したことだ。

もともと、米トランプ前大統領が2020年に「外国企業説明責任法」に署名し、外国企業で米国市場に上場している企業に対して情報開示を求め、拒む場合には上場廃止となるものだった。

そこで中国当局は、IT企業から収集される中国国内の情報が米国に流出するのを防ぐことから米国上場の中国企業に対して厳しい措置を行っていたところだった。ディディは上場時には時価総額が約7兆円超となったが、その後当局から新規ユーザー登録の停止等の制裁を受けることとなり、さらに上場廃止を求められていた。ディディはついに2021年12月3日上場間もないにも関わらず、米国に上場するADRの上場廃止を決めた。

このような動きから、これまでゼロ金利等で資金の流入から活況であった中国ADRにおいて、ディディのように上場廃止となるのではないかという懸念から中国ADRの株価は下がり続けるまたは冴えない動きが続いている。

上場廃止となった中国ADRはどうなる?

株式が上場廃止となれば当然取引もできなくなり、その価値はゼロとなる。

当然、上場廃止が決定したディディの株価は上場している間においてもゼロに近くなるはずだ。

しかしながら、ディディの株価は下がったが、ゼロにはなっていない。

これは、まだディディが上場廃止後どうなるか未定である部分があるからだと推測される。

ディディは「ADRは国際的に認められた他の証券取引所で自由に売買される株式に転換されることを確実にする。」と述べていることから、上場廃止後の動きとしては以下が考えられる。

①2022年3月頃 ディディ香港上場
②2022年 ? 米国市場に上場するディディ上場廃止

保有者は以下のような選択肢がある。

倒産による上場廃止ではないため、完全にゼロになるわけではなく、上場廃止までにディディからの買取りに応じるか、香港市場のディディに転換するか選ぶことになりそうだ。

買取りに応じる場合は、IPO価格近辺の価格になりそうで、IPO後に大幅に上昇していることから上場後すぐに購入した人は損となるだろう。一方、香港市場のディディに転換されるのを待つ場合、時間もかかりその間売却できず、香港市場の価格はどうなるかは今の株価近辺であれば買取り価格より安くなってしまう。また、待てば上がるのかどうかの判断が必要となる。

ただ現段階では、まだ不確定なことが多い。

中国ADRのメリット

中国ADRは、米国市場で自由に売買でき、市場参加者の多く活況な米国市場では株価が上がりやすいというメリットがある。また、米ドル建で取引できるので、売却代金を米ドル建で受取ればその使い道も、米国株を購入、米国ドル建MMF買付、米ドル建債券購入など選択肢が多い。また、米ドルは他の通貨に比べて為替手数料が安い。そして、米国株を取り扱う証券会社は多いが、中国株を扱う証券会社は限られ、特に本土株といわれる上海株を取り扱う証券会社は非常に少ない。

一方、為替変動リスクに関しては、中国ADRを米ドルで投資するのと、香港株や中国本土株への投資と大きく変わらない。大手中国企業が上場する香港市場の香港ドルは完全に米ドルと固定、新興企業等が上場する上海市場の元は緩やかに米ドルと固定されていることから、この為替政策は今後変更される可能性はあるものの、今のところ米ドルと円の為替変動リスクと大きく異なることはない。

中国ADRは米国市場でかつ米ドル建で取引しやすかったが、中国当局が情報流出に難色を示していることから、米国市場での上場廃止リスク、上場廃止しないことによる制裁リスクを考えると、情報を収集している中国IT企業の米国株への投資はおすすめしにくい。

ただ、発端となった「外国企業説明責任法」は3年以内の順守となっていることから2023年12月以降にはその順守がなくなる可能性もある。

中国当局の動きに左右されてしまう中国株ではあるが、やはり近い将来米国を抜いてGDPが世界1位となり、IT企業や電気自動車などのような最先端技術において飛躍する中国株を投資先から排除してしまうのはよくない。中国株に投資するなら、香港市場、上海市場での投資も選択肢として考える必要があるだろう。

(参考)

2021年11月26日ブルームバーグ「中国、滴滴にNY証取の上場廃止計画まとめるよう指示」
中国、滴滴にNY証取の上場廃止計画まとめるよう指示-関係者 – Bloomberg

2021年12月3日 ブルームバーグ 中国配車サービス滴滴、米上場廃止と香港上場を準備
中国配車サービスの滴滴、米上場廃止と香港上場を準備 – Bloomberg

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文/大堀貴子
フリーライターとしてマネージャンルの記事を得意とする。おおほりFP事務所代表、CFP認定者、第Ⅰ種証券外務員。

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