譫言という漢字を見て、どのように読むのか分からない人も多いでしょう。難読漢字の正確な読みや意味を知っておけば、新聞やインターネットで文章を読む際に役立てることが可能です。譫言の読み方や意味、言い換え表現について解説します。
譫言は何と読む?
譫言の意味を知る前に、まずは正確な読み方を理解しておきましょう。2通りの読み方があることもポイントです。
読み方は「うわごと」
『譫言』の正しい読み方は『うわごと』です。前半部分に異なる漢字を使い、『囈言』と表記することもあります。
『言』を『~ごと』と読む熟語は、総じて『話』や『言葉』に関係する意味を持ちます。『独り言(ひとりごと)』や『泣き言(なきごと)』などが代表例です。
譫言や囈言は読み方が難しいため、前半部分に漢字を使わず『うわ言』と表記するケースもあります。人に読んでもらう文章を作成する場合は、読みやすさを考慮して『うわ言』と書くのがよいでしょう。
「せんげん」と読む場合も
譫言はうわごと以外に『せんげん』と読むこともあります。うわごとは訓読み、せんげんは音読みです。
譫言を声に出して言う場合は、うわごとと読むほうが相手に意味を伝えやすいでしょう。せんげんは『宣言』『浅間』『千軒』などの熟語があるため、意味が通らない恐れがあります。
譫言をせんげんと言うのは、周囲も意味が分かっている特定のシーンに限るのが無難です。例えば、医療現場では専門用語として譫言をせんげんと読むことがあります。
譫言の意味は?
譫言とはどのような意味を持つ言葉なのでしょうか。2種類ある意味について理解を深めておきましょう。譫という漢字の意味も解説します。
意識がもうろうとしているときに口走ること
譫言の一般的な意味は、『意識がもうろうとしているとき無意識に口走る言葉』です。正気ではない状況で、自分の意志に反して話していることがポイントになります。以下の例文で使い方をチェックしましょう。
- マラソン中に熱中症で倒れた男性が先ほど当院に救急搬送されてきた。意識がはっきりせず譫言を言っていたため、かなり危険な状態だ
- インフルエンザにかかってしまい、高熱を出して数日寝込んでいた。家族の話では、訳の分からない譫言を発していた時間も多かったようだ
- テレビドラマでは、被害者が入院中に言った譫言がきっかけとなり、事件が解決へ向かうパターンをよく見る
筋道が立たない発言を意味することも
譫言には、『筋が通らない放言』や『ふざけているように聞こえる発言』の意味もあります。意志に反して無意識に口走る言葉という本来の意味が派生したものです。文章では次のように使います。
- 飲み会で上司や先輩たちが話すことを真に受けてはいけない。酔っ払いの譫言だと思って聞き流したほうがよいだろう
- 彼は何度注意しても同じミスを繰り返しているようだ。私が怒ったときにいろいろと彼なりの理由を並べてくるが、全て譫言にしか聞こえない
上記の譫言には『意味が通じない言葉』という意味があることから、『寝言』や『寝ぼけたこと』などに置き換えられます。
「譫」はくどくど言うことを表す
譫言の『譫』は、くどくどと言うことを意味する漢字です。音読みは『せん』、訓読みは『うわごと・たわごと』であり、常用漢字からは外れています。
譫言は、譫を使った熟語『譫語』と意味が同じです。譫語はうわごととは読まずに『せんご』と読みます。
譫を用いた熟語には、精神障害の一つである『譫妄(せんもう)』もあります。譫妄とは、意識が低下して意味不明なことを言ったり幻覚を見たりする症状のことです。読み方が難しいため、一般的には『せん妄』と表記します。
譫言の言い換え表現をチェック
筋が立たない言葉を意味する場合の譫言には、いくつかの類語があります。似た意味の言葉を覚えておけば、表現の幅を広げられるでしょう。
ふざけた言葉を意味する「ざれごと」
譫言の言い換え表現の一つに『ざれごと』があります。『いい加減な発言』『中身がない話』といった意味を持つ言葉です。漢字では『戯言』と書きます。
ネガティブな意味合いで使われることの多い言葉ですが、よい意味で用いられるケースもあります。例文を確認しておきましょう。
- 軽い冗談を言ったつもりが、ざれごとを言うなと怒られてしまった。次回からは発言に注意しようと思う
- 場の雰囲気が重苦しいとき、彼はいつもざれごとを言って場を和ませようとしてくれる。チームにとって貴重な存在だ
ばかげた言葉を意味する「たわごと」
譫言の類語には『たわごと』も挙げられます。『ばかげた言葉』『何の意味も持たない話』の意味がある言葉です。漢字ではざれごとと同様に『戯言』と書きます。
ざれごとと意味は似ていますが、肯定的なニュアンスではほとんど使われません。相手を非難したりけなしたりする際によく用いられます。具体的な使い方を例文でチェックしておきましょう。
- 彼女はいつも言い訳ばかり言って責任を逃れようとする。中身のないたわごとはもう聞き飽きてしまった
- 彼が会議に参加するとたわごとばかり言うため、話が全く進まないことが多い。建設的な議論を交わしたい場合、彼は会議に呼ばない方がよいと思う
構成/編集部