関東や東海での事業再構築補助金採択件数が飛躍的に増加
一般社団法人全国グランピング協会では、グランピング開発に関係する事業者や事業再構築補助金の採択件数を集計。その結果、2022年中に開業を予定しているグランピング施設が全国で200前後に及ぶことがわかり、同協会では2022年の開業施設数が過去最多となることを確実視している
グランピングビジネスへの参入が激増している理由
2021年3月より公募が開始された事業再構築補助金によるグランピング関連事業の採択件数(第3次まで)は230件以上に達する。
グランピングビジネスの投資規模と事業再構築補助金の助成内容はマッチングしやすく、多くの事業者の参入を後押しする結果となっている。特に人口比でグランピング施設の整備数に不足感があった関東圏や東海圏での採択件数が飛躍的に増加している。
グランピング業界大手、にしがきは20施設を一挙オープン
にしがきグループの2022年グランピング開業計画一覧
グランピング業界大手のにしがきマリントピアリゾートグループは、2022年中に20施設の開業を計画しているなど、先行事業者による2施設目以降の展開も目立っている。
にしがき以外では、三重県で2施設を展開するシイエスピークや山梨県や高知県でグランピング事業を展開するDot Homesも新規開業の計画を進行している。
グランピング市場の規模拡大
全国グランピング協会では、2020年12月時点のグランピング業界の市場規模を600〜800億円と試算。
その後、2021年に150件以上のグランピング施設(注:ホテルやキャンプ場が常設テントなどを設置した事例を含む)が増加したことにより、その市場規模は2022年1月時点で800億円~900億円前後まで拡大していると試算している。
また、2023年までに新たに200施設以上の開業が見込まれているため、グランピング業界の市場規模は1000億円に達すると見込む。
コロナ禍に対応できる事業として注目を集めているグランピングだが、その事業特性や政府の経済支援策により、市場拡大ペースが急上昇していることがわかる。
グランピング需要を取り込む周辺業界の動き
住宅業界においても「ベランピング」などの造語が生まれるなど、グランピング需要を取り込む動きが顕在化。住宅大手のミサワホームではアウトドアリビングを積極的に提案するなどの動きが活発化している。
また、飲食業大手のバルニバービは、アウトドア用品メーカーのLOGOSとコラボレーション。アーバンキャンププランを提案するなど、コロナ禍対応が必須の飲食業界にもグランピング需要を取り込む動きが加速した。
さらにメイン領域の宿泊関連分野では、ブッキングリゾートがグランピング専門の集客企業として急成長している。同社が展開するリゾートグランピングドットコムは、2020年5月~2021年4月の流通額約11億円に対して、2021年5月~2022年4月の流通額は43億円に達する見通しで、約4倍の規模に急拡大した。
また、同社によれば、2022年開業予定でリゾートグランピングドットコムに掲載が予定されている施設数は既に100施設を超えており、その施設の取扱高を加えた流通額は100億円前後に達する見通しだという。
各地区の開業計画や施設開発の動向
ブッキングリゾートが支援中の開業計画をエリア別に整理したものが下表だ。
関東圏の案件数の多さが際立っている。特に事業再構築補助金の公募がスタートしてから、案件数が急伸しており、2022年1月時点の100案件のうち、45案件は同補助金を活用予定だという。
また、案件の8割近くがドームテントを採用したグランピング施設となっており、開発トレンドに偏りが見られている。
グランピング開発を計画している事業者は、「建設業」・「宿泊業」・「不動産業」・「飲食業」・「保険代理店」・「ビルメンテナンス業」・「中古自動車販売業」・「人材派遣業」・「設計事務所」・「食品小売業」・「食料品卸売業」など多岐に及んでおり、幅広い業界から注目を集めていることがわかる。
2022年中の開業を目指していると見られる事業再構築補助金の採択件数200件と、ブッキングリゾートに掲載が予定されている施設数のうち、採択事業者20社を差し引きしても、280件の開業予定案件が国内に存在していることになる。
用地手配や法令対応で開業が2023年に開業がずれ込む施設数を2割程度、見込んだとしても優に200を超えるグランピング施設が開業を迎えることになりそうだ。
構成/清水眞希